夫の親友〜西本匡臣の日記〜

ゆとり理

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2024年7月

7月1日

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6時頃に文乃から妻に電話があったそうだ。
お母さんが昨日の夜にと泣きそうな声だったらしい。
3人のことを相談すると、皆で来て欲しいとのことだった。
長男の話しを良くしていたそうで、喜ぶだろうからと。

長女の学校に電話する妻の震える声が、9年前のあの日の記憶を蘇らせた。
「臣くん、あのね、」と電話がかかってきた日だ。
昨日の雨は止んだが空はどんよりとしていた。
出かけるために外に出ると、気温も湿度も高く、纏わりつく空気が更に昔のことを思い出させ、酷く気持ちが落ち込んだ。
長男は死について理解はしているようだが、おじいちゃんに会えることを喜んでいた。
長女はしっかり理解しているようで、暗い顔をしていた。

ガラガラと音を立てる玄関の戸は今日も俺を歓迎しているようだった。
仏間で寝ているアイツのお母さんは、思っていたよりも穏やかな顔をしていた。
文乃から話しを聞くと、救急車のなかでは反応がなかったが、病院では一度意識を取り戻し少し会話が出来たそうだ。
なので、大丈夫だと思い別室で話を聞いているうちに旅立ってしまったそうだ。
少し前からもしものことを考えて、葬儀関係のことについて連絡しようかと思っていたと言うと、文乃も妻に相談しようかと考えていたそうだ。
仏間に置いてあるアイツの机に葬儀についてや連絡する人について書いていたノートが置いてあったと見せてくれた。
妻は魂が抜けたように座り込んでいて、会話にも参加出来ない様子だった。
達也さんたちはもうすぐ着くと話していると、佐々木君から電話が来た。
連絡もなしに来ないのは連絡も出来ないほど調子が悪いのかと聞かれ、連絡するのを忘れていたことに気がついた。
親友のお母さんが亡くなったと言うと、ハテナがいくつも付きそうな声で、「親友のお母さん?」と聞き返された。
詳しくは東に聞いてと言うと納得していない様子だったが「わかりました。」と電話が切れた。
どうやら俺も冷静ではなかったようだ。
一応陽翔に伝染ると悪いからと、3人を実家に置いて戻って来ると、達也さんたちが来ていた。
妻を引きずって動かしたが、目が腫れぼったくなっていた。
その顔に何故か距離を感じてしまった。
長女も妻の側にいたが、泣きそうな顔をしていた。
結衣と芽衣も泣きじゃくっていた。
陽翔はお母さんに会えたのが嬉しかったのか楽しそうにしていた。
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