ヴァンパイア♡ラブどっきゅ〜ん!

田口夏乃子

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第二十話 「ジュンブライト!暴力ふるうのはやめて!」

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「いやぁぁぁぁぁ!」
 
「誰がこんなもん、食うか!」
 
ジュンブライト、これ、あなたが大好きだった、ナポリタンだよ。一口でもいいから、食べて!
 
「このクソマズイ料理なんか、出しやがってぇ!」
 
ジュンブライトは、どんどん私をなぐったりしてくる。
バシッ!
 
「いたっ!」
 
テレサさんが、黒いムチでジュンブライトの背中をたたいた。
 
「やめな。」
 
ジュンブライトは、怒った顔で、テレサさんの方を振り向いた。
 
「だまれ、裏切者。」
 
ジュンブライトは、かいじゅうみたいに足音をたてながら、部屋を出た。
 
「真莉亜ちゃん、大丈夫?うわぁ、ものすごい出血だね。マドレーヌちゃん、救急箱を持って来てくれる?」
 
「は~い。」
 
マドレーヌちゃんは、部屋を出た。
 
「・・・・・・ギロさん。」
 
「なに?」
 
「私・・・・・・もう、いやです。」
 
「弱音を吐いちゃ、だめだよ。これも先輩のためなんだから。」
 
がまんできません!
 
「真莉亜ちゃん・・・・・・。」
 
ギロさんが、悲しい顔で、私の顔を見つめた。
 
「救急箱、持って来ましたよぉ。」
 
マドレーヌちゃんが、救急箱を持って来ると、ギロさんは、救急箱から、包帯とばんそうこうと消毒液とピンセットを取り出し、私を手当てした。
 
「もう、いやです・・・・・・こんなにがんばろうとしても、ジュンブライトは元に戻らないし・・・・・・なんか、いやになって来ました!私、恋人失格です!」
 
「お母さん、そんなこと、言わないで!」
 
「そうです!真莉亜お姉様らしくありませんっ!」
 
「あきらめるのは、まだ早いよ。」
 
三人はだまってて!
 
「・・・・・・。」
 
マドレーヌちゃんと、テレサさんと、道華は、だまりこんだ。
 
「なんなの、その態度。バカ女らしくないわよぉ。」
 
「アキちゃん、失礼だよっ。」
 
「真莉亜・・・・・・。」
 
「真莉亜がそんなにあきらめるの、初めて見たわ。」
 
「元気を出してください、真莉亜様。」
 
みんな、ほっといてよ!ほっといて、ほっといて、ほっといて、ほっといて、ほっといて!
 
「ゔ・・・・・・ゔぅ。」
 
「春間真莉亜!」
 
クリスさんが、私に向かって、さけんだ。
私は、クリスさんの方を振り返った。
 
「あんた、なんでジュンブライト様を好きになったの!?」
 
「・・・・・・恋に落ちたから。」
 
「そうでしょ!彼女であるあんたが、弱音を吐くなんて、バッカみたい!もっと強気になりなさいよ、強気に!そんなんじゃ、ジュンブライト様の彼女とは、言えないわ!」
 
クリスさん・・・・・・。
クリスさんは、「はぁ。」と息をついた。
 
「あーあ、久しぶりに、あんたにムカついちゃった。」
 
クリスさんは、ニヒッと笑った。
 
「ゔ・・・・・・ゔぅ・・・・・・。」
 
私の目に、じわりと涙があふれて来た。
 
「ほら、また泣く。あんた、本っ当に、泣き虫なんだから。」
 
クリスさんは、泣いている私を見て、にこりと笑った。
 
 

 
 
強気・・・・・・か。
私、できるかなぁ?
プラスに考えるんだ、私!
私は、ジュンブライトの彼女なんだ!
ジュンブライトを、元に戻すんだ!
ガラッ。
わわわ!ジュンブライトが入って来た!
 
「なんの用だ。」
 
あ、あの・・・・・・ちょっとぉ、そのぉ・・・・・・。
 
「早く言え!」
 
ジュンブライトが、拳をたたきつけて、私をにらんだ。
 
「また俺に、なぐられてぇのか。」
 
ち・・・・・・ちがう!
 
「うそつけ!」
 
やめて、ジュンブライト!
 
「!?」
 
ん?私、なぐられてない!
これは一体、どういうこと!?
ジュンブライトの顔を見上げると・・・・・・。
ジュ・・・・・・ジュンブライトが、拳を上げたまま、かたまってる!
 
「ジュンブライト?」
 
「・・・・・・・ゔぅ。」
 
ジュンブライトは、頭をかかえて、しゃがみこんだ。
 
「うわぁぁぁぁぁ!」
 
「『お前、名前なんだ。』」
 
「『私は春間真莉亜です。』」
 
「うわぁぁぁぁぁ!」
 
「『嫌いって言ってごめん・・・・・・だからゆるして。』」
 
「ぐっ・・・・・・ぐわぁぁぁぁぁ!」
 
「『私ね、ず―っと前から、あなたのことが、好きでした!』」
 
「あぁぁぁぁぁ!」
 
「ジュンブライト!」
 
私は、背後から、ジュンブライトをぎゅっとだきしめた。
 
「あぁぁぁぁぁ!」
 
「『ジュンブライト。』」
 
「『ジュンブライト・・・・・・。』」
 
「『ジュンブライト!』」
 
「『ジュンブライト?』」
 
「うわぁぁぁぁぁ!」
 
「『愛してるよ、ジュンブライト。』」
 
「あ・・・・・・あぁ・・・・・・。」
 
ジュンブライトは、私の手をぎゅっとにぎった。
 
「真莉亜・・・・・・。」
 
「ジュンブライト・・・・・・。」
 
ジュンブライトは、私の方を振り向くと、包帯を巻いている私を見て、びっくりした。
 
「おい、その包帯、どうしたんだ?」
 
ジュンブライトが、口をポカーンと開けたまま、私の方を指さした、
 
「これ?これはね・・・・・・。」
 
「けがしたのか?」
 
あ・・・・・・。
 
「もしかして、俺がやったのか?」
 
「・・・・・・。」
 
私が無言でうなずくと、ジュンブライトは、「うわぁー!」と、また頭をかかえて、しゃがみこんだ。
 
「ジュンブライト・・・・・・。」
 
私が近づこうとすると、ジュンブライトは、手で来るなっと合図をした。
 
「来るな、来るな、来るな、来るなぁ!」
 
ジュンブライト・・・・・・。
ジュンブライトは、「ゔぅ。」とうなだり始めた。
 
「大切な人を巻き込んじまったじゃねぇか・・・・・・俺のバカ、俺のバカ、俺のバカ―ッ!」
 
ジュンブライト!自分をなぐるのはやめて!
 
「止めるな!」
 
ジュンブライト!この傷は、あなたにやられたんじゃない!暴力団時代のあなたにやられたんだよっ!
 
「え?」
 
ジュンブライトは、自分をなぐるのをやめて、私の方を振り向いた。
 
「暴力団時代の記憶がよみがえったんだよ。だから・・・・・・。」
 
私は、包帯をクルクルっとほどいて、ばんそうこうをはがした。
 
「自分を責めるのは、やめて。」
 
「真莉亜・・・・・・。」
 
ジュンブライトは立ち上がって、私の方に向かって、歩き始めた。
そして、私の顔を、両手で上げて・・・・・・・。
チュ・・・・・・。
熱いキスをした。
私達は、唇を離した。
 
「ジュンブライト・・・・・・。」
 
チュッ、チュッ、チュッ・・・・・・。
私達は、また熱いキスをした。
 
「・・・・・・好き。」
 
「俺もだ。」
 
チュッ、チュッ、チュッ、チュッ・・・・・・。
私達は、キスをし続けた。
ジュンブライト、大好きだよ。
私、あなたのこと、もっと、もっと、もっと、もっと知りたい。
過去のことも、全部知りたい。
素顔も、知りたいな。
趣味とか、特技とか、心の底から知りたい。
ジュンブライト、あなたのこと、もっと教えて。
 
 
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