超絶美形だらけの異世界に普通な俺が送り込まれた訳だが。

篠崎笙

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秋の国

叛意する、純粋な白。

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エセルは、”印の力”で触れずに石を持ち上げてみせた。

『おお、私にこのような力があったとは!』
大喜びだ。

ザラームはその数百倍くらいの岩を軽く持ち上げてたけどな。
と思いつつ羨ましく思う俺だった。


元々、この世界の人間には魔力があって。
魔動ボードも、その力で動かすことが可能だ。

”印持ち”は。
その中でも、桁の違う魔力を持った人のことだったようだ。


じゃあ、黒って、相当凄かったんだな。
飛んできた矢が四散したのも、この印の守護だったと思う。印が熱くなったし。


ザラームの力は、今でも俺を守ってくれてるんだ。


◆◇◆


赤の紋章も、何かあるんだろうか?

そういえば、異世界に来てから風邪とか引いてないな。
病気避けとかだったり?


左手を見ていると。

『左手に赤き月の刻印スィギルム ルーナ……それは、発明王の后妃の印ではありませんか?』
ルークが俺の手を見て、言った。

手に持ってる本。”愛に生きた我が人生”?
ここにもラグナルのファンが。

もう一冊あるのは、シグルズの自伝で。
後日談が書かれているが、あまりにファンタジックな内容すぎて、創作だろうと言われてるそうだ。

121年前に消えた若いままの母が、黒の王と共にやって来た、とか。
確かにファンタジーすぎて、誰も信じないよな。


『名も同じとは。偶然ではないのでしょう?』
と首を傾げると。
青みがかった銀髪が、さらりと流れた。綺麗な髪だ。

ルークは15歳だっていうけど、俺よりも背が高いし、妙に色気がある。


「そうだけど。お兄ちゃんには内緒な?」
絶対拗ねるだろうし。


ルークは、石を持ち上げてはしゃいでいる兄を、冷めた目で見ていた。

『……格上の存在を教えておくのも、悪いことではないと思いますがね』
わりと辛辣な弟であった。


◆◇◆


「ん……、」

気がついたら。
ごそごそと、身体を弄られていた。

寝込みを襲うとか。どういうつもりだエセル。


もう、後ろは慣らされていて。
後ろから、ぎゅっと抱き締められて。

足を開かされる。

「う、……んん、」
熱いのが、入って来てる。

……でも、何か。
違和感が。


『凄い、……素晴らしいですよ、イチ殿』

「!?」
え、この声。

まさか。……ルーク!?


『儀式の洞窟で。目が合ったでしょう? ひと目見た途端、運命を感じたのです。この人こそが、わたしの半身だと。なのに、兄上にさらわれて。どんなに悔しい思いをしたか……』
熱い囁きに、ぞくぞくする。

「い、ああっ、」
奥まで、突っ込まれて。

圧し掛かられて。ぐいぐい腰を押し付けられる。

『すごい締め付けだ……兄上の大きいだけのアレに、相当陵辱されたでしょうに。処女のように、きついですね?』
「あっ、ん、やぁ、……っく、」


嘘だろ。
犯されてるのに。こんな。

身体は、もっともっとと、欲しがってる。


『……わたしのものにしますよ、イチ。寵愛を、受けなさい』
耳たぶを甘噛みされて。

耳が、熱くなって。


……中に、出された。
その感覚に、ぞくぞくしてしまう。


◆◇◆


身体を引っくり返されて。
正面から、足を持ち上げられる。

「え、また? ひあ……っ!? ああっ、」
一気に、奥まで突き上げられた。

衝撃で、イってしまう。


『……”印の力”の強さなら。わたしのほうが、兄よりもずっと上だ』
ルークが髪をかき上げると。長い耳が見えた。

ルークの耳たぶに、白い、印……?

白なんて。初めて見た。
印を持たない人には、何も出ないはずだ。

でも。さっき、試してみたら。
兄が持ち上げることのできなかった石が、軽々と持ち上がったという。


『……白に、染まれ』
囁かれて。

左手の印と胸の印が、白くなった。
おそらく、耳の印も。

……これは。
ザラームも、していた。

それよりも強い力でなければ、色を塗り替えるのは不可能だって。

と、いうことは。
黒よりも、上の印が存在していたんだ。


『できた。……何でも出来るのですね、これは。ああ、もっと早く知っていれば、あなたを、兄などに奪われなくて済んだものを』

何を考えているのか。
どす黒い、重い空気を感じて。

ぞっとした。


これは。
この力は、危険だ。

いやな予感がする。放置してはいけない。
拒んではいけない。


「ルーク」
頬に手を当てて、正面から顔を見詰める。

”印”は、嘘を見抜くという。
力が強いものほど、人を信じられないのは、そのせいなんだろう。

心からの言葉じゃないと、響かない。


「この力は、私利私欲のために使ってはいけない。人のために、使って欲しい」

ルークは目を瞬かせて。

『いいですよ。約束します。あなたが、わたしの伴侶として、そばにいてくれるなら。わたしはその願いをかなえましょう』
そう言って、微笑んだ。


それはまるで、天使のような微笑みだった。


◆◇◆


翌日からは、大騒ぎだった。

ルークが、印の力を見せ付け、皇帝を交代させることになった。
有無を言わせない、力づくの強行突破だ。


黒よりも、強い。
その力に逆らえる者などいなかった。

前皇帝は、蟄居という名の投獄に処すという。

かわいそうだと言ったら。
なら国外追放と選ばせる、といった。

エセルは、神官のセスと共に、国を出された。

”夏の国”に行くのかもしれない。
そんな気がした。


国の名は、”テルラの国 アウトゥムヌス”に戻され、ルークは”秋の国”の新王となった。

叛意を持つものは、”印”でそれがわかるので、全て追い出され。
城に残ったのは僅かな兵と、自動人形だけとなった。


しかし、国民から、この新しい王は好意的に受け入れられていた。

エセルは、自分の出来ることがわからなかっただけで、悪い王ではなかったと思うけど。
国民からは怠惰な王だと思われていたようだ。


『さあ、イチ。わたしは、王として、何をすべきだと思う?』

望めば、何でも出来るだろう。
神の如き力で。

間違った使い方だけは、させてはいけない。


考えろ。
俺に。何ができる?
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