真事の怪談~魔性黒電話 通話25件~

松岡真事

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第08報『テニスラケット』

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 本当に変な話なんですけど、バカにしないで聞いて下さいね?と。書店員の水口さんが語ってくれた話。

 今から10年ちょっと前、水口さんが友達と一緒に近所の夏祭りに行った帰りのこと。
 寂しい田んぼ道を3、4人の友人らとダベりながら歩いていると、前方に丸くしゃがみ込んだ人影のようなものが見えた。
 電灯の明かりでよくよく見れば、それは肩口にタトゥーを入れたチャラめの若者だった。やがて向こうもこちらに気づいたと見えて小さく会釈をしてきたという。

「あ、サーセン。ちょっと立て込んでンで、ほっといて下さい」

 男はガンつけるような目つきで、片手に持った何かにずっとブツブツ、不機嫌そうに声をかけている。
 携帯電話?と思ったが、違った。
 というか、どこからどう見てもそれはだ。

(おい、やべぇんじゃねぇかコイツ・・・)
(もう行こう。絡まれたりすると面倒だ)

 水口さん一行は口元を引きつらせながら、男の傍を通り過ぎようとした。
 と、その時、

「ぐわあああぁぁぁぁっっっ」

 という怒号に重なって、パンパン、ビンビンッ!と物凄い音が鳴り響いた。
 思わず振り向いて男の方を見ると、何と手に持ったテニスラケットのガットが男の叫びに従うように弾け切れており、その断片がちらほら、宙に舞ってさえいるではないか。

(え、え――っっ?!!)

 狂ったような叫び声は止まない。
 理解に苦しむ光景だったが、全員もれなく、すごくビビった。
 奇声を発する男を背に、皆その場から脱兎の如く逃げ出したという。


 ――翌日。その時一緒だった友人の一人からメールが入った。

『気になって昨日の場所に行ってみた。そしたら、ガットがズタズタになった真新しいテニスラケットが落ちてた。お前も見る?』

 そうしたためられていた。


 「いや、ちょっとムリ」と返信し、それきりだという。


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