13 / 255
2章 気持ちを育む
4
しおりを挟む
「お兄様!」
「ジーナ、怒るなよ。オレは取れって言ったんじゃない。取れるかと聞いたんだ」
それにしたって、ルーク様にとって包帯はみんなに火傷を見られないようにするためのアイテムなのだ。
さらしものにするようなことを、お兄様が言うなんて!
わたしがプンプン怒っていると、ルーク様が笑って言った。
「ジーナ、オレは大丈夫だ」
そうして、くるくると包帯を外していった。
火傷を消す力は、腕にしか使っていない。
だから、ルーク様のお顔半分は、今も火傷跡が残ったままだ。
「取りました」
ルーク様は真っ直ぐにお兄様とお姉様に顔を向けた。
「うん。ジーナの言う通り、普通だな」
「そうね、普通ですわね」
ふたりは驚きも怯えもなく、ルーク様を見てそう言った。
「……え?」
ルーク様は掛けられた言葉に目を丸くする。
「いや、ルーク様があまりに表に出て来ないから、貴族の子どもたちの間では、噂が広がっていたんだ。デイヴィス家のルーク様は、化物のようだと」
「お兄様!」
わたしはお兄様をキツくにらんだ。
「ジーナ、落ち着け。それで、うちのジーナがルーク様と婚約しただろう? 母上に連れられて行く茶話会で、他の貴族の子どもに聞かれるんだ。本当に化物のように気味悪いのかって」
貴族の子どもは貴族の子どもで交流がある。
将来、社交界で生きて行く為に、母親に連れられて行く茶話会で、他の貴族の子どもたちと交流をするのだ。
これが、小さな貴族社会と言われている。
「だけど、オレはルーク様に一度も会ったことがなかったから、何も言えなかったんだ。でも、今度は言えるぞ。別に普通だったって」
ルーク様はお兄様をじっと見つめた。
「え? 普通?」
そして、ぽかんと口を開ける。
今度はお姉様が話し出す。
「そうですわね。化物なんかに見えませんわ。普通ですわね」
「え? え?」
ルーク様は2人の話を聞いて、キョトンとしている。
きっと、キツい言葉を覚悟していたんだろう。
「ルーク様、オレたちは、転べは血だらけになるし、火傷したら跡が残るんだ。みんな、誰でも。だから、火傷跡があるからと言って、化物だと言うのはおかしいだろう。これで、オレはオレの目で確認した。今度茶話会で聞かれたら、普通だったって、ちゃんと言える」
「わたくしもきちんと答えますわ。うちの妹の婚約者は、普通の男の子だったって」
2人はルーク様へ優しく微笑んだ。
「さあ、ケーキを食べたら鬼ごっこしようぜ! ルーク様はいつもジーナと2人じゃ鬼ごっこもできなくてつまんなかっただろ?」
お兄様はわたしをいじわるそうな顔で見る。
そして、そんなお兄様にお姉様がかみつく。
「お兄様! わたくしは走れるようなドレスではありませんわ」
「ジーナも似たようなドレスだけど多分走るぜ。だったら、ドレス組にはハンデをやろう」
お兄様はとっととケーキを口に放り込んで席を立った。
もちろん、ドレスだからと言っていたお姉様も結構ヤル気だ。
「最初はオレが鬼な。ルーク様、必死で走れよ! いーち、にー、さーん」
お兄様が数を数えはじめたので、わたしとお姉様はパッと走り出した。
「ルーク様、早く逃げないと捕まっちゃうよ。うちのお兄様は足が速いんだから!」
「あ、ああ」
わたしが差し出した手を、ルーク様は掴んで走り出した。
花壇の中、花が植えてある所は絶対に入らないようにして、駆け抜ける。
「なあ、ジーナ」
「なんですか? ルーク様、走りながらしゃべると舌噛みますよ」
「オレはおまえにもらってばかりだな。温かさを」
「え? なんですか? あっ、きゃーっっ! もうあんなところにお兄様が!!」
きゃーっと悲鳴をあげながら逃げたけど、結局わたしは捕まってしまった。
ルーク様が、オレのせいだから、と言って鬼を代わってくれたので、わたしは本気で走った。
走って走って、お兄様とは反対方向に逃げたのに、ルーク様はわたしを追ってきて、わたしたち2人の他には誰もいない、バラの区画で手を掴まれた。
「ジーナ! 捕まえた」
「もおー。ルーク様、速いです。ハンデって、もらえるんじゃなかったでしたっけ? ハンデってなんですか?」
わたしはぶーたれる。
だって、お兄様はハンデくれるって言ったけど、結局もらってない気がする。
「ハンデがあってもなくても、ジーナはオレに捕まる運命なんだよ。誰がなんて言っても、もうジーナのことは離せない」
赤いバラに囲まれたお庭で、ルーク様がわたしをぎゅってした。
「どうしたんですか? ルーク様」
「なんでもない。さあ、みんなのところへ行こう」
「はい」
わたしたちは手を繋いで、ガゼボのあるところまで歩いて行った。
ガゼボまで行くと、走り疲れたお兄様とお姉様が、優雅にお茶を飲んでいた。
「ずるい! お兄様もお姉様も。わたしもお腹が空きました」
「食べればいーじゃん」
お兄様がわたしが座った席の前に、クッキーをバラバラと置く。
「いただきまーす」
大きな口を開けてクッキーを食べていたら、ルーク様が目を丸くしてわたしを見ていた。
「あれだけ走り回った後に、よくそんなに食えるな」
「運動の後のお菓子はおいしいです。ほら、ルーク様もあーん」
わたしがルーク様の口元までクッキーを持っていくと、ルーク様はお顔を赤くして固まったけど、すぐに口を開けてクッキーをもぐもぐ食べていた。
今度は、その様子を見ていたお兄様とお姉様が、固まった。
「み、見たか? エマ」
「見ましたわ、お兄様。まだ5歳だというのに、もうラブラブですわ……」
ラブラブ?
なんのこと?
わたしはわからずルーク様を見たら、ルーク様はラブラブの意味がわかっているようで、赤い顔のまま、クッキーをもぐもぐ食べていた。
「ルーク様、ラブラブって?」
ルーク様はビクッと体を震わせる。
「えー、なんだ。仲良しってことだよ」
ルーク様は顔を赤くしたまま、そっぽを向いて言った。
「へぇ。仲良しをラブラブって言うんですね。じゃあ、わたしはお姉様ともラブラブ?」
首をコテンと傾げると、お姉様は笑った。
「そうね。わたくしとジーナもラブラブですわ」
「あ、じゃお兄様もラブラブに入れてくれ」
「えー、だめだよー。お兄様はハンデくれなかったからラブラブに入れてあげません!」
ガゼボに笑い声が響く。
暖かい陽だまりの中、その人はやってきた。
「あら、ずいぶん楽しそうじゃない? オバケのくせに」
そう言って、いじわるを言うお兄様なんて比べ物にならないくらい、いじわるそうな笑みを浮かべた、末の姫様ローゼリア様がゾロゾロと護衛や侍女を引き連れて、わたしたちの前に現れた。
「ジーナ、怒るなよ。オレは取れって言ったんじゃない。取れるかと聞いたんだ」
それにしたって、ルーク様にとって包帯はみんなに火傷を見られないようにするためのアイテムなのだ。
さらしものにするようなことを、お兄様が言うなんて!
わたしがプンプン怒っていると、ルーク様が笑って言った。
「ジーナ、オレは大丈夫だ」
そうして、くるくると包帯を外していった。
火傷を消す力は、腕にしか使っていない。
だから、ルーク様のお顔半分は、今も火傷跡が残ったままだ。
「取りました」
ルーク様は真っ直ぐにお兄様とお姉様に顔を向けた。
「うん。ジーナの言う通り、普通だな」
「そうね、普通ですわね」
ふたりは驚きも怯えもなく、ルーク様を見てそう言った。
「……え?」
ルーク様は掛けられた言葉に目を丸くする。
「いや、ルーク様があまりに表に出て来ないから、貴族の子どもたちの間では、噂が広がっていたんだ。デイヴィス家のルーク様は、化物のようだと」
「お兄様!」
わたしはお兄様をキツくにらんだ。
「ジーナ、落ち着け。それで、うちのジーナがルーク様と婚約しただろう? 母上に連れられて行く茶話会で、他の貴族の子どもに聞かれるんだ。本当に化物のように気味悪いのかって」
貴族の子どもは貴族の子どもで交流がある。
将来、社交界で生きて行く為に、母親に連れられて行く茶話会で、他の貴族の子どもたちと交流をするのだ。
これが、小さな貴族社会と言われている。
「だけど、オレはルーク様に一度も会ったことがなかったから、何も言えなかったんだ。でも、今度は言えるぞ。別に普通だったって」
ルーク様はお兄様をじっと見つめた。
「え? 普通?」
そして、ぽかんと口を開ける。
今度はお姉様が話し出す。
「そうですわね。化物なんかに見えませんわ。普通ですわね」
「え? え?」
ルーク様は2人の話を聞いて、キョトンとしている。
きっと、キツい言葉を覚悟していたんだろう。
「ルーク様、オレたちは、転べは血だらけになるし、火傷したら跡が残るんだ。みんな、誰でも。だから、火傷跡があるからと言って、化物だと言うのはおかしいだろう。これで、オレはオレの目で確認した。今度茶話会で聞かれたら、普通だったって、ちゃんと言える」
「わたくしもきちんと答えますわ。うちの妹の婚約者は、普通の男の子だったって」
2人はルーク様へ優しく微笑んだ。
「さあ、ケーキを食べたら鬼ごっこしようぜ! ルーク様はいつもジーナと2人じゃ鬼ごっこもできなくてつまんなかっただろ?」
お兄様はわたしをいじわるそうな顔で見る。
そして、そんなお兄様にお姉様がかみつく。
「お兄様! わたくしは走れるようなドレスではありませんわ」
「ジーナも似たようなドレスだけど多分走るぜ。だったら、ドレス組にはハンデをやろう」
お兄様はとっととケーキを口に放り込んで席を立った。
もちろん、ドレスだからと言っていたお姉様も結構ヤル気だ。
「最初はオレが鬼な。ルーク様、必死で走れよ! いーち、にー、さーん」
お兄様が数を数えはじめたので、わたしとお姉様はパッと走り出した。
「ルーク様、早く逃げないと捕まっちゃうよ。うちのお兄様は足が速いんだから!」
「あ、ああ」
わたしが差し出した手を、ルーク様は掴んで走り出した。
花壇の中、花が植えてある所は絶対に入らないようにして、駆け抜ける。
「なあ、ジーナ」
「なんですか? ルーク様、走りながらしゃべると舌噛みますよ」
「オレはおまえにもらってばかりだな。温かさを」
「え? なんですか? あっ、きゃーっっ! もうあんなところにお兄様が!!」
きゃーっと悲鳴をあげながら逃げたけど、結局わたしは捕まってしまった。
ルーク様が、オレのせいだから、と言って鬼を代わってくれたので、わたしは本気で走った。
走って走って、お兄様とは反対方向に逃げたのに、ルーク様はわたしを追ってきて、わたしたち2人の他には誰もいない、バラの区画で手を掴まれた。
「ジーナ! 捕まえた」
「もおー。ルーク様、速いです。ハンデって、もらえるんじゃなかったでしたっけ? ハンデってなんですか?」
わたしはぶーたれる。
だって、お兄様はハンデくれるって言ったけど、結局もらってない気がする。
「ハンデがあってもなくても、ジーナはオレに捕まる運命なんだよ。誰がなんて言っても、もうジーナのことは離せない」
赤いバラに囲まれたお庭で、ルーク様がわたしをぎゅってした。
「どうしたんですか? ルーク様」
「なんでもない。さあ、みんなのところへ行こう」
「はい」
わたしたちは手を繋いで、ガゼボのあるところまで歩いて行った。
ガゼボまで行くと、走り疲れたお兄様とお姉様が、優雅にお茶を飲んでいた。
「ずるい! お兄様もお姉様も。わたしもお腹が空きました」
「食べればいーじゃん」
お兄様がわたしが座った席の前に、クッキーをバラバラと置く。
「いただきまーす」
大きな口を開けてクッキーを食べていたら、ルーク様が目を丸くしてわたしを見ていた。
「あれだけ走り回った後に、よくそんなに食えるな」
「運動の後のお菓子はおいしいです。ほら、ルーク様もあーん」
わたしがルーク様の口元までクッキーを持っていくと、ルーク様はお顔を赤くして固まったけど、すぐに口を開けてクッキーをもぐもぐ食べていた。
今度は、その様子を見ていたお兄様とお姉様が、固まった。
「み、見たか? エマ」
「見ましたわ、お兄様。まだ5歳だというのに、もうラブラブですわ……」
ラブラブ?
なんのこと?
わたしはわからずルーク様を見たら、ルーク様はラブラブの意味がわかっているようで、赤い顔のまま、クッキーをもぐもぐ食べていた。
「ルーク様、ラブラブって?」
ルーク様はビクッと体を震わせる。
「えー、なんだ。仲良しってことだよ」
ルーク様は顔を赤くしたまま、そっぽを向いて言った。
「へぇ。仲良しをラブラブって言うんですね。じゃあ、わたしはお姉様ともラブラブ?」
首をコテンと傾げると、お姉様は笑った。
「そうね。わたくしとジーナもラブラブですわ」
「あ、じゃお兄様もラブラブに入れてくれ」
「えー、だめだよー。お兄様はハンデくれなかったからラブラブに入れてあげません!」
ガゼボに笑い声が響く。
暖かい陽だまりの中、その人はやってきた。
「あら、ずいぶん楽しそうじゃない? オバケのくせに」
そう言って、いじわるを言うお兄様なんて比べ物にならないくらい、いじわるそうな笑みを浮かべた、末の姫様ローゼリア様がゾロゾロと護衛や侍女を引き連れて、わたしたちの前に現れた。
3
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する
みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。

公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる