元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

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ようこそ、Diabloへ。

エルside

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横ですやすや眠るハル。
ハルの顔にかかる髪の毛をどかすと擽ったそうに身動ぐ

「本当に未防備なんだから」

こんな姿ではあるがこれでも男だし
僕達が恋人なのわかってるのかね?
普通だったらこんな胸がはだけてたら襲われるよ?

柔らかなほっぺたをツンツンつつく

「…っ…めて……っ」

「ん?起きた?」

ちょっとほっぺたツンツンし過ぎた?

「っぅ…んじて……じゃないっ…」

「…ハル?」

先程までの穏やかな寝顔はどこにいったのか
いまじゃ胸元を抑え険しい顔をしてる

「いやっ……じゃないっ……ないっ…!…ィヴっ……」

「ハル!起きてっ!」

慌ててハルを揺さぶるとバッと飛び起きた。
ハァハァ息を切らし震えるハル

「っ!?…どうしたの?エル」

ぎこちない笑顔
きっとあの時の夢をまた見てたんだろう。
忌まわしい過去。ハルを手放してくれない過去…

「んーとね、怖い夢見たから一緒にホットミルク貰いに行って欲しいなって思って
起こしてごめんね。」

起きた時には自己防衛の為かハルは悪夢を覚えてない。
だから、僕は笑顔でハルを連れ出す。
今度こそいい夢を見てほしくて。

部屋を出て食堂へ向かう間クリスと出会った。
そのおかげか少し顔色が良くなった。

Diabloの中でクリスだけは特別だ。
古株だからとかではなく僕達にとってなくてはならない存在だ。
Diablo内でも頼れる兄貴的存在だという噂を聞いたことがある

「僕頼んでくる
クリスはブラックだよね?」

「おう、よろしくー」

カウンターに行けば笑顔で鞭を振り回すマオの姿が目に入った

「マオー!ホットミルク2つと珈琲1つー!後軽食ちょーだーい!」

正直此処ではこんな光景は日常だ
こんな事で頼むのを躊躇していたら何も頼めない

「アイヨー、ちょっと待ってろヨ
お前はさっさと汚れを舐めとるネ!」

「は、はぃいいいっ」

まぁ、あの男はドMなんだろう
めっちゃ喜んだ顔をしてるし

「お待ちー
コッチはボスのだヨ
心が落ち着くもの淹れたヨ
顔色余り良くないネ、寝不足はお肌に悪いヨ」

「ん、ありがと。マオ」

トレーを持って席に戻る

「これがハルのでこっちはクリス
これは皆のね」

「ありがとう、エル」

「サンキュー」

僕はただこの笑顔を守りたい。
ハルの隣にずっといたいなぁ…


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