元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

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ようこそ、Diabloへ。

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ギザ耳の男の子から牙を25本頂き
ギザ耳の男の子には念の為痛みを抑える飴を渡しておいた。

「それじゃあ、今度は拐われないようにね」

「あのっ!皆を助けてくれてありがとうございます!!」

ミィと呼ばれていたDiabloまで依頼に来た女の子が深く頭を下げた。

「彼処まで依頼に来たのは貴方よ。
下手したら死んでたかもしれないのに。
私達は依頼を叶えただけ。褒められるべきは依頼しに来た貴方と対価を払った彼よ。
それじゃあ、もう会わない事を祈ってるわ
エル、帰りましょう」

「''転移''」

最後に見たのは助けた猫さん達が私達に深く頭を下げている姿だった。

「おかえりなさいっ!」

「たでーま」

「ただいま、ハク。
あら、その服似合ってるわね」

ボロ布から黒の短パンに黒のうさ耳パーカー姿になっていた

「クリスさんがお古をくれたんです!」

「良く似合ってるわ」

「…へへ」

恥ずかしそうにフードを深く被るハクの頭を撫でる

「クリス、ハクの寝る場所やご飯くらい頼むわね
今日はもう眠るわ
ハク、また明日会いましょう」
 
「りょーかい」

「ま、また明日っ!」

ハクとクリスに手を振り自室に戻る
ソファー寝転ぶとトタトタとエルはあっちに行ってこっちに行ってと忙しなく動いている

それを横目に見ながら深いため息をついた。

「ハル、お風呂沸いたから入ろ」

そう言って先にお風呂場に向かうエル

「そうね、ありがとう」

服を脱ぎ捨てバスタオルを巻いて中に入る

Diablo内には大浴場があり、通常は皆そちらを使う。
私は使った事がないからどんなものなのかわからないけど

「ハル、こっち」

手を引かれ簡単に体を流しお湯につかる。

今日は嫌なことを思い出す日だった。
ハクを見た瞬間…一瞬息ができなくなった

「ハル、大丈夫だよ。
此処には僕しかいない。だから、強がらなくていいよ。」

私の背中にキスをしてぎゅうっと後ろから私を抱きしめるエルの腕はとても優しい

「嫌な事を…思い出したわ……
傷は…もう治ってるのに……痛むの…痛くて痛くて…堪らない」

「ハルは何も悪くない。悪いのは全部あいつらだ。
大丈夫だよ、ハル。もう二度とハルに傷なんてつけさせない」

ちゅっちゅっと背中にある傷の一つ一つにキスを落とす
もう消えることは無い傷
私はあの日の事を、あの日々の事を忘れる事は出来ないだろう。
背中にある沢山の傷跡を見る度に私は思い出す。
私は……いつまで彼処に囚われているんだろう


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