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第五噺『王の没落(後)』
六【尊重か、犠牲か】
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「少し休憩したら鬼ヶ島に戻ろう。焔夜叉が起きる前に戻らないと。ボクらが助けたことがわかったらきっと大変だから」
「お兄ちゃんが思っている程、助けられたことをそんなに気にしないかもしれないよ」
「まさか!」
春日童子は目を大きくして断言した。
「スクナは焔夜叉の自尊心の高さを知らないからそんなことを言えるんだ。いいか、スクナ。ボクの角と髪の色をいつも恨めしそうに見て、何かしら仕掛けてくる奴だぞ。ボクなんかに助けられたと知ったら、どうなることか。スクナもこの恐ろしい鬼には今後決して近付くことのないように。ボクなんてな、本当にいつもいつも……」
「お、お兄ちゃん。起きちゃうから」
スクナは口元に人差し指を立てて「しっ」と呟いた。二匹は焔夜叉を見ると、相変わらず眉間に皺を寄せて苦しそうに眠っていた。
「それにしても呉葉お姉ちゃんって、すごいよね。鈴鹿御前さんの様子がおかしいから、尾行してみなさいなんて。それでこうやって当たるんだから、まるで預言者のようだわ」
「……そうだな」
スクナの言葉に、春日童子は何かを思案するように押し黙った。
「お兄ちゃん?」
「そろそろ行こうか、スクナ。ボクが焔夜叉を抱えて行くから、スクナは誘導を頼むよ。どうせ天狗さんたちが高みの見物を決めているだろうから、捏造に一役買ってもらおう」
春日童子は立ち上がると、まだ痛む全身を奮い立たせて焔夜叉を担ぎ上げ、小屋を後にした。
鬼ヶ島に戻った次の日の学校では、鈴鹿御前の裏切りのことがすでに噂になっていた。
節分の際は、鬼たちがきちんと邪気をもらえているのかどうか、空から天狗族たちが見守っているからである。
坂上家での出来事は、鈴鹿御前が結界を張っていたためか天狗族が見ることは出来なかった。
だが、焔夜叉が鈴鹿御前の角を折ったということを、春日童子とスクナが上空を待っていた天狗族の一匹に報告をすると、たちまち焔夜叉の武勇伝が広まったのである。
天狗族の情報網は早いのだ。
焔夜叉が裏切りの制裁として彼女の角を折ってきたと鬼たちが知ると、焔夜叉に尊敬と敬意を払う鬼が増えたようだった。
焔夜叉はそれについて苦い顔をしながら沈黙を守っていた。
「おお、我が息子よ、それはさすがに清めの豆に当たりすぎではないのだろうか?」
先日の節分祭の帰り、家に着いた二匹を待ち受けていたのは、父の説教だった。
呉葉はすでに床に就いたということで、その長い説教を聞くことはなかったが、風鬼は春日童子とスクナと正座させ、自分は仁王立ちをして淡々と説教を繰り出した。
しかも酒を飲みながらだから性質が悪い。
「だからね、狂犬病っていう犬がいる家に当たってしまって大変だったの。人間も豆をたくさん撒いていたし、怒られるどころかスクナに怪我をさせなかったことを褒めてくれてもいいんだけどな」
父は呆れたように首を振った。
「だから二匹とも人間から邪気をもらってこられなかったわけか」
へらへらと笑いながらおかしそうに言う風鬼は、ただの酔っ払いだ。スクナを早く寝かせてやりたかったが、スクナは正座をしながら舟を漕いでいるようだったので、結局春日童子一匹が父の説教に遭うことになった。
「確かに邪気をもらえなかったのはボクの責任ですけれども、大変だったんだよ」
心身の余裕がなかったため、あの後鬼ヶ島まで逃げるのに精一杯で、今年の節分祭には人間の邪気を吸い取ってくることが出来なかったのだ。
「そんなに清めの豆に当てられてひどい怪我だ。犬の傷だってひどいぞ。スクナに何もなかったから良いものの、妹もそんな危険な家に行かせるなんて」
「さすがに妹は守りますよ。命に代えても」
普段飄々としている分、本気になって心配されるとさすがに春日童子も落ち込んでしまいそうになる。
「噂によるとあの焔夜叉も邪気を吸ってこなかったらしいぞ。お前といい、スクナといい、今年は結構失敗した鬼が多いのだな」
父は節分の当日、人界で仕事が入ってしまっていたので、その家の人間から速やかに邪気を吸い取ってきたらしい。
毎年一緒に行くのだが、今回は春日童子とスクナだけに行かせたのが失敗だった、スクナは自分が連れて行けば良かったと、父は延々と話し続けていた。
「呉葉ちゃんは一匹で行動させるくせに、どうしてボクらはそんなに信用ないんですかね」
「呉葉はしっかりしているからだ」
試すような笑顔で言った風鬼に、春日童子は深くため息をつく。
「課題の再々々提出の宿題があるので、もうボクはこれで失礼しますね。ちょっとね、ボク今日は感傷的なのですよ。父さんはスクナを寝室に運んでやってね」
春日童子は痛む傷を押さえながら、ゆっくりと立ち上がると、静かに家の外へと出て空を見上げた。
暗闇の中に綺麗な上弦の月が出ており、その形が鈴鹿御前の角のように見えて、春日童子は目を細めた。
あんな感じで良かっただろうか、と春日童子はふと省みた。
両手を広げてみたら、小刻みに震えていた。終わってからくる彼の心の震えが手に伝わったようである。
人として生きると決めた鈴鹿御前の心に、鬼に対しての『罪悪感』だけは残しておいては駄目だと判断した。
鈴鹿御前を容赦なく罵倒することによって、鬼に対して未練を残さぬようには出来たはずだ。
もう決して鬼ヶ島に戻ってきたいなどと思っては駄目なのだ。
本当ならば彼女が鬼に憎しみを抱かせるようにしなければならなかった。
今後鈴鹿御前が人間社会で嫌なことがあったら、鬼ヶ島に逃げ帰ってきてしまうかもしれない。
それでは、坂上に対して不信感を抱かせることになってしまう。
そしてああすることで、人間にも鬼対鬼の構図を見せられた。
あれだけやれば、完全に鈴鹿御前は鬼と敵対していると思うだろう。
鬼に鈴鹿御前を任せてはおけない、人間である自分たちがか弱い鈴鹿御前を守ってやらなければという使命感を植えつけることが出来たのならば成功だ。
成功していたのであれば、彼女は人間として一生を幸せに生きることが出来るだろう。
目立つ一本の角も取った。人間の外見に近付いた鈴鹿御前が、人間たちにいじめられるという可能性も低くなったはずだ。
坂上と対峙したときの自分の態度に抜かりはなかっただろうか。
自分の判断は間違っていなかっただろうか。
もっと違う素晴らしい解決法があったのではないだろうか。
瘤取りのときのように何も考えずに行動して、また呉葉に怒られないよう考慮し、出来るだけ色々な思いに配慮しつつどれが最良か判断して行動したつもりだが、誰かの心を重んじることは誰かの心を犠牲にするということで、それは何と難しく罪深いことなのかと痛感した。
全ての者の心を尊重し、良い方向へと導くことは非常に難しい。
春日童子は月を見上げて一番の犠牲者、焔夜叉のことをしばらく考えていた。
「あいつには悪いことをしたな……」
鈴鹿御前を無理にでも鬼側に連れ戻すことは出来なかっただろうか。
本当は強引に鈴鹿御前を鬼側に戻してやった方が焔夜叉にとっては最良だったのではないだろうか。
両手を強く拳に握ってみたが、震えが止まることはなく、正確な答えはわからなかった。
何度か拳を解いたり握ったりしていたが、やはり震えが止まらずひどくなるばかりだ。
春日童子は色々な考えを巡らせたためか頭痛に見舞われ、それ以上考えることをやめた。
犬に咬まれた傷は、次の満月までに治るよう、銀の光が降り注ぐ上弦の月に祈りを捧げておくことにした。
*第五噺『王の没落(後)終わり』*
「お兄ちゃんが思っている程、助けられたことをそんなに気にしないかもしれないよ」
「まさか!」
春日童子は目を大きくして断言した。
「スクナは焔夜叉の自尊心の高さを知らないからそんなことを言えるんだ。いいか、スクナ。ボクの角と髪の色をいつも恨めしそうに見て、何かしら仕掛けてくる奴だぞ。ボクなんかに助けられたと知ったら、どうなることか。スクナもこの恐ろしい鬼には今後決して近付くことのないように。ボクなんてな、本当にいつもいつも……」
「お、お兄ちゃん。起きちゃうから」
スクナは口元に人差し指を立てて「しっ」と呟いた。二匹は焔夜叉を見ると、相変わらず眉間に皺を寄せて苦しそうに眠っていた。
「それにしても呉葉お姉ちゃんって、すごいよね。鈴鹿御前さんの様子がおかしいから、尾行してみなさいなんて。それでこうやって当たるんだから、まるで預言者のようだわ」
「……そうだな」
スクナの言葉に、春日童子は何かを思案するように押し黙った。
「お兄ちゃん?」
「そろそろ行こうか、スクナ。ボクが焔夜叉を抱えて行くから、スクナは誘導を頼むよ。どうせ天狗さんたちが高みの見物を決めているだろうから、捏造に一役買ってもらおう」
春日童子は立ち上がると、まだ痛む全身を奮い立たせて焔夜叉を担ぎ上げ、小屋を後にした。
鬼ヶ島に戻った次の日の学校では、鈴鹿御前の裏切りのことがすでに噂になっていた。
節分の際は、鬼たちがきちんと邪気をもらえているのかどうか、空から天狗族たちが見守っているからである。
坂上家での出来事は、鈴鹿御前が結界を張っていたためか天狗族が見ることは出来なかった。
だが、焔夜叉が鈴鹿御前の角を折ったということを、春日童子とスクナが上空を待っていた天狗族の一匹に報告をすると、たちまち焔夜叉の武勇伝が広まったのである。
天狗族の情報網は早いのだ。
焔夜叉が裏切りの制裁として彼女の角を折ってきたと鬼たちが知ると、焔夜叉に尊敬と敬意を払う鬼が増えたようだった。
焔夜叉はそれについて苦い顔をしながら沈黙を守っていた。
「おお、我が息子よ、それはさすがに清めの豆に当たりすぎではないのだろうか?」
先日の節分祭の帰り、家に着いた二匹を待ち受けていたのは、父の説教だった。
呉葉はすでに床に就いたということで、その長い説教を聞くことはなかったが、風鬼は春日童子とスクナと正座させ、自分は仁王立ちをして淡々と説教を繰り出した。
しかも酒を飲みながらだから性質が悪い。
「だからね、狂犬病っていう犬がいる家に当たってしまって大変だったの。人間も豆をたくさん撒いていたし、怒られるどころかスクナに怪我をさせなかったことを褒めてくれてもいいんだけどな」
父は呆れたように首を振った。
「だから二匹とも人間から邪気をもらってこられなかったわけか」
へらへらと笑いながらおかしそうに言う風鬼は、ただの酔っ払いだ。スクナを早く寝かせてやりたかったが、スクナは正座をしながら舟を漕いでいるようだったので、結局春日童子一匹が父の説教に遭うことになった。
「確かに邪気をもらえなかったのはボクの責任ですけれども、大変だったんだよ」
心身の余裕がなかったため、あの後鬼ヶ島まで逃げるのに精一杯で、今年の節分祭には人間の邪気を吸い取ってくることが出来なかったのだ。
「そんなに清めの豆に当てられてひどい怪我だ。犬の傷だってひどいぞ。スクナに何もなかったから良いものの、妹もそんな危険な家に行かせるなんて」
「さすがに妹は守りますよ。命に代えても」
普段飄々としている分、本気になって心配されるとさすがに春日童子も落ち込んでしまいそうになる。
「噂によるとあの焔夜叉も邪気を吸ってこなかったらしいぞ。お前といい、スクナといい、今年は結構失敗した鬼が多いのだな」
父は節分の当日、人界で仕事が入ってしまっていたので、その家の人間から速やかに邪気を吸い取ってきたらしい。
毎年一緒に行くのだが、今回は春日童子とスクナだけに行かせたのが失敗だった、スクナは自分が連れて行けば良かったと、父は延々と話し続けていた。
「呉葉ちゃんは一匹で行動させるくせに、どうしてボクらはそんなに信用ないんですかね」
「呉葉はしっかりしているからだ」
試すような笑顔で言った風鬼に、春日童子は深くため息をつく。
「課題の再々々提出の宿題があるので、もうボクはこれで失礼しますね。ちょっとね、ボク今日は感傷的なのですよ。父さんはスクナを寝室に運んでやってね」
春日童子は痛む傷を押さえながら、ゆっくりと立ち上がると、静かに家の外へと出て空を見上げた。
暗闇の中に綺麗な上弦の月が出ており、その形が鈴鹿御前の角のように見えて、春日童子は目を細めた。
あんな感じで良かっただろうか、と春日童子はふと省みた。
両手を広げてみたら、小刻みに震えていた。終わってからくる彼の心の震えが手に伝わったようである。
人として生きると決めた鈴鹿御前の心に、鬼に対しての『罪悪感』だけは残しておいては駄目だと判断した。
鈴鹿御前を容赦なく罵倒することによって、鬼に対して未練を残さぬようには出来たはずだ。
もう決して鬼ヶ島に戻ってきたいなどと思っては駄目なのだ。
本当ならば彼女が鬼に憎しみを抱かせるようにしなければならなかった。
今後鈴鹿御前が人間社会で嫌なことがあったら、鬼ヶ島に逃げ帰ってきてしまうかもしれない。
それでは、坂上に対して不信感を抱かせることになってしまう。
そしてああすることで、人間にも鬼対鬼の構図を見せられた。
あれだけやれば、完全に鈴鹿御前は鬼と敵対していると思うだろう。
鬼に鈴鹿御前を任せてはおけない、人間である自分たちがか弱い鈴鹿御前を守ってやらなければという使命感を植えつけることが出来たのならば成功だ。
成功していたのであれば、彼女は人間として一生を幸せに生きることが出来るだろう。
目立つ一本の角も取った。人間の外見に近付いた鈴鹿御前が、人間たちにいじめられるという可能性も低くなったはずだ。
坂上と対峙したときの自分の態度に抜かりはなかっただろうか。
自分の判断は間違っていなかっただろうか。
もっと違う素晴らしい解決法があったのではないだろうか。
瘤取りのときのように何も考えずに行動して、また呉葉に怒られないよう考慮し、出来るだけ色々な思いに配慮しつつどれが最良か判断して行動したつもりだが、誰かの心を重んじることは誰かの心を犠牲にするということで、それは何と難しく罪深いことなのかと痛感した。
全ての者の心を尊重し、良い方向へと導くことは非常に難しい。
春日童子は月を見上げて一番の犠牲者、焔夜叉のことをしばらく考えていた。
「あいつには悪いことをしたな……」
鈴鹿御前を無理にでも鬼側に連れ戻すことは出来なかっただろうか。
本当は強引に鈴鹿御前を鬼側に戻してやった方が焔夜叉にとっては最良だったのではないだろうか。
両手を強く拳に握ってみたが、震えが止まることはなく、正確な答えはわからなかった。
何度か拳を解いたり握ったりしていたが、やはり震えが止まらずひどくなるばかりだ。
春日童子は色々な考えを巡らせたためか頭痛に見舞われ、それ以上考えることをやめた。
犬に咬まれた傷は、次の満月までに治るよう、銀の光が降り注ぐ上弦の月に祈りを捧げておくことにした。
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