上 下
5 / 30
第一章

両性具有

しおりを挟む
「驚きました。土・風・火・水の4系統を使われただけではなく、無詠唱でウィンドカッターまで使われました。
魔力量も倍くらいに増えています」

「このことは他言無用よ。マリーにも伝えておいて」

「はい」



こんな日々の繰り返しで3才になりました。

「ねえ、ライアっていくつなの?」

「80才ですが」

「あと120年か……」

「はい、エルフの寿命はそれくらいですね」

「僕が80才まで生きれば残りは40年。それくらいなら寂しくないよね」

「何がでしょう」

「僕と結婚して、僕が死んだ後で一人になる時間」

「まあ、光栄ですわ」

「冗談じゃないよ」

「でも、ジャスミン様はハーフですから、成人するまでどちらの性になるか分かりませんでしょ」

「ハーフって?」

「ご存じなかったんですか。ハーフというのは、男性と女性両方の性を持つ人のことです。
ほら、おちんちんの下に女性器があるでしょ。
10万人に一人と言われていますが、珍しいだけで普通に結婚できますからご安心ください」

「えっ、まさか……ホントなの」

「ですから、女性でもおかしくないジャスミンというお名前になったんですよ」

「そっか……、でも男だったら結婚してくれる」

「そうですね、それまでジャスミン様にに好きな人ができなかったら」

「やくそくだからね。
ちょっと狩りに行ってくる」

「暗くなるまでには戻ってくださいね」

短剣とリュックを背負い、森に出かける。
唯一の問題は獲物を持てないことだ。
だが、それも昨日までだ。
森に入り、イノシシを倒した後で火を起こし肉を焼く。
そして裸になって体内時計を加速させる。

「ふう、こんなもんかな」

夕べ思いついてベッドの中で試してみたら、着ていたパジャマがビリビリに破れてしまった。
今日は物置にあった大人用の胸当てと、腰布を持ってきている。

「待てよ、両性具有ってことは……」

いったん元の状態に戻り、女性であることを意識して体内時計を加速してみる。

胸が膨らみ、おちんちんが引っ込んでしまった。

「ホントに女性になれるんだ……」

胸を触ってみた。しかし、勃起するはずのモノがなかった。

もう一度男の姿になる。
これの難点は、おそろしく空腹になることだ。

10kgほどの肉をたいらげ、狩りと魔法の訓練を再開する。

身体強化で10mの崖を飛び越え、さらに風魔法を使って空を飛ぶ。

『ウィンドカッター!』 数百本の木が一瞬で切り倒されていく。

『エアードリル!』 崖に空気を回転させたドリルで穴をあけていく。

「ふう、こんなところで帰るか」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

愛して、哀して、胎を満たして

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:143

継母の心得

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:75,012pt お気に入り:24,140

変幻自在の領主は美しい両性具有の伴侶を淫らに変える

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:63

おまけの兄さん自立を目指す 番外編集

BL / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:1,939

処理中です...