両性具有の亡国王子は両方の性を満喫する

モモん

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第一章

無詠唱

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「では、風魔法の初歩をお教えいたします」

「はい、せんせい」

「では、指先に意識を集中して精霊に呼びかけます」

「はい」

「大いなる風の精霊ジン様、お力をお貸しください。『ウィンド』」

ヒュー……スカートが翻るような風が吹いた

「大いなるカジェの精霊ジンしゃま、お力をお貸しください。『ウィンド』」

ゴー!……台風のような強風だった

「えっ!」

「できたー!」

こういう時は、ごまかさないといけないのだ。


「まさか、一発で成功させたうえ、私よりも威力が強いなんて……」

「ねえねえ、次は」

「じ、じゃあ、土魔法にいきます。
手のひらを地面につけて、
大地の守護者ティターン様、お力をお貸しください『アースウォール』」

ズズズズ 1mほどの土壁がせりあがってくる。

「大地の守護者チターンしゃま、お力をお貸しください『アーシュウォール』」

ゴゴゴゴゴ さっきよりも高く、硬い壁ができた。

「できたー!」

「信じられません。アースウォールは中級魔法ですよ……」

「ちゅかれた……」

急に疲れがまわって立っていられなくなった。
そのまま、ライアに抱かれてベッドに直行する。


「ライア、これはどういう事なの」

「信じられませんが、中級魔法を一回で成功させました。
寝てしまったのは魔力の枯渇でしょう」

「エルフでもないのに2系統の魔法を……」

「あり得ないことですが、回復系を入れると3系統」

「人間はふつう1系統。多くても2系統が限界よね」

「一般的には。
しかし勇者様なら3系統」

「でも、それは勇者固有の聖剣を呼び出す魔法を入れてよ。
実際には2系統だわ。
死んでしまったこの子の父親も、身体強化1種類。どういう事なのかしら」



午前中は字の勉強と魔法の訓練で、午後は体の鍛錬と魔法に充てます。
昼寝の3時間で魔力が回復できるからです。

「炎の精霊はなんていうの?」

「イフリート様よ、どうして?」

「やってみる。
イフリートしゃま、力をかしてくだしゃい。『ファイア!』」

ゴー

「できたー!」

「水の精霊は?」

「ウ、ウンディーヌ様よ」

「ウンディーヌしゃま、力を貸してくだしゃい『シャワー』」

ジョー

「できたー!
精霊はこれだけ?」

「え、ええ、そうよ」

「ほかの魔法ってあるの?」

「ええ、身体強化はマリーが詳しいわ」

「氷は?」

「水と同じくウンディーヌ様よ。
ところでジャスミン様、疲れてないですか」

「まだ大丈夫みたい。やってみる。
『アースウォール!』」

ゴゴゴゴゴ

「呪文の詠唱は省略できるんだね。
じゃあ無詠唱で……」

「む、無詠唱ですか……」

バシュ!

「あっ、限界みたい……」
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