7人のメイド物語

モモん

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第四章 婚約者候補

拒絶反応

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 水車の軸に歯車を組み合わせてホーバオイルの搾り機を作り、同時に殻割り機も完成させる。
水車でくみ上げた水は、城壁の上にパイプを通して風呂まで流す。
風呂に入れる手前で、クリーンの魔法具で水をきれいにしながら加熱し、風呂へは滝のようにして落とし込む。
そして、女性用の脱衣室にマッサージ室を併設した。

 小さい子供たちは、朝からホーバとバラの実を摘んでくる。
ちなみに、風呂の周囲には、バラとホーバを植えて、将来的には外へいかなくてもすむように考えている。
こうして、公衆浴場フォンダンがオープンした。
男湯にはエール売り場も設け、年長の男の子たちが働いている。

「タウよ、出来上がったのう」

「はい」

「だが、まだ利用者がおらんな」

「これからですよ」

「女性用は、マッサージがあるというではないか」

「そっちは、パッチテストといって、オイルに対するチェックが必要なので、二日後でないと使えません。
いまのところ、パッチテストを終えているのは王妃さまと王女さまの二人だけですからね」

「タウ様大変です」

「どうしたの?」

「マッサージの予約が殺到してしまって」

「わかった、すぐ行く」


「すぐにマッサージを受けられないってどういうことなの?」

「はい、医療課のタウです。
ここで使うオイルで、肌が荒れたり、拒絶反応が出ないか確認する必要があるんです」

「拒絶反応が出たらどうなるの?」

「人によって違いますが、少し赤くなる程度ならそれほど心配ないんですけど、全身に塗りますから、ひどい人は呼吸ができなくなったりします。
ですから、試しに腕にオイルを塗って、二日間様子を見させてもらいます」

「それをやればいいのね」

「はい。お願いします」

 騒ぎは収まり、全員パッチテストをした二日後以降の予約を受付します。
二日後のスケジュールはあっという間に埋まってしまいました。


「オイルづくりはどう?」

「この攪拌っていうのが大変だよ」

「うん、疲れたら交代するようにね。
これを乳化させて混ぜることで、オイルが使いやすくなるんだ」

「ほら、文句言わないで手を動かせ。
これで、腹いっぱい食べられるようになったんだから」

「ははは、そう。おなか一杯食べて頑張ってよ」

「こっちの、バラの実をつぶすのも大変なんだよう」

「おれたちみたいなガキを雇ってくれるとこなんて、他にないんだから頑張れ」

「うん、ご飯のために頑張る」
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