7人のメイド物語

モモん

文字の大きさ
上 下
32 / 142
第一章 一人と7人のメイド

復讐

しおりを挟む
「酒で酔っぱらって、暴れるようなのはないかい」

「そんなのはないけど、痛覚を麻痺させるのならあるわよ。
薬が切れたとたんにつけが回ってくるやつ」

「それいいね。
隊の飲み水に混ぜようか。
ほかには?」

「便秘にさせるのはどう。
おなかが痛くなって、地獄の苦しみよ」

分隊はこうして手足をもがれていった。
死んでないために、人員の補給もできない。

そして、こちらに仕掛けられる程度の健康者も残しておく。

「お前らだけで行ってこい」となるが、当然返り討ちにする。
ただし、今回は毒を使わず、適度に痛めつけて返してやる。

こうすることで、隊の中に不穏な空気が流れていった。

体調不良も起こさず、軽いけがで戻ってくるのはおかしい……と。



こうして分隊は空中分解した。
仮にも正規部隊なのだから、正面切って殴りこむわけにはいかない。
だが、母さんを手にかけたあいつだけは許せない。
俺はシノブに頼んで、あいつの行動をかんししてもらった。
そして、酒を飲みに出かけたという日に待ち伏せした。

アイラさんに手伝ってもらい、あいつを暗闇に引っ張りこむ。

「お兄さん、私といいことしない」

「お、おれか」

だらしなく誘い出された奴の前に出る。

「なんだ、タウじゃねえか」

「か あ さ ん を 殺した」

「ああん何を言ってやがる」

「ぼく の ひたいの きず が おぼえて る
あのよる おまえは」

「ああ、きったはずなのに突然消えやがったよな」

「ゆるさ ない」

「ああん、許さなけりゃどうするってんだ」

「こ ろ す」

「がはははは!その体で何しようってんだ」

「私がタウの手足なんだよ」

アイラさんが仕込みを抜く。
こんなところに箒を持ってくるなんて、場違いなんだが……

「なんだその剣は。
おもしれえ、二人とも叩き切ってやるさ

男は剣を抜いた。

その瞬間、アイラさんの仕込みが男の腕を叩き切った。

「どうする。
とどめをさすかい?」

「は い」

アイラさんから仕込みを借りて、男の胸を貫いた。



とりあえず、俺の復讐は終わった。
御典医については、シノブが薬の横流しや法外な治療費を請求していた証拠を見つけ、総務局長に渡した。
それを元に、解任し投獄となった。
国王は、御典医の職位自体を撤廃し、正式に厚生部医局を新設することになる。

俺は非常勤の医師として、医局のスタッフに任命された。
もちろん、俺の知っている知識や、母さんの資料は医局内で共有することとなった。
しおりを挟む

処理中です...