7人のメイド物語

モモん

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第一章 一人と7人のメイド

局長の本気

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「すみません局長、父がいうことを聞かなくて……」

「あはは、土木局長はああいう方ですからね。
なんの問題もありませんよ」

「でも、タウ君の許可なんていつの間に用意されたんですか」

「それは実際にワイルズ名誉男爵が陛下にいただいた許可ですよ。
あの方は、タウの素質に気づいておられたんですよ」

「タウ君の素質……ですか」

「君も昨夜見たんでしょ。
タウの知識は本物ですよ。
母親が他界されたあとは、母親の残した資料で一生懸命学んだそうです。
それと、自分の体が一番の勉強材料ですからね。
痛いところ、動かないところを何とかしようと一生懸命ですよ」

「確かに、見るたびに少しずつ治っているような気がします」

「治ってるんじゃなく、治してるンですよ」

「でも、すっきりしました。
いつも横柄な御典医にあれだけのことを突きつけられたんですから」

「俺はいつでも辞任覚悟だからね。
好きなことをいえるんだよ」

「それにしても、タウ君って何者なんですか。
医師の知識があって、この間も王妃様のワンピースをデザインして、美味しいものを次々と考え出すし……」

「体の不自由なただの子供。
それでいいんじゃないか?」

「そんな風におっしゃるの、局長だけですよ」

「あっ、もう一つあった。
うちの奥さんのお気に入り」

「うふふっ。
それも局長らしいですわ」

「さあ、御典医に喧嘩を売ったからには、患者を全部回されるかもしれないから、町の医師に声をかけてくれよ。
二人だけじゃ診きれないかもしれないからね」

「「「はい!」」」



総務局長が御典医に喧嘩を売ったこの日、裏のほうでも動きがあった。
手段を選ばず俺に仕掛けるんだと、シノブの情報でわかった。

俺はそれを局長に正直に伝えた。

「タウ、何かあったら遠慮なく俺を頼れ。
ジャニスがあれだけのことをいうんだから、万全の体制をひくんだろうが、それでも何が起こるかわからない。
いいな。絶対に遠慮するなよ。隠し事もなしだぞ」

「あり がとう」

うれしかった。
実の父親にも、ここまで言われたことはない。
信頼はされていたのだろうが……



「総務局長は頼もしい味方ですね。
じゃあ、こちらも遠慮なくいきましょう。
まずは分隊の隊長からです。
ミーシャ、適度に弱らせる毒はあるかい。
そうだな、歩けなくなるくらいがいいんだけど」

「なんで一思いにやらないの?」

「ジワジワと追い詰めようと思ってね。
食事にあたったと思わせる。
殺してしまったら、首を挿げ替えられておしまいだからね」

「思わせるんじゃなくて、あたってもらいましょ。
下痢と嘔吐を繰り返すタイプのやつ」
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