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後日談
18 (ヘンリー視点)
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その後直ぐに、前ウォール伯爵で有る父親が到着したとの報せが入り、ヘンリーは母を父に引き渡す。
その際、ヘンリーが母親のやらかした事を簡潔に伝え、相手は相当お怒りで、見るのも不快だと思われてるから、母上を早々に連れて帰って欲しいと頼む。
当然今回の話は、母方の家にもきちんと報告する事にした。
母親が今回の事で、祖父に助けを求める事も有り得るからだ。
そうなった所で、エヴァンス家の方には全く被害は無いだろうが、ヘンリーからすれば、母親が嘘偽りを語り、祖父や伯父方に多大なる迷惑と言う名の余計な火種が飛び火し兼ねない状況でも有る。
マディソンがやらかした分のアシュリーに支払う慰謝料は、母方の家に当たる侯爵家に事情を話し、その慰謝料の半分は侯爵家が負担し、もう半分は侯爵家からの融資と言う形で借金をしている状態だ。
本来なら母方の侯爵家には、支払いの義務は無い。
が、ヘンリーは近隣貴族達の母親の評価を知っていたし、祖父達が母親に甘過ぎた事も知っている。
学院に通い出した頃から、祖父達に『母上を甘やかさないで!』と、何度も手紙で注意したが、あまり聞き入れて貰えていなかった。
その母親が弟を特に甘やかし、溺愛してるから、程々にするように注意して欲しいとも言ったが、最後には母親の良いように丸め込まれる始末。
当然ヘンリーはその事を持ち出し、『勿論母上を甘やかした責任は取って頂けますよね?』と責任の半分を押し付ける事にした。
怒らせた相手は、貴族なら誰もが知るあのエヴァンス侯爵家と王家なのだから。
弟がやらかしただけで無く、母親までもがエヴァンス侯爵家と王家を敵に回す発言をしたと知れば、幾ら溺愛する娘や年の離れた可愛い妹だろうと、ヘンリーの母親を庇う気は無くなるだろう。
ヘンリーはアシュリーに支払う慰謝料をジーンに渡し、母親の入る施設の代金や道中の旅費、今回の迷惑料がどれ程の金額になるか、戦々恐々としながらも今回の事を謝罪し、エヴァンス家の要求を受け入れようとしていると、ジーンはヘンリーに提案を持ち掛ける。
「私は妻への慰謝料は、全て妻の実家だったここ、グリマード領に寄付をするつもりだ。歴代ゴート家当主の念願を叶える手助けになれば、との想いからだ。そしてそちらは今回の件に関しても、エヴァンス家とグリマード家に、迷惑料を支払う心積もりのようだが、ウォール家にそれ程の資産が有るようには見えない。そこで私からの提案だが、ウォール家の支払いは、ウォール領にネイルが出向き、ウォール領で作れる作物をネイルが見極め、領民にも育てて貰い、その収入の中から今回の迷惑料やネイルへの報酬、植物学者としての仕事料等も支払う事が条件だ。期限は十年内。それ以上延ばせば支払う気が無いと判断するが、この条件を受けるか受けないかは、当主で有る貴方次第だろう」
ヘンリーにとっては願ってもない申し出だ。
「その条件、有り難く受けさせて頂きます。ただ、一つだけお聞きしても?」
「何だ?」
「どうしてそこまで親身になって下さるのでしょうか?」
ヘンリーからすれば、ジーンがこんな提案を出す事自体、不思議でならない。
弟も加担した事で、ゴート家は潰えているのだ。それに今回の事も有る。
復讐なら、そのまま放置すれば良い。
今回の事を知れば、誰からも文句は出ないだろう。
だからこそ、疑心を抱いたヘンリーは、どうしてもジーンに聞きたくなったのだった。
その際、ヘンリーが母親のやらかした事を簡潔に伝え、相手は相当お怒りで、見るのも不快だと思われてるから、母上を早々に連れて帰って欲しいと頼む。
当然今回の話は、母方の家にもきちんと報告する事にした。
母親が今回の事で、祖父に助けを求める事も有り得るからだ。
そうなった所で、エヴァンス家の方には全く被害は無いだろうが、ヘンリーからすれば、母親が嘘偽りを語り、祖父や伯父方に多大なる迷惑と言う名の余計な火種が飛び火し兼ねない状況でも有る。
マディソンがやらかした分のアシュリーに支払う慰謝料は、母方の家に当たる侯爵家に事情を話し、その慰謝料の半分は侯爵家が負担し、もう半分は侯爵家からの融資と言う形で借金をしている状態だ。
本来なら母方の侯爵家には、支払いの義務は無い。
が、ヘンリーは近隣貴族達の母親の評価を知っていたし、祖父達が母親に甘過ぎた事も知っている。
学院に通い出した頃から、祖父達に『母上を甘やかさないで!』と、何度も手紙で注意したが、あまり聞き入れて貰えていなかった。
その母親が弟を特に甘やかし、溺愛してるから、程々にするように注意して欲しいとも言ったが、最後には母親の良いように丸め込まれる始末。
当然ヘンリーはその事を持ち出し、『勿論母上を甘やかした責任は取って頂けますよね?』と責任の半分を押し付ける事にした。
怒らせた相手は、貴族なら誰もが知るあのエヴァンス侯爵家と王家なのだから。
弟がやらかしただけで無く、母親までもがエヴァンス侯爵家と王家を敵に回す発言をしたと知れば、幾ら溺愛する娘や年の離れた可愛い妹だろうと、ヘンリーの母親を庇う気は無くなるだろう。
ヘンリーはアシュリーに支払う慰謝料をジーンに渡し、母親の入る施設の代金や道中の旅費、今回の迷惑料がどれ程の金額になるか、戦々恐々としながらも今回の事を謝罪し、エヴァンス家の要求を受け入れようとしていると、ジーンはヘンリーに提案を持ち掛ける。
「私は妻への慰謝料は、全て妻の実家だったここ、グリマード領に寄付をするつもりだ。歴代ゴート家当主の念願を叶える手助けになれば、との想いからだ。そしてそちらは今回の件に関しても、エヴァンス家とグリマード家に、迷惑料を支払う心積もりのようだが、ウォール家にそれ程の資産が有るようには見えない。そこで私からの提案だが、ウォール家の支払いは、ウォール領にネイルが出向き、ウォール領で作れる作物をネイルが見極め、領民にも育てて貰い、その収入の中から今回の迷惑料やネイルへの報酬、植物学者としての仕事料等も支払う事が条件だ。期限は十年内。それ以上延ばせば支払う気が無いと判断するが、この条件を受けるか受けないかは、当主で有る貴方次第だろう」
ヘンリーにとっては願ってもない申し出だ。
「その条件、有り難く受けさせて頂きます。ただ、一つだけお聞きしても?」
「何だ?」
「どうしてそこまで親身になって下さるのでしょうか?」
ヘンリーからすれば、ジーンがこんな提案を出す事自体、不思議でならない。
弟も加担した事で、ゴート家は潰えているのだ。それに今回の事も有る。
復讐なら、そのまま放置すれば良い。
今回の事を知れば、誰からも文句は出ないだろう。
だからこそ、疑心を抱いたヘンリーは、どうしてもジーンに聞きたくなったのだった。
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