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後日談

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「伯父上、アーシュの本を買いに行くのは良いですが、王都では何かと問題になるので、エヴァンス領に帰ってからにして下さいね。それにエヴァンス領でなら、どれだけ伯父上が慕われているのか、存分に見て貰う事も出来ますよ」


 ジーンの発言に、それもそうかと納得するデュラン。

(伯父上の本性が知れたら、利用しようと考える奴等は必ず出てくるだろうし、野性的な勘で回避する事も多いだろうけど、相手に家の者達を鍛えて欲しいと言われたり、養女のアーシュを褒めたりすれば、余計な事もペラペラと喋り兼ねない。夜会等の催しはエヴァンス家の者達が目を光らせれば条件反射で伯父上も黙るけど、街の中ではそうもいかないからね)

 ジーンはデュークに目配せすれば、デュークも心得たとばかりに小さく頷く。

 こんなに謙虚で可愛い妹なら、親バカになるのも無理は無いが、だからと言って、その妹を巻き込み兼ねない事案が増えるのは見過ごせない。

 デュークが内心そう思っていると、そのデュークの影からひょっこりと姿を現す女性が居た。

 アシュリーの位置からはデュークの身体で完全に見えなかったのだが、デュークの最愛の奥方だ。

 デュークの奥方は小柄だが、意思の強そうな知的な瞳と、人形のような美しさと可憐さが備わり、また、大人の色気のような妖艶さを絶妙な具合で持ち合わせる。

 そんなデュークの奥方とアシュリーの目が合い、奥方はニッコリとアシュリーに微笑み掛ける。

(かかかかっ、可愛い方です!綺麗な方です!皆様、レベルが高過ぎますっ!!)


「お義父様、アーシュ様は、エヴァンス家とセイル家の家族ですわ。独り占めは嫌です。アーシュ様、わたくしデューク=セイルの妻の、エレーナと言います。この子はわたくし達の子でデューン。これから宜しくお願い致しますわね」

「こちらこそ、宜しくお願い致します。エレーナお義姉様、デューン君」


 エレーナの隣で、セイル家の侍女と思える者に抱き抱えられている小さな男の子にも、アシュリーが微笑むと、デューンはキャッキャと笑い出した。


「デューン君は、デュークお義兄様似ですね」


 アシュリーの言葉に、エレーナは食い付く。


「そうなのです!わたくし、デューンがデューク様に似ていたので、本当に嬉しく思っています。次の子も、デューク様に似ますようにと、お腹に言い聞かせているぐらいですわ♪」

「お子様がお腹の中に?!だだだだ、大丈夫ですか?セイル領は遠いですよね?!」

「安定期に入っているので大丈夫ですわ♪わたくしだって、アーシュ様にお会いしたかったのです。前は、隣のエヴァンス領にも行けずに悔しい思いをしましたもの。今回は来られて良かったです。一人、除け者にされるのは嫌ですからね♪」


 この後の帰宅時に、デュランがアシュリーをセイル邸に連れて帰ると駄々を捏ねたりもしたが、当然ジーンに却下されたのは言うまでも無い。
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