氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

後日談

6

　クロードは、エヴァンス領の本宅で、女の子の格好をさせられる事になったが、それを知った、ゾーイとリカルドは、僕もやる～！と手を上げた。


「女の子の気持ちを分かるには、体験するのが一番だからね。ドレスを着て苦戦する妹の気持ちも理解してあげるお兄ちゃんの方が、妹を気遣えるお兄ちゃんにもなれるし、将来のお嫁さんにも優しく出来るからね」


　サイナスのその言葉に、良いお兄ちゃんになる～！と二人も手を上げたようだ。

　子供達同士のお茶会、と言う設定で、初めて会う社交界前の令嬢達が、どんなお喋りをするのかと言う再現だ。

　そこで、自分達は極力情報を流さずに、他の人達の情報収集をする事も盛り込む。

　勿論、女装体験した事の有るランドールにも、執事として参加、見学をさせる。


「本来ウチで執事見習いの候補生にさせるのは、ここからなんだ。お前も序でに勉強して置け。子供の社交界前だろうと、既に令嬢達の会話と言うのは、貴族的な内容も出て来るからな」


　サイナスの言葉通り、侍女達の会話は、どこに嫡男が産まれ、今は幾つかとか、どこの令嬢は親交の有る誰それの侯爵の息子と婚約するだろうと言った話題が出ているのだ。


「サイナス、質問！」

「はい、何ですか？リカルド様」

「ここで名前が上がった、令息令嬢達は実在するの？それと、もし実在するなら、いつの情報なの？」

「ああ、良い所に気付きましたね。勿論実在する人達で、彼女達の情報は、ここ数ヵ月前の情報です。だから、覚えて置いても損にはなりませんよ」

「じゃあ、内容はそのまま信用しても良いって事だよね？」

「ええ。ただし、今後どうなるかまでは、予測不能ですので、そこはご了承下さいね」

「うん、分かった～！」


　そしてそのまま茶会を続け、リカルド達は上手に情報収集をしていった。

　情報は、貴族にとって、とても大事で重要な物だと教わっている為、三人共真剣に集めたようだ。


「ドレスを着て思った事は？」

「｢｢腰元キツい、服が重い、足がスースーする～！後、足元見えな～い｣｣」

「腰元のキツさは、大人のドレスの方がキツいですね。もっとキツく締めるので。重いのは、装飾が男性服より多いからです。スカートは風も入り易いし、広がるから足元が見えない。だから男性が注意してさしあげないといけませんね。大人になれば、踵の高い靴を履くので、特に足元は気を付けてあげて下さい」


　そして子供達から、集めた情報をクイズ形式で答えさせ、その全てを難なく答え、侍女達の名前とその侍女達の付けてた階級までを言い当てていく優秀さを見せ付けた。