氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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「いつも言ってるじゃない!そのダンさんって人、連れて来てよぉマッドちゃん~!」

「嫌よぉ!何度も言ってるじゃない!!そんな事すれば、ダンちゃんに怒られるだけじゃあ済まなくなるもの!ダンちゃんには綺麗な、男装の麗人って感じの恋人がいて、あたしがダンちゃんを娼館に連れて行ったなんて知れたら、出禁よ出禁!!絶っ対に大泣きされて、怨まれちゃうんだからぁ!」


 その様子がまざまざと思い浮かんで、マッドは駄目駄目!と手と首を思いっ切り振る。

 喩え、何事も無かったと言った所で、シルビアにとってのダンは、逃したくない唯一の相手。

 自分は男から嫌われるタイプだから、ダンも長年付き合ってくれなかったのだと勘違いしてるシルビアは、ダンからの想いを過小評価し過ぎている。

 シルビアは普段、男の服装を好んで着ているが、顔立ちはキリッとした聡明な美人で、スタイルが良く、背はリラよりも高い、女性に惚れられるタイプの女性だが、ダンの事が物凄く大好きで、犬かと言いたくなるような振る舞いになる程だ。

 そして、今は、リリーのドレファン行きが決まって、後任の教育が最終段階だった為、泣く泣く付いて行く事になり、ダンに、帰ったら結婚~とせがんでいたらしい。

 ダンは軽~く流していたが、マッドは知っている。

 ダンは、シルビアに聴こえない距離で、仕方ねぇなぁと言いながらも、物凄く優しい目で遠くなるシルビアを見送っていた事を。

(シーちゃんが帰ってきたら、ダンちゃんは約束だからと結婚するわね♪式には絶っ対に呼んで貰うんだからぁ!だからこそ、ダンちゃんを娼館に連れ込むなんて、絶っ対に出来ないんだからねぇ!!)


「ダンちゃんは、上位貴族の家に勤めてる使用人なんだから、無理難題言わないで頂戴!只でさえ目立つ容姿なのに、そんな噂が出回ったら、あたしがダンちゃんに絞められるわよぅ!!ダンちゃんはあたしよりも腕が良いんだからぁ!」

「そのダンちゃんって人は、マッドちゃんよりも強いの?」

「そうよぅ。でも、ダンちゃんを他の傭兵と、一緒にしちゃあ駄目よ?見た目は優男で、強そうに見えないから、お馬鹿な連中は騙されちゃうけどぉ、ダンちゃんはこの国の騎士隊長と、先代の騎士隊長を鍛えた事が有るらしいからぁ。ここだけの話、先代の国王陛下にまで気に入られちゃってるらしいのよねぇ」


 アナスタシアの護衛に、近衛騎士隊長がくっついて来て、ダンに手合わせして下さいと頼んでる事がよく有り、護衛にと言うより、ダンに会いに来てるんじゃないかと思える程なのだ。

(あれ、絶対ダンちゃん目当ての護衛よねぇ。まぁ、シアちゃんの周りが強化されるなら国にとっても良い事だし、あたしとしても安心出来るから良いけどねぇ)

 本当ダンちゃんって、男にモッテモテよねぇと、マッドは内心思うのだった。
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