氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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「ライちゃんがどこまで使えるのか、ちゃんと見てみたいのと、最低限の護身術は覚えて貰うわよ?店内で剣を振り回す事は難しいし、相手は一応ここのお客だからねぇ。ただしライちゃんに言い寄って来よう物なら、容赦なく断って良いし、手を出して来ようとしたら、腕を捻り上げても良いからぁ♪と言っても、当分お仕事はあたしと一緒だから、心配いらないわよぉ。まぁ、営業時間と外出中だと、あたしは男の振りして、このお店に来る前の喋り方になっちゃうけど、そこはライちゃんに慣れて貰うしかないわねぇ」


 マッドはライラに仕事内容や時間帯を簡単に説明し、娼婦の女性達にも許可を貰って、自分達が使う部屋や彼女達の部屋、浴室等、館内を案内し、元いた店の待合室のような部屋へ戻る。


「で?ライちゃんはここで働けそう?それとも違う所で働く?あたしとしてはここで彼女達を守る仕事の方が良いと思うんだけど、嫌なら他の所に連れてったげる。ただそうなると、飲食店とかの店員だったり、外見で判断されちゃうから、ここよりも身体を触って来ようとする連中も出てくるだろうし、あたしも近くにいられないから、安全とは言えないのよねぇ。まぁ、ちゃんとあたしの紹介だって言って貰うから、あたしを知ってる奴等は手は出して来ないだろうけど、余所者とかだと関係無く来るから、あたしとしてはここで働く方が、良いと思うんだけど……。ライちゃん、貴方はどうしたい?」


 マッドの問いにライラは少し驚く。

(本当に、ボクの身を案じてくれてるんだな。それに選択肢をちゃんとボクに選ばせてくれてる……。普通はここまで面倒を見てくれないだろうけど、この人はちゃんとボクの心も考慮した上で……)

 そう思うと、ライラの胸は嬉しさで一杯になる。

 あの幼馴染みなんて、結局はライラの心を無視し、考慮すらしていなかった。男と扱う振りをして、結局は女と扱うつもりだったのに、マッドの場合は自分と同じ仲間として、ライラを扱ってくれているようだ。

 同じ仲間、と自分で思った事に対して、ライラは心の内が、少しモヤモヤするのを自分でも不思議に思いながらも、マッドに返答する。


「ボクも、ここで働かせて下さい。これから宜しくお願いします」


 ライラは綺麗なお辞儀をして、マッドはホッとする。


「じゃあ、早速簡単な護身術だけ教えとくわねぇ♪あたしの幼馴染みが、女の子達に教えてる技でも有るんだけど、これは力をあまり使わないから、男でも体力温存になるから、とっても使えるのよぅ♪女子供でも使える物なんて、男の使う技じゃないなんて思う男もいるみたいだけど、使える物を使わないなんて、馬鹿のする事よぉ。あたしだって使ってるし、その幼馴染みだって……ああ、その人は男でダンって言うの。そのダンちゃんだって、よく使ってるわよぉ♪」


 楽しそうに話すマッドに、ライラの胸はモヤモヤが先程よりも大きく燻った。
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