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本編

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「元々王妃の実家と言う事で、ある程度の優遇はされているのだが、前々から、前王妃の実家が頗る羽振りが良くてなぁ。何かの事業が成功したとかなら良かったが、そういった事もなければ、領内の景気が上がった訳でも無いからと調べたら、あの前王妃が実家から色々買い込んでいる事になっていたのだよ。勿論、全て公費と言う事でな。しかし、出入りの業者も無ければ、搬入された形跡も無い。金はかなり大きな額が動いているにも関わらずだ。そこで、あの前王妃が不在中に部屋を改め、その間にも公費が使われるかを調べさせたのだよ」


 リラにも解り易いように、ジオラルドが説明する。

 実際に物を買い込んでいるのなら物が有る分まだマシだが、物すら無いのだから、横領としか言い様が無い。

 だからこそハンナがいない内に、アレクシスがハンナの実家を内々で摘発していたのだ。


「ああ、そう言えば有りましたね、そんな事。去年の社交界シーズンが始まる前に、兄上が王家に巣食う害虫の撤去をするから、他の仕事を手伝って欲しいと、内密に話を持ってきていましたよ」

「前王妃のいない時に、名前を使って公費を横流ししようとしたからね。いない者がどうやって買うのかと問えば、前からの約束だったって言うから、なら物は有る筈だけど、それはどこ?って聞いたら黙りだよ。だから陛下が、ハンナ様の部屋をアナスタシア様に頼んで探して貰ったけど、一つも無かったと証言してくれたんだ」


 ジーンもアレクシスと一緒に行動し、ハンナの実家を横領の罪で、家財や領地、家名の没収を手伝っていたのだ。


「その時の侯爵の顔と言ったら見物だったよ。ああ、叫んでた内容も酷かったね。『儂はお前の祖父だぞ?!その祖父を愚弄する気か!!』って。それを聞いたアレクシス陛下は、我が王家を腐敗させようとする祖父等要らん!って、きっぱり返答したんだけど、侯爵はそんな事を言われるなんて、思ってもいなかったんだろうね。ポカ~ンとした間抜け面を晒してたよ」

「それはそうだろう。公費は血税であり、王族の為、国民の為に使う物だ。それを娘が嫁いだからと言って、実家が王族になる訳じゃ無いと言うのに、国の金を使おうとする方が悪い。祖父だと威張り散らすのならば、孫に尊敬される祖父になれば良い物を……」

「ああそう言えば、陛下が国王になれたのは自分のお陰なのにみたいな事も言っていたよ。こんな事ならエドワルド殿を国王にすれば良かったってさ」

「不正を行う身内等、私だって要りませんよ」


 そもそもエドワルドは王位に興味を抱いてないし、国王になってた場合、真っ先に身内の膿を出そうとしただろう。


「そもそも兄上が国王になれたのは、兄上が努力をしたからで、あんな祖父の力なんて、有って無いような物ですよ」


 エドワルドは淡々と事実を述べた。

 因みにその侯爵の家財や領地、家名没収の事実は世間にはまだ公表していない。

 侯爵を捕縛したのはシーズン中で、シーズンが終わるまでに他に手を貸していた者達も捕縛していた為だ。

 だがそれも、今年の社交界シーズンになれば公表される事だろう。

 こう言った公表は、シーズンの初めにするのが何より効果的だからだ。
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