氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 年が明けて、王宮の政務が通常通り再開する前に、エドワルドがジルギリスに相談する。

 レオンを諌められるような使用人は居ないかと。


「う~ん。レオン君の侍従となると、王立学院を卒業した者でないとそれこそ嘗められるからねぇ。一番の適任者はジェフだけど、ジェフは妻子持ちだからなぁ。今回王都に出て来てくれたのも、王命と聞いてリラが心配だったからだろうけど……。一時的な処置と言う事で、ジェフ自身に相談してみたら良いんじゃないかな?あの子なら二、三ヶ月である程度、周囲も教育出来ると思うし、アレクシス君とも面識が有るからね」

「……?兄上と?」

「有ると思うよ?だってジェフは、アレクシス君と同学年だったし」


 まさかの接点にエドワルドは驚く。


「まぁ、アレクシス君は、エヴァンス家の人間を苦手と認識してるから、自ら近付きたいとは思わないだろうし、ジェフは絡まれない限りは大人しいから、それ程の面識は無いかも知れないけれどね。ジェフは覚えてると思うよ?だって、一応当時の監視対象だから」

「監視対象、ですか?」

「ああ、正確にはアレクシス君の見張りと、アレクシス君に近付こうとする相手の調査になるかな。学院生活で、私が折角教育した事を忘れたり、甘言に騙されたりしないようにと、一応見張らせていたんだよ。まぁ、その頃のアレクシス君は、ちょっとした人間不信に陥っちゃってたから、大丈夫ではあったんだけどね」


 その張本人であるのが、エドワルドの前にいるジルギリスだったりするのだが。


「ただ、ジェフを一時的にクルルフォーン邸から王太子付きにするのは構わないけれど、ジェフの代わりは一人では務まらないだろうから、数人を追加でクルルフォーン邸に通わせた方が良さそうだね。ジェフが行くと言ったら、ジーンに言ってくれたら良いよ。まぁジェフならレオン君がリラにした事を知れば、行くと言うだろうね。その代わり、私の甥っ子として行く事になるし、ジェフは王太子だろうと手加減はしないだろうから、それは一応アレクシス君にも言って置いた方が良いと思うよ?」

「分かりました。兄上と義姉上にも話して置きます。ジェフがクルルフォーン邸から居なくなるは少し痛手ですが、ジェフが来てくれたお陰で、クルルフォーン邸内もかなり改善されました。一時的とは言え、とても良い人材をお貸し頂いた事に感謝します」

「ああ、これからもウチの使用人達が好んで行くと言ってるのだから、気にしないで良いよ。リラがそちらに嫁げば、侍女達も行くと言ってるぐらいだからね。まぁ、リラの世話をしたい者達だから、エドワルド君に手を出そうとする者はいないし、安心して良いよ」


 何せリラ大好きは、レベッカだけでは無いのだ。既婚者ですら、リラと旦那のどちらを優先するかでリラを取る者達なのだ。

 そんな侍女達が大好きなリラを悲しませるような事をする筈も無ければ、見過ごす筈も無い。

 エドワルドは、安心してリラだけ愛でれば良いのだ。

 ジルギリスのその言葉は、エドワルドにとっても大変有り難い事だった。
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