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本編

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 レオンはまだ社交界デビューをしていない子供な為、パーティーに出る事は無い。

 レオンが公で出るのは、国民向けの行事で、国王一家がバルコニーに顔を出したりする時ぐらいだ。

 社交界デビューをしてからで無いと、夜会や王族主催のパーティー、催し等に参加する資格は無い、と言う決まりは、王太子にも適用される為だ。

 まだ学院生、まだマナーや礼儀を学んでいる最中であるからと言う理由で王太子も特別扱いしない事になっているのだ。


「パーティーの際に抜け出す事も可能だから、父上に……そう言えば、父上はどこに?」


 エドワルドの問いに、アレクシスが答える。


「今気付いたのか?ジルギリス殿の所にいるよ。ジルギリス殿が私達にレオンの事を報せに来たのは、エヴァンス令嬢が帰ってからで、ジルギリス殿から直に聞いた。しかも丁度ジーン殿がいた時で、ジルギリス殿が人払いした後に報告されたので、生きた心地がしなかったぞ……」


 ジーンからは今までどういう教育をしていたんだ?と、如何いかにも言いたげな視線とブリザードを浴びせられ、ジルギリスも淡々と怒気を放ちながら、話を進める程に強くなるから堪った物では無いが、やらかしたのは自分の息子だから何も言えず、ただ只管に耐えるしかないあの時間は、本当に地獄と言っても良いだろうとアレクシスは思う。

 アレクシスからすれば、一人でも充分恐いと思うのに、それが二人、静かに激怒しているのだ。

 いつもは茶々を入れるマーウィンですら、押し黙ったまま一言も口を挟まなかったのだから、その野性の本能に近い勘が、口を挟めば危険だと言う事を察知していたのだろう。

 ドレファンから帰って来た者達は、その期間中の仕事は既に処理出来ているが、不在時に起きたお馬鹿達の処分の手配やそれに伴う財産没収、左遷先から数名の人員斡旋等々、通常業務にプラスで、細々とした雑務が増えてるのだ。

 その上前以て準備はしてある物の、年末の年越しパーティーの最終チェックやその先の行事の準備もしなければならない。

 元々忙しい時期だと言うのに、エドワルドやエヴァンス家では、更に婚礼の準備も着々と進めていかなければいけないと言う、多忙極まる時期であるのに、選りにも選ってこの時期に、王太子のレオンが余計な仕事を増やしてくれたのだから、怒らない訳が無い。

 馬鹿共は婚礼の延期を促そうとしたのか、王命を撤回させようとしたのかは分からないが、そもそも、それをエドワルドが許す訳が無いのだ。

 加えてアナスタシアも、リラと義姉妹になれる事を心から望んでいるし、前国王陛下であるマーウィンも、長年諦めていた夢が叶うと喜んでいたのだ。

 そんな彼等を敵に回して、ただで済む筈が無いと言う事をレオンを唆した連中は、思い知る事になるだろう。
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