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本編

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 リラの駄目出しにレオンはムッとする。


「それなら、そこの侍女でも子供でも、一人だけ残せば良いじゃないですか。私は内密の話がしたいのです」

「わたくしは、彼等に聴かれて困るような話は有りませんし、下げる気も有りませんわ。そちらの都合で人払いをしたからと言って、それを相手に押し付ける事は、王太子として如何いかがな物かしら?王族だからと、全ての事柄が上手く行くとは限らないのですよ?」

「では、聞かせて下さい。貴女は何故、叔父上と結婚する事になったのですか?何故貴女なのですか?」


 何故、と聞かれても、エドワルドが王命と言う、断れない縁談を持ち込んで来たのと、エドワルドが奇特だったからだとしか言えないリラだが、それだと、リラが嫌がっているようにしか思われないだろうし、そう取られるのは嫌だと思い、答えあぐねる。


「……答えられないのですか?」

「それは、初対面のわたくしに聞くのではなく、エドワルド様本人に直接聞くのが筋ではなくて?そもそも、初対面の相手に聞く事でも無ければ、この呼び出し自体、随分と礼を欠いていますが、自覚はお有りですの?」


 リラの無表情での言葉の正論に、レオンが言葉に詰まる。


「……叔父上は多忙な人です。それならばもう一人の当事者にーー」

「結婚式まで三ヶ月しか無いわたくしは、忙しく無いとでも?それに、わたくしの言葉で納得して下さる保証はお有りなのですか?王太子様は初対面の、よく知りもしない相手の言葉を鵜呑みに出来ると?ではわたくしが、エドワルド様の方から断る事の出来ない縁談を持ち込まれましたと言えば、信じて頂けるのですか?」

「信じられる訳が無いでしょう?!あの叔父上ですよ?!!」

「ならば尚更、エドワルド様にお聞き下さい。それと、わたくしが礼を欠いていると言っているのは呼び出す事ではなく、相手の都合を考えない、当日指定と時間の無さ。それに加えて内容も署名も無い書簡。王族は、どれ程嫌いな相手であろうと、公平でならなければいけない。それはこういった書簡でも該当しますし、寧ろ、書面で残す事自体が危険なのです。これを他人がみた場合、王族がこのように扱う相手は罪人かと疑われ、投獄されてしまった場合、貴方はどう責任を取るおつもりですの?」

「?!」


 リラの言葉に、レオンは目を見開く。


「王太子様は全くその可能性を考慮していなかったようですが、考えていませんでした、では済まない問題なのですよ?それにこれは、脅しの道具、として使う事も出来るのですからね?」


 リラが脅しの道具として、これを使う訳では勿論無いが、初対面の相手に脅しの道具として使えると言われ、レオンは蒼白になった。
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