氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

202

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 エドワルドは一先ずリラを腕の中から解放すると、リラが助けを求めたアナスタシアの後ろに隠れる。

 その行動も、アナスタシアにとっては大いに悶え喜ばせ、エドワルドは面白くない行動なのだが、リラ本人は気付いて無いようだ。

 それでもリラが真っ赤に染まった顔と潤んだ瞳でアナスタシアの後ろから、少しだけ顔を出し、エドワルドを上目遣いで見てくるから堪らない。


「ずっとお会いしたかったので、久し振りのエドワルド様の腕の中は、とても嬉しいですけど、人前はやっぱり恥ずかし過ぎます!!もう少し自重なさって下さい!」


 リラは一応警戒し、怒っているつもりなのだろうが、言葉にしろ態度にしろ、エドワルドからすれば、好意を振り撒いているだけにしか見えない。

 久し振りのリラは可愛さが抜群だ。喩え普段と違う格好をしていても、リラの可愛さが減る事は無い。寧ろ、可愛さが増して見えるから、普段の格好だともっと可愛く見えるかも知れない、とエドワルドは思ってしまう程だ。

 ドレファンでは愚女に囲まれ心が荒む一方で、リラに癒されたいと、何度思った事か。


「そうは言うけれど、一ヶ月振りだし、ドレファンでは激怒するような事ばかりで、リラに会いたくて堪らなかったんだよ。城内は話の通じない馬鹿が殆どな上に、自分だけは何とかして助かろうとする者達だらけで本当に質が悪かった。精神苦痛が半端無い……」


 愚王達を思い出したのだろうエドワルドが、目が虚ろになったような疲れた顔で応じるので、リラは思わず駆け寄り、エドワルドに身体を寄せる。


「だだだだっ、大丈夫ですか?!エドワルド様!!あのっ、今直ぐにお茶を用意致しますわ!疲れを和らげ、リラックス出来るお茶を淹れますので、少々お待ち下さい!それと、奥にケーキを二種類と、焼き菓子も数種類作りました。皆様のお口に合うか少々不安ですが、宜しければ、ご賞味下さいませ!」

「リラちゃんのお菓子!?」

「そう言えば、ドレファン行きの道中、エヴァンス令嬢の差し入れてくれた焼き菓子を頂いた。とても美味しかったので驚いた。他の者達にも好評で、皆喜んでいたよ。有難う」

「近衛の者達も、リラにお礼をと言っていたよ。勿論私も美味しく大切に頂いた。あんなに沢山作るのは大変だっただろうに、とても嬉しかったよ。有難う、リラ」


 アレクシスとエドワルドにお礼を言われて、リラは嬉しくて仕方無い。


「食べて頂けたなんて、それだけで嬉しいのに、喜んで頂けるなんて、こちらこそ有難う御座います!」


 リラはふんわりと笑顔を浮かべて、お辞儀をした。
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