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本編

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「そう言えば、先程から気になっていたのですが、父上が名前で呼んだそちらと……勿論夫人とファーニーは知っていますが、その双子と侍女は初めて見ます。ジーン殿が人払いをしたと言われたので、エヴァンス家の者達ですよね?」


 アレクシスの問いに、ジルギリスが答える。


「ああ、うん。ウチの子達だよ。因みに、ダンとそこの双子、そこにいる侍女は、リラに忠誠を誓っているから、リラと接触の無かったアレクシス君が知らなくて当然ですよ」

「私もこの双子達は初めて見ますが……」


 エドワルドの疑問にも、ジルギリスが答える。


「ああ、それは多分、この双子が共通語をあまり喋れないからですよ。喋れるのは二言三言の片言で、聞き取る事は出来ても貴族の前に出るにはまだまだなので。今回は、王妃の護衛として来てるので、大目に見てあげて下さい」

「アナの、護衛?こんな子達がですか?」


 アレクシスの言葉を聞いて、ルナとルネがムッとする。


「アレクシス君、見掛けで判断してはいけないと教えた筈ですよ?この子達は王宮の近衛と同等以上の腕前ですよ。剣や投擲と言った物だと、ウチの使用人達の中で、上位十人の中に入るぐらいですから」


 ジルギリスの言葉に、マーウィンが反応する。


「何?!それは是非、私と手合わせをしようではないか!!」

「「いや」」


 双子の間髪容れずの拒否に、肩を落とすマーウィン。

 この双子、一人一人でも上位十人の中に入るが、一番得意な戦法は二人で闘うシンクロ攻撃だ。左右対称や上下対称、はたまた交互で攻撃を受ける敵は、双剣使いだろうと長くは持つまい。それ程に、息の合うピッタリとした動きで敵を翻弄するのだ。

 そんな双子ではあるが、まだ手加減と言う物が出来ない為、手合わせはエヴァンス家の使用人達以外としてはいけないと言われているのだ。

 ダンの許可無く手合わせしたら、新しい剣技は教えないと言われている為、手合わせはダンが許可した場合のみ。

 敵に手加減等必要ないが、ここにいるのは敵では無い。

 そんな人を相手に怪我でもさせたら、次に新しい剣技を教えて貰えなくなるではないか。

 それに、今から手合わせなんてすれば、リラのお菓子に在り付けなくなってしまう。

 それは嫌だと言う思いで拒否をしたのだ。


「だが、子供でも、男がアナに付きっ切りと言うのはあまり嬉しく無いな……」


 アレクシスのその言葉に、ルナが反応する。


「ルナ、女!!」


 アレクシスが、ルナとルネの腕前を疑った事にムッとしていた上に、この一ヶ月で仲良くなったアナスタシアの近くにいた事まで否定されそうになったルナが、抗議の声を上げた。
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