氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

200

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 アレクシス達が、ディーランの王都に昼頃到着し、王宮へと帰還する。

 エドワルドは即座にエヴァンス邸の訪問をしたい所だが、王宮内にてディーラン内での報告や、溜まっているであろう仕事の事後処理等々、王宮泊になる事が予想される。

 明日に少しだけ時間を貰って会いに行けたとしても、長居する事は出来ずに帰る羽目になるだろう。

 それでも、リラと会う時間を、どうにかして作らなければと思っていると、ジーンが出迎えてくれた。


「陛下、王妃様が首を長くしてお待ちかねです。マーウィン様、エドワルド殿、父上も、王妃様が部屋で慰労の為に、お茶を用意して居られますので、どうぞ足をお運び下さいとの事です。私からの報告も、そこでさせて頂きますので、宜しくお願いします」


 ジーンの言葉に促され、アナスタシアの部屋に向かい、中に入ると、エドワルドは自分の目を疑った。

 真っ先に目に映る侍女が、髪の色も雰囲気も違うのに、リラにしか見えず、感情が沸き上がり、動悸が高鳴ったからだ。

 多分、これは、夢や幻、幻覚では無い筈だと思いながらも、こんな所にリラがいるとは思えず、やっぱり幻の類いかと思いながらも声を掛ける。


「リラ……?」


 エドワルドが声を掛けると、リラにしか見えない侍女が顔を上げ、ふわりと嬉しそうに微笑んだ。


「お帰りなさいませ、エドワルド様」


 思わず駆け寄り抱き締めて、その温もりに本物だと実感する。

「どうして王宮に?!」

「ごごごっ、ごめんなさい!やっぱり迷惑でしたか?!」


 リラがアワアワと焦り、エドワルドの腕の中から出ようとするので、確りと捕まえて、顔を固定させ、至近距離で見詰め合わせて声を出す。


「それは無い。私は会いたくて仕方が無いから、明日に少しだけでも時間を貰って会いに行こうと思っていた所だ。リラはどうしてそんな格好でここにいるのかな?」

「わっ、わたくしは、王妃様を狙う貴族から王妃様を守る為と、エヴァンス邸よりも王宮の方が安全と警備強化が出来ると思い、こちらに身を寄せさせて頂きましたの。国王陛下のご不在時では有りましたが、緊急事態の為、王妃様の許可も頂いておりますが、駄目、でしたか?」


 最初にエドワルドがリラと呼んだ事にも驚き、更にエドワルドへ微笑んだリラに驚いたが、リラの不穏な言葉を聞いて、アレクシスは目を細め、近くにいるジーンに、簡潔に問い質す事にした。


「どういう事だ?」

「前々から王妃様に想い患っていた方が、侍女の手を借り王妃様を物にしようとしていたようなので、捕まえてエヴァンス家に放り込んで置きました。侍女は既に辺境の娼館送りにしています。詳しい話もしたいので、人払いを済ませていますが、何か問題でも?」


 あっさりジーンに言い返され、アレクシスは無いと答えるしか無かった。
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