氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
上 下
227 / 805
本編

175

しおりを挟む
 アナスタシアを隠し通路に隠し、ジーンは打ち合わせ通りに、この後護衛の二人を連れて来るからと言い残し、その場を離れる。

 退出した他の侍女達を一旦呼び寄せるが、ファーニーが、新しい侍女達がどれ程出来る侍女達なのか、仕事をさせて見るから、他は良いと下がらせる。

 実際、王妃であるアナスタシアは、そうやって侍女達の働き方を見る事が多いし、普段あまり側に侍女達を配置する事は無いのだ。

 そして、再度ジーン達が訪問し、ダンとルナの弟、ルネがファーニーを相手と知りながら挨拶をする。


「まぁ!ダン様は、この国の方では無いのですね。わたくしが育った国には時折ダン様のような褐色の肌をした方もいらっしゃいましたので、懐かしく感じてしまいますわ」


 アナスタシアにダンは褐色の肌をした方だと教えながら、話を進める。

 勿論、ファーニーが発した言葉も嘘では無い。アナスタシアの故郷と取り引きのある国に、褐色の肌をした国もあるからだ。


「私の母が、旅の踊り子をしていたそうで、この髪も肌も、母親譲りですよ。ここは私のような、見るからに異国人だと、どうも受けが悪くて。エヴァンス家に拾われたのは幸運でしたよ」


 そんな世間話を聞かせながら、昼に部屋の中で警備担当をする事になったと言う。昼の方が城内に人が多い為、と見せ掛けて、夜の方が秘密裏にエヴァンス家へと運び易くなるからだ。

 昼は特に、王妃のいる部屋辺りは手薄になり易いのだ。だからそこを固め、夜は近衛に任せると言う状況を作る。元々侍女は、近衛の注意を引いて手引きする筈だから、昼を狙われるより、夜の方がこちらとしては都合が良い。

 時間を置かずに、侍女共々捕まえ、周囲に気付かれ無いよう運び出す為だ。

 さすがに犯罪に手を貸す侍女等要らないので、王宮に勤める他の侍女仲間達には、家族に急病人が出た為、急遽辞職した事にして、一時的に王宮地下牢に放り込み、国賊の罪人として、辺鄙な土地にある、兵士専用の娼館に放り込む事になる。

 王妃を強姦しようとする男に会わせようとしていたのだから、当然、自業自得と言う物だ。

 国賊の罪人と知られた上での扱いになるが、アレクシスに決めさせないだけ、マシだと思った方が良いだろう。

 アレクシスなら拷問に拷問を重ね、時間を掛けて殺すと選択するだろう。

 女だからと手加減する類いでは無いのだ。

 普段は温厚で可哀そ……寛大に見えても、あれは間違いなくエドワルドの兄だ。

 アナスタシア愛する妻を蔑ろにする相手に等、容赦する気は全く無い。全力で叩き潰すのみだ。
しおりを挟む
感想 2,440

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...