氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 アナスタシアを隠し通路に隠し、ジーンは打ち合わせ通りに、この後護衛の二人を連れて来るからと言い残し、その場を離れる。

 退出した他の侍女達を一旦呼び寄せるが、ファーニーが、新しい侍女達がどれ程出来る侍女達なのか、仕事をさせて見るから、他は良いと下がらせる。

 実際、王妃であるアナスタシアは、そうやって侍女達の働き方を見る事が多いし、普段あまり側に侍女達を配置する事は無いのだ。

 そして、再度ジーン達が訪問し、ダンとルナの弟、ルネがファーニーを相手と知りながら挨拶をする。


「まぁ!ダン様は、この国の方では無いのですね。わたくしが育った国には時折ダン様のような褐色の肌をした方もいらっしゃいましたので、懐かしく感じてしまいますわ」


 アナスタシアにダンは褐色の肌をした方だと教えながら、話を進める。

 勿論、ファーニーが発した言葉も嘘では無い。アナスタシアの故郷と取り引きのある国に、褐色の肌をした国もあるからだ。


「私の母が、旅の踊り子をしていたそうで、この髪も肌も、母親譲りですよ。ここは私のような、見るからに異国人だと、どうも受けが悪くて。エヴァンス家に拾われたのは幸運でしたよ」


 そんな世間話を聞かせながら、昼に部屋の中で警備担当をする事になったと言う。昼の方が城内に人が多い為、と見せ掛けて、夜の方が秘密裏にエヴァンス家へと運び易くなるからだ。

 昼は特に、王妃のいる部屋辺りは手薄になり易いのだ。だからそこを固め、夜は近衛に任せると言う状況を作る。元々侍女は、近衛の注意を引いて手引きする筈だから、昼を狙われるより、夜の方がこちらとしては都合が良い。

 時間を置かずに、侍女共々捕まえ、周囲に気付かれ無いよう運び出す為だ。

 さすがに犯罪に手を貸す侍女等要らないので、王宮に勤める他の侍女仲間達には、家族に急病人が出た為、急遽辞職した事にして、一時的に王宮地下牢に放り込み、国賊の罪人として、辺鄙な土地にある、兵士専用の娼館に放り込む事になる。

 王妃を強姦しようとする男に会わせようとしていたのだから、当然、自業自得と言う物だ。

 国賊の罪人と知られた上での扱いになるが、アレクシスに決めさせないだけ、マシだと思った方が良いだろう。

 アレクシスなら拷問に拷問を重ね、時間を掛けて殺すと選択するだろう。

 女だからと手加減する類いでは無いのだ。

 普段は温厚で可哀そ……寛大に見えても、あれは間違いなくエドワルドの兄だ。

 アナスタシア愛する妻を蔑ろにする相手に等、容赦する気は全く無い。全力で叩き潰すのみだ。
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