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本編

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 アナスタシアが着替え終わり、化粧はレベッカが施す。

 今日はマティスと入れ替わらないと言うので、マティスに似せず、普通に男性に見えるようにメイクをしただけだ。

 そして、アナスタシアの着ていたドレスをファーニーに渡して着て貰う。


「まぁ!相変わらず、ファーニー様は、わたくしそっくりに変装するのですわね」

「変装と声真似が得意ですから。元の顔があまり特徴の無い顔をしてるので、他人に化け易いのですよ。因みに、化粧に関しては、そこにいるレベッカの兄弟子ですが、私は他人に化粧を施すのは苦手なので、他人に施す場合はレベッカの方が腕は良いですよ。それとアナスタシア様、私の事は呼び捨てで構いませんよ。私は平民ですので、王妃様に様付けされると、居心地が悪いですから」


 顔はそっくり似せていると言うのに、その口から流れる声は男の声なので、聴いてる者達からすれば、違和感が半端無い。


「わたくしが誰をどう呼んでいるのかも言わなければいけませんわね?」

「ああ、それも大丈夫です。実はそこにいる侍女、モーラとも幾度か入れ替わり、王妃様の周りを観察していましたから」

「全然気が付きませんでした……。さすが、変装のスペシャリストですね……」

「お褒めに預り光栄です。あまり長居すると、ジーン様が怪しまれてしまいますね。アナスタシア様はこの子と隠し通路で隠れていて下さい」

「ですが……」


 王妃と言う立場上、男と二人切りになるのは困るのだ。アレクシスなら緊急だからと、許してくれるだろうけれど、アナスタシア自身が嫌なのだ。

 それに気付いたファーニーが、もう一人の男の正体をバラす。


「ああ、大丈夫ですよ。この子は男装してますが、女の子ですから。双子で、もう一人は男の子ですが、その子とそっくりなんです。リラ様に忠誠を誓っている子達で、後で来る二人の内の一人がその双子の片割れですが、腕も確かです。ただし、共通語が苦手なので片言ですが、こちらの言葉はちゃんと理解していますから。そうだよね?ルナ」


 ファーニーの言葉にコクコク頷くルナ。


「必要、服、脱ぐ?」

「まぁ!ご免なさい!大丈夫よ、そのままでいて頂戴!」

「ん。間違う、よくある。気にしない」

「弟とよく間違われる事があるので、気にしないで下さい、かな?」

「ん」

「だそうですよ。意思疏通が難しい場合は、リラ様が通訳してくれますよ。リラ様はルナ達の部族の言葉が解りますから」

「では、ルナ様。一緒に隠れて下さいな」


 アナスタシアの言葉に、ルナは首を横に振る。


「様、無い。ルナ」

「分かりました。ルナ、一緒に隠れて下さい」

「ん。行く」


 ルナはアナスタシアを連れて、隠し通路に向かった。
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