206 / 805
本編
154
しおりを挟む
エドワルドの言葉に、捕虜の男は本を手に取りページを捲る。
男は、エドワルド達が持ち込んだ本を只管読み続ける。
嘘だ、信じられないと呟きながら。
「ディーランの歴史書だけで不満なら、ドレファン国の評価を他国の大使に聞いてみると良い。ただし、お前はドレファン国の罪人。大使に危害を加えられても困るから、裏からだ」
「……裏?」
「使用人達の使う部屋でなら、話を聞くことも出来るだろう。お前は使用人の服を着ろ。ただし、逃亡されても困るから、兵達を付ける。言って置くが他国の使者も、ドレファン国に対して良い印象は無いからな」
そう言って、エドワルドはその男を連れ出し、とある部屋に向かう。
「これは王弟公爵様、どうかなさったのですか?」
「ああ、大使に少し聞きたい事が有ってな。ドレファン国をどう思う?」
「ああ、領土侵犯をして来たそうですね。本当にあの国は、馬鹿の一つ覚えみたいに……」
「ユリアナ国も、ドレファン国と領土を接していたな。ドレファンと同盟を結ぶ気は無いのか?」
「とんでもない!神の子孫?ただ初代の技量が良かっただけでしょう。呆れますよ。昔、大軍で戦を仕掛けて置きながら大敗してるのに、よく何度も挑戦する気になりますよね」
「大敗している事すら知らないのではないかな?国民はあの戦争で、国王が殺された事を知りませんから」
「あんな大掛かりな戦争を仕掛けて、ただで済む筈が無いでしょうに。あの戦争は周辺国で知らない国は無いですよ」
「周辺国ですら知る事実を、自国の国民が知らないなんて、滑稽としか言い様が無いよ」
そんな雑談を、ユリアナ国の大使と話し続け、エドワルドが適度に話を切り上げ、元の部屋に戻った時、男も部屋に戻って来たが、顔色が悪く、その口は一言も話さなかった。
「どうだ?まだ他の国の大使に自国の評価を聞きに行ってみるか?結果は同じだろうが、納得するまで付き合ってやってもいいぞ?」
「……もう、結構です……」
ぐったりと項垂れる男。それもそうだろう、周辺国で知らない国は無いとまで言われたのだから。
「お前もこの先、同じ事を繰り返すか?ディーランに大敗している事実を隠し、似非神の血筋を守り、国民達を幾度も死に直面させる。周辺国に馬鹿な国と言い続けられ、自国から出る事無く、偽りの神を崇め、自国民を騙し、自分を騙し、子孫達をディーランに攻めさせる。何故、ドレファンがディーランに勝てないか解るか?ディーランは進化しているからだ。お前達の国は、一歩も進んでいない。それがドレファンとディーランの違いだ」
エドワルドは容赦無く追い込んだ。
男は、エドワルド達が持ち込んだ本を只管読み続ける。
嘘だ、信じられないと呟きながら。
「ディーランの歴史書だけで不満なら、ドレファン国の評価を他国の大使に聞いてみると良い。ただし、お前はドレファン国の罪人。大使に危害を加えられても困るから、裏からだ」
「……裏?」
「使用人達の使う部屋でなら、話を聞くことも出来るだろう。お前は使用人の服を着ろ。ただし、逃亡されても困るから、兵達を付ける。言って置くが他国の使者も、ドレファン国に対して良い印象は無いからな」
そう言って、エドワルドはその男を連れ出し、とある部屋に向かう。
「これは王弟公爵様、どうかなさったのですか?」
「ああ、大使に少し聞きたい事が有ってな。ドレファン国をどう思う?」
「ああ、領土侵犯をして来たそうですね。本当にあの国は、馬鹿の一つ覚えみたいに……」
「ユリアナ国も、ドレファン国と領土を接していたな。ドレファンと同盟を結ぶ気は無いのか?」
「とんでもない!神の子孫?ただ初代の技量が良かっただけでしょう。呆れますよ。昔、大軍で戦を仕掛けて置きながら大敗してるのに、よく何度も挑戦する気になりますよね」
「大敗している事すら知らないのではないかな?国民はあの戦争で、国王が殺された事を知りませんから」
「あんな大掛かりな戦争を仕掛けて、ただで済む筈が無いでしょうに。あの戦争は周辺国で知らない国は無いですよ」
「周辺国ですら知る事実を、自国の国民が知らないなんて、滑稽としか言い様が無いよ」
そんな雑談を、ユリアナ国の大使と話し続け、エドワルドが適度に話を切り上げ、元の部屋に戻った時、男も部屋に戻って来たが、顔色が悪く、その口は一言も話さなかった。
「どうだ?まだ他の国の大使に自国の評価を聞きに行ってみるか?結果は同じだろうが、納得するまで付き合ってやってもいいぞ?」
「……もう、結構です……」
ぐったりと項垂れる男。それもそうだろう、周辺国で知らない国は無いとまで言われたのだから。
「お前もこの先、同じ事を繰り返すか?ディーランに大敗している事実を隠し、似非神の血筋を守り、国民達を幾度も死に直面させる。周辺国に馬鹿な国と言い続けられ、自国から出る事無く、偽りの神を崇め、自国民を騙し、自分を騙し、子孫達をディーランに攻めさせる。何故、ドレファンがディーランに勝てないか解るか?ディーランは進化しているからだ。お前達の国は、一歩も進んでいない。それがドレファンとディーランの違いだ」
エドワルドは容赦無く追い込んだ。
68
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる