氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 連日、王宮で捕虜を相手に、洗脳調教と言う名の再教育を施しながら、仕事を片付けて行く。

 ジーンが他の政務官に、エドワルドが抱え込んでいた大量の仕事を割り振り、本来一人の政務官が抱える量に調整してくれた為、捕虜の教育も、ジーンと交互にする事が出来、時間的にも多少の余裕が生まれてくる。

 当然エドワルドは、その時間を婚約者のリラと過ごす為に使おうと、エヴァンス邸へと訪れる為、下城しようとするのだが一人の男がエドワルドに話し掛けて来た。


「エドワルド様!少々お時間を頂けますか?!エドワルド様にとって、良い話が有るのですが!」

「貴殿の娘や身内を愛人に据えろと言う、下らない話で無ければ聞きますが?」

「いや、あの……」

「ああ、穿ち過ぎでしたか。最近そう言う輩が増えまして。時々、自分の娘に会えば気が変わると思っているのか、会いに来いと言う馬鹿な貴族が多いので。どんな娘であろうと、私は婚約者以外の娘を囲う気は無いと言うのに、お目出度い貴族が多くて困る。私はそもそも、媚を売る女性も親戚も、不快になるだけだと言うのに、それが分かっていないのだから、始末が悪い。愛人等不要だと言うのに。それで、私にとって良い話とはどんなお話でしょうか?」

「その……何ですかな、度忘れをしてしまいまして……。また思い出せばお聞き下さい」


 そそくさとエドワルドの前を過ぎて行く貴族に、エドワルドは冷めた視線を送る。

 最近、ジェフの采配で、余計な手紙や招待状を省いて貰えるので、目を通さずに時間も節約出来、とても有り難いのだが、何を血迷ったのか、直接言いに来る馬鹿が増えているのだ。

 エドワルドが、エヴァンス家を幾度も訪問していると言うのにだ。中には、あからさまに、リラを貶して売り込む輩も居て、エドワルドの怒りを買う馬鹿もいる。

 王命だから、奥方の地位は狙えないが、愛人なら問題無いと思っているのか、女嫌いが女好きになったと思っているのか、碌な事では無いので真相を知りたいとは思わないが、エドワルドにとって、煩わしくて仕方無い。

(こんな時は、リラに会って、癒して貰わないと。リラは見ているだけで、可愛くて仕方無いのに、あの可愛さが解らない馬鹿な男が多くて困る。まぁ、知られずに済んでいたのだから、私の物に出来るのだが、だからと言って、どうでもいい女を押し付けに来るな!煩わしい!!)

 エドワルドはささくれ立つ気持ちを抑え、癒しを求めにエヴァンス家へと向かった。
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