氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「母上、そろそろ時間では?」

「あら、いけない。もうこんな時間。わたくし、お茶会に呼ばれてますの。早速、美しい息子が出来る事を自慢して来なければ。エドワルド様はゆっくりしてらして。時間があるのなら、夕食を一緒にいかが?」


 リリーの言葉に笑顔で答えるエドワルド。


「喜んで」

「では夕食に。その時リラの話を沢山しましょう」


 優雅に微笑みその場を離れて行く侯爵夫人に、リラは心の中で絶叫した。

(夕食まで、どう時間を過ごせば良いのですかお母様!?わたくし心臓が持ちそうにありません!しかもわたくしの話をと言いますが、一体何を話す気でいらっしゃるのですか?!わたくし、部屋に籠りたいです~!)


「リラ、僕の・・近くに居ないと駄目だよ?襲われるからね」


(おっ、襲われる?!)

 ジーンの言葉を聞いた途端、リラがジーンの後ろに駆け込み背後に隠れ、ジーンの服を握り締めながらソッとエドワルドを窺う。

 リラが逃げれたのは母のリリーが来た時に、エドワルドがリラの手を解放していたからに他ならない。

 不安そうな上目遣いで見上げて来るリラは年よりも幼く見え、可愛さが増して見える。これを見て氷結の毒華なんて思う者は皆無だろう。


「そういった顔は、私と貴女の家族が居ない場所ではしないで下さいね。襲われても文句は言えない顔ですから」

「醜いからと襲撃する方がどうかしてます!わたくし好きで醜くなったのではありませんわ!」

「どうしてそこで醜いや襲撃になるのかな?私とジーン殿が言う“襲う”は、貴女を性的対象として性交に持ち込むと言った意味ですよ。いい加減、異性として見られている年齢である事を自覚して頂きたい」

「わわわ、わたくしを異性として見る物好きな方なんて、こっ、公爵様ぐらいです!」

「貴女が手に入るなら、物好きだろうと奇特だろうと構いませんよ。エドワルドかエドだと言ったでしょう?侯爵夫人は名前で呼んで下さったのに、妻となる貴女が爵位呼びとは。そんなに私では不満ですか?好きになれませんか?」

「ふまっ?!不満とかではなく、未だに信じられないだけです!だって、公爵様ーー」

「エドワルドです。言うまで訂正し続けますよ?ああ、それとも一度言う度に、罰としてキスでもしましょうか?」


 エドワルドには、全く譲る気が無い事を感じ取り、リラは渋々名前を口にした。
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