血まみれの剣

第１話：突然の訪問者

　昼間。

　森の入り口付近の小さい家。

　きこりを生業としている男の家だ。
　男と妻、娘、一家三人で住んでいる。

「おい、今、悲鳴が聞こえなかったか」

　テーブルに座って、昼食を待っている中年男が妻に向かって言った。
　その男の妻が答える。

「悲鳴？　特に聞こえなかったけどねえ」

　昼食の準備をしている妻は面倒くさそうに答える。
　そして、娘に命令した。

「ほら、ボーッとしてないで、井戸に行って水を汲んできてよ」

　十代らしき金髪の娘は無表情で家の裏口から外にある井戸に向かって出て行った。
　しばらくして、表玄関の扉が開いた。
　女が立っている。
　
　突然の訪問者にびっくりして、妻が近づいた。
　女は血まみれの服装だ。
　荷物を床に置く。

「こんにちは。あら、どうしたの、その格好……」

　きこりの妻がそう言い終える前に、女は持っていた鞘から剣を引き抜いた。
　それを、何が起きているのかさっぱりわからないと言った表情で、妻がぼんやりと見ている。

　女が剣を一閃した。

　妻の首が吹っ飛ぶ。
　夫が座っていたテーブルの上にゴロゴロと生首が転がった。
　悲鳴を上げる夫。
　
　妻の胴体からは大量の血が噴き出して、剣を持った女も返り血を大量に浴びている。
　持っている剣も血まみれだ。

　恍惚とした表情の女。
　
「な、何をするんだ！」

　自分の妻の生首を見て、仰天している夫に血まみれの女はすばやく近づく。
　女は男に剣の切先を突き付けながらニヤリと笑って言った。

「うふふ、血まみれになるのって、最高に気持ちいいじゃない」