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ムカシハ

私たちは球技大会Ⅱ⑥

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 あと1分のコールがかかる。今は10対9で負けている状況。内野の人数も限られてきて、きい達が8人、私たちが6人だ。

「音羽!」
「何で私ばっか狙ってくんのよ。」

その中でも1番運動が苦手そうな音羽は集中砲火されている。全部捕らずに避けているが。

「捕れそうなのは捕ってや。」
「え~、面倒臭い。」

なんて言いながら、胸のところに来たボールをしっかりと捕ってしまうのが音羽らしい。そして、

「もうそろそろお腹空いてきたかな?」

チラッと逆サイドにいるゆーちゃんを見る。

〇〇〇〇〇

ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!ボールちょうだい!

〇〇〇〇〇

「音羽、ゆーちゃんの近く行って。」
「えっ?何で?」
「いいから。」

音羽をゆーちゃんの近くに誘導する。

 元々ゆーちゃんから離れたのも私の誘導だ。音羽が狙われていたから、ゆーちゃんが存在感をだす前に飢えさせたかったから。そして、音羽をゆーちゃんの近くに戻せば、音羽が狙われる。そして、

〇〇〇〇〇

ボール来た!

〇〇〇〇〇

 案の定、ゆーちゃんは満面の笑みで飛びつき、ボールを捕る。

 飢えた獅子ほど怖いものはない。

 ある主人公は囮で飛んでも気にして貰えなくていつもと違うことをして、効果を120%にした。ある文豪は空腹になることで能力を発揮する。

 そしてゆーちゃんは、ほっとかれることで周りを巻き込めるようになる。

「ッシャアァァ!」

10対10。振り出しに戻って第2Rだ。

〇〇〇〇〇

 相手のエースかな?が、復活したようだ。そしてその立役者は桜。本当に欠点ってないのかな?

 試合も残り30秒ほど。遅めの第2Rが始まったのが何となく分かる。試合は熱くなってきたが、誰も当たらない。外野にも回らない。内野同士で投げあっている状況が続いている。

 そして残り10秒のカウントダウンがかかり始めた。

10―

音羽ちゃんがソフトバレーボールを持つ。

9―

私に向かって投げるが弱い。

8―

私はお腹のところに来たボールをしっかり捕る。

7―

桜がハンドボールを手に前に出てくる。

6―

お互いに投げるモーションに入る。

5―

私の方が少し先に投げる。そのボールは少し上の方だ。

4―

桜が投げる。私はすぐにキャッチする体勢に入った。

3―

同じようなタイミングでボールが届く。

2―

私のお腹にはボールがとどまった。そして顔を上げる。

1―

桜はボールを捕ろうとしたが上腕をボールが転がっていった。

0―

試合が終了した。
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