上 下
225 / 735
ムカシハ

最強の闘い①

しおりを挟む
 3位4位決定戦は接戦の末、きいたちが作ったリードを守りきり、F組が勝利した。そして、俺たちの試合がやってくる。

 テニスコート、その中央で行われる2年生決勝戦。奏たちC組と俺たちI組の試合だ。集まった2年生はほぼ全員だろうか。視線だけでもう熱い。

「これからC組対I組の決勝戦を始めます。気をつけ、礼!」
「「オーシャス!」」

 まずは女子たちの試合だ。

〇〇〇〇〇

「楓、今回はどんくらいリードする?」
「全員ぶっ倒す!」
「お前まで倒れんなよ。」
「んな訳ないやろ。」

と言う前科者1名。その名も海南楓。私である。

 さーてと、彼ピもなんか期待してくれてるみたいやし、いっちょ気張りますか~

「みんな、殲滅しよ!」
「「「「ウオォォォ!」」」」

単純に勝つんやったら勿体ないからね。まぁ、私やし。いけるっしょ。

 じゃんけんで勝ったのは私。なので、こっちからボールだ。特に怖い子もいないから~。テキトーに当てるか。

―ピーー

ホイッスルが鳴ると同時に助走に入る。ラインギリギリで左足を踏み、投げる。

―バコバコバコン

「ウオォォwwww」

いきなりトリプルアウトをしたことによって、外野が盛り上がってる。そんなので調子がいいと思うのは単細胞すぎるか。いや、当然か。

 こんなの見せられたら怖くて動けないだろう。そう思って相手コートを見ても、そんな感じはしなかった。むしろ想定内って感じ。

 そして、花胡ちんがボールを持ち上げた。

〇〇〇〇〇

「相手はあれだけど、安心して。私たちはまだ隠してたから。」
「んだね。こういうときに使わないと。」

くるみちゃんからボールを受け取る。先陣切るのが私ってなんか変やけど、私が1番才能あったみたいやからしょうがないか。

 勇気を振り絞って相手を見る。去年はこんなことしようとも思わなかった。逃げてばっかりで、海南さんに立ててもらった勝利だった。でも、今年は違う。今年は私も戦力だから。

 全員の視線が痛い。きっと「なんで?」って言いたいんだろう。だってくるみちゃんのほうが運動神経がいいから。

「船戸さん!いつも通り!」

周りは騒がしいはずなのに、コートの外の由良君の声だけがはっきりと聞こえた。そっちの方を向くと、「落ち着け」ってジェスチャーでしてくる。

 あぁそうか。今は私の番なんだな。私が主役なんだな。

 私が投げたボールはまっすぐ海南さんの肩に向かって飛んでいく。そして、

曲がる

この球技大会に向けて始まった『変化球をやってみようの会』。そこに私も参加していた。最初こそ上手く出来なかったけど、由良君にマンツーマンで教えて貰って、動画も見ながら研究して、それでやっと出来るようになった。

 ボールが落ちる。

「「「ゥゥウウウウオオオオオオォォォ!」」」

今日一の歓声。のはずなのに笑顔でサムズアップしている由良君から目を離せなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~

みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。 ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。 ※この作品は別サイトにも掲載しています。 ※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした

黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。 日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。 ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。 人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。 そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。 太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。 青春インターネットラブコメ! ここに開幕! ※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。 将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。 サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。 そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。 サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。

陰キャには陽キャの彼女はできないと仮定する

136君
青春
高校2年理系コースに進んだ主人公、橘悠人は根っからの陰キャだ。休み時間はカバーの被ったラノベを読み、学校が終わったら一人で帰る。昼飯も一人で食べ、学校で口を開くのは授業で当たったときくらいだ。 そんな悠人の隣に座っているのは渡月ちはや。クラスの一軍女子に位置する陽キャで、ファンクラブもある。悠人はそんなちはやに話しかけられるようになった。 「陰キャ」と「陽キャ」の世界は2分されていると考える悠人。そんな悠人とちはやの時間がゆっくりと進み始める。

処理中です...