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納得できないけども
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俺の名前はジル・フォードレス。
とある街の冒険者で階級はAランクだった。
冒険者は上からSS、下はDまでランク分けされているのだが、その中でAランクともなれば相当の手練れだと思ってくれていい。
二十一歳で同じ冒険者仲間のマリアと結婚し、翌年には娘を授かった。
絵に描いたような幸せな日々だった。
が、しかし。
蓋を開けてみればどうだろう。
突然の意識不明?
植物状態?
そして十六年が過ぎただと?
更には俺が寝ている最中、マリアは随分と強行手段に出たらしく、身に覚えのない娘が二人増えていた。
確かに子供は沢山ほしいと言っていた。最低でもパーティ組めるくらいは欲しいと言ってたのだが、まさか眠ったままの俺に跨ってギシアンするのはどうなのだろう。しかも幼いイリアにバレているときた。
そもそもだ。イリアを除く二人はどこからどう見ても魔族の血が流れている。次女であるリーゼは竜族、三女であるハクはデュラハンときたもんだ。
何をどう間違えれば魔族の血が入るのか理解が追いつかない。マリアに限って他所の男となんて有り得ないのだから(願望)。
「そんなの、あたしらに言われてもねぇ?」
「うん」
リーゼとハクは互いに顔を見合わせて首を傾げた。二人からすれば確かにそうだろうけれど、こっちだって釈然としない。
「なぁ、イリアはその辺、何か知ってるんじゃないのか? そもそも、マリアが姿を消したって事は俺は寝たきりだろう? それで今までよく生活できてきたな」
テーブルを囲い、第一回フォードレス家開催の会議が執り行われている。
もっとも、リーゼとハクは雰囲気に混じっているだけで遊びの延長といった具合だが。
(まぁ、十五歳と十二歳じゃしかたないか)
視線を戻すと、イリアは申し訳無さそうに首を横に振った。
「ごめんなさい、私もまだ小さかったからボンヤリとしか覚えてないの。生活の方は街の人がみんなで面倒をみてくれてたわ。ほらポーラさんとかホフさんとか」
「街のみんなが?」
「ええ、お父さんとお母さんには世話になったからって」
「…………」
いかん、ジーンときてしまった。
歳を取ると涙もろくーーーー
「……って、待て待て」
「どうしたの?」
「俺、老けてるか?」
「ええと……そういえば全然」
慌てて鏡の前に立つと、そこには俺の記憶にある〝当時〟の姿そのものだった。
「植物状態って普通は老けるだろ……なんで俺はそのままなんだ?」
「ごめんなさい、特に気にならなくて」
「いや気にしてよ長女」
「でも若いって良くない?」
「……そりゃ、まぁ」
リーゼに言われてハッとするが、そりゃ老いるより若い方がいい。
俺からしてみれば何もなしに十六年経ったのだ、不満しか出ない。せめて歳を取っていないのなら納得できる部分もあるだろう。
「……とりあえず、俺の事は置いておこうか」
考え出したらキリが無い。もうこの際、自分の話は二の次三の次だ。そして議題は、いよいよ本題に移る。
「俺の嫁、ひいてはお前達のお母さんを探しにいこうと思う」
行方知れずのマリア。
俺が寝たきりだったから手がつけられなかっただろう、フォードレス家最大の難題。今の憂はただこのひとつだけ、それに切り込もうと思った。
とある街の冒険者で階級はAランクだった。
冒険者は上からSS、下はDまでランク分けされているのだが、その中でAランクともなれば相当の手練れだと思ってくれていい。
二十一歳で同じ冒険者仲間のマリアと結婚し、翌年には娘を授かった。
絵に描いたような幸せな日々だった。
が、しかし。
蓋を開けてみればどうだろう。
突然の意識不明?
植物状態?
そして十六年が過ぎただと?
更には俺が寝ている最中、マリアは随分と強行手段に出たらしく、身に覚えのない娘が二人増えていた。
確かに子供は沢山ほしいと言っていた。最低でもパーティ組めるくらいは欲しいと言ってたのだが、まさか眠ったままの俺に跨ってギシアンするのはどうなのだろう。しかも幼いイリアにバレているときた。
そもそもだ。イリアを除く二人はどこからどう見ても魔族の血が流れている。次女であるリーゼは竜族、三女であるハクはデュラハンときたもんだ。
何をどう間違えれば魔族の血が入るのか理解が追いつかない。マリアに限って他所の男となんて有り得ないのだから(願望)。
「そんなの、あたしらに言われてもねぇ?」
「うん」
リーゼとハクは互いに顔を見合わせて首を傾げた。二人からすれば確かにそうだろうけれど、こっちだって釈然としない。
「なぁ、イリアはその辺、何か知ってるんじゃないのか? そもそも、マリアが姿を消したって事は俺は寝たきりだろう? それで今までよく生活できてきたな」
テーブルを囲い、第一回フォードレス家開催の会議が執り行われている。
もっとも、リーゼとハクは雰囲気に混じっているだけで遊びの延長といった具合だが。
(まぁ、十五歳と十二歳じゃしかたないか)
視線を戻すと、イリアは申し訳無さそうに首を横に振った。
「ごめんなさい、私もまだ小さかったからボンヤリとしか覚えてないの。生活の方は街の人がみんなで面倒をみてくれてたわ。ほらポーラさんとかホフさんとか」
「街のみんなが?」
「ええ、お父さんとお母さんには世話になったからって」
「…………」
いかん、ジーンときてしまった。
歳を取ると涙もろくーーーー
「……って、待て待て」
「どうしたの?」
「俺、老けてるか?」
「ええと……そういえば全然」
慌てて鏡の前に立つと、そこには俺の記憶にある〝当時〟の姿そのものだった。
「植物状態って普通は老けるだろ……なんで俺はそのままなんだ?」
「ごめんなさい、特に気にならなくて」
「いや気にしてよ長女」
「でも若いって良くない?」
「……そりゃ、まぁ」
リーゼに言われてハッとするが、そりゃ老いるより若い方がいい。
俺からしてみれば何もなしに十六年経ったのだ、不満しか出ない。せめて歳を取っていないのなら納得できる部分もあるだろう。
「……とりあえず、俺の事は置いておこうか」
考え出したらキリが無い。もうこの際、自分の話は二の次三の次だ。そして議題は、いよいよ本題に移る。
「俺の嫁、ひいてはお前達のお母さんを探しにいこうと思う」
行方知れずのマリア。
俺が寝たきりだったから手がつけられなかっただろう、フォードレス家最大の難題。今の憂はただこのひとつだけ、それに切り込もうと思った。
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