20 / 355
第二十話 新たな属性
しおりを挟む
ランキング戦が終了した。
最後の勝負は、一瞬で片が付いた。
開始と同時にエストに向かって突っ込んだカズキは、横なぎの一撃を、足がもつれた演技でかわして、脛を剣の平で思いきりぶっ叩いたのだ。それにより、エストは足の脛を骨折。戦闘不能になった。
「勝者!カズキ・スワ!」
その声と同時に、カズキもその場にへたり込んだ。
周囲で歓声が上がる。入学二日目で、ランキング10位に勝ったのだ。盛り上がりは尋常ではなかった。
そこに、ラクトが複雑そうな顔で近づいてきた。
「カズキ・・・」
「よお、ラクト。儲かったか?」
「・・・うん。聞いたよ、カズキの事」
「ああ。知ってるけど?」
「なんで・・・って魔法を使ってたの?」
「暇だったからさ。お陰で、笑い死にする所だったぜ。ねーさんとフローネの期待通りな台詞を、ペラペラと垂れ流しやがるから」
「それでか。どうして笑っているのかと思ったよ」
タイミング良く笑い出したのは、そういう理由があったのだ。
「カズキさん」
そこに、フローネがやって来た。ノートを抱えてご機嫌な顔をしている。
「どうだ?いい話が出来そうか?」
「はい!期待していてくださいね」
「おう。後で読ませてもらうから」
カズキはそう言って、立ち上がろうとした。だが、力が入らないのか、よろめいてしまう。
「カズキ!」
ラクトが咄嗟に支えて、カズキに肩を貸した。
本当は疲れていたのか、とラクトは思ったが、そこに近づいてくる人影があった。エストである。
彼は、エルザの魔法で骨折を治療されて、すぐにカズキの所に来たのだった。
「カズキ・スワ。私の負けだ。今回は私の油断と不運が重なったが、運も実力の内と言う。言い訳はしない」
カズキは、また俯いていた。エストの顔を見た瞬間に、笑いの発作が再び襲って来たからである。
エストは、カズキが笑いを堪えている事に気付かず、更に追撃を掛けて来た。
「次は、私が君に挑戦する。もう油断はしない。お互いに万全の状態で戦おう」
カズキは、声が出せなくなっていた。仕方がないので、震える手を差し出す。
疲れで声も出ないのだと解釈したエストは、カズキの手を握って言った。
「ありがとう。次に戦う時まで、決して負けないでくれ。私も誰にも負けないと誓おう。では、さらばだ」
言いたい放題言って、エストは去っていった。
たまらないのは、カズキである。また地面に座り込むと、遠慮なく笑い始めた。
「ぎゃはははははははは!やべえ!死ぬ!笑い殺される!」
そこに、エルザもやって来た。顔がにやけている。
そして、真面目な顔を作って言った。
「カズキ・スワ。私の負けだ」
「ぎゃはははははははは!」
「次は、私が君に挑戦する」
「ぎゃはははははははは!やめて!ねーさん!」
「次に戦う時まで、決して負けないでくれ。私も誰にも負けないと誓おう。では、さらばだ」
「ひぃ、ひぃ。やめてってば!マジで死んじまう!ぎゃはははははははは!」
「うわー。容赦ないなぁ。エルザ様」
「全くだ」
いつの間にか、ジュリアンもいて、気の毒そうにカズキを見ていた。
「エルザ、その辺にしておかないと、カズキが本当に死ぬぞ?」
見れば、カズキはうつ伏せに倒れて、ピクピクと痙攣していた。
「あら?丁度いいわ。このまま担架で運びましょう。激戦の果てに力尽きた感が出てるし」
エルザはそう言って、その場を立ち去った。
「流石に、悪いと思ったんでしょうか」
「甘いな、ラクト君。見てみなさい。換金に行っただけだ」
二人が見ていると、エルザが振り返ってラクトを手招きした。
「ラクト君!早くしないと締め切られるわよ!」
「・・・行ってきなさい」
「・・・はい」
ジュリアンは、ラクトを送り出すと、フローネを見た。彼女は、黙々とノートにペンを走らせている。
先程のエストの発言を書き留めているのだろう。
「なあ」
カズキが仰向けになりながら、声を掛けて来た。ようやく発作が収まったらしい。
「どうした?」
「帰っていいか?」
「もう少し待ってくれ。魔法の適正を調べなければならない」
「それ、必要か?俺って、全部適正があるんだろ?」
「ああ。だが、この学院にも水晶があるんだ。私が触れても新しい魔法は見つからなかったが、カズキならどうかと思ってな」
「そういうことか、分かったよ」
そこに、エルザとラクトが戻ってきた。ラクトは、屋台に立て掛けてあった看板を抱えている。
「ごめん、カズキ。担架は全部使われててさ」
ランキング戦に負けた連中を運ぶのに、全部使われているのだという。
「あれ?ねーさんが怪我を治したんじゃないのか?」
「治してないわよ?」
「なら、なんで最後の奴だけ」
「素晴らしい戦いを演じてくれた彼に、敬意を表して・・・」
「「嘘だな」」
カズキとジュリアンの声がハモった。
「本当は、面白い台詞が聞けると思ったからだろ」
「ええ。彼は期待通りの働きをしてくれたわ。そうでしょ?フローネ」
「そうですね。とても参考になりました」
ノートを閉じたフローネが、嬉しそうに頷く。
ラクトは、その態度を見て、さっきフローネに感じた疑惑を、カズキに小声で聞いてみた。
「カズキはどう思う?」
「なにが?」
「フローネさんの事」
「さっきの話か。考えすぎだと思うぞ」
「なんで?」
「猫好きに、悪い奴はいないからだ」
「・・・はい?何で猫?」
「可愛いからだ」
「・・・そう」
突然、意味不明な事を言い出したカズキに、ラクトは目を白黒させた。
そして、救いを求めるように視線を彷徨わせていると、苦笑しているジュリアンと目が合った。
「ラクト君、ちょっと」
手招きされたラクトは、カズキを気にしながらジュリアンに近寄った。
「カズキは放っておいていいんですか?」
「問題ない。見ろ」
促されてそちらを見ると、フローネやエルザと、楽しそうに話しているカズキの姿があった。
ノートを広げている所を見ると、物語の内容について話しているらしい。
ラクトの事は、欠片も気にしていない様だった。
「ナンシーって、誰ですか?」
三人の話の中に、頻繁にその名前が出て来る。
フローネの物語にも登場した名前で、カズキが気にかけている描写があった。
そして、昨日の事だ。カズキには運命の相手がいる。確かにそう言っていた筈だ。
ならば・・・。
「もしかして、カズキの恋人ですか?」
そうとしか考えられなかった。
だが、ジュリアンはその言葉に答えずに、全く違う事を聞いてきた。
「君は、猫が好きか?」
「え?」
「重要な事なんだ。答えてくれ。君の今後に関わる」
はぐらかすつもりか、そう思ってジュリアンを見たが、彼は真剣だった。
疑問に思いながらも、ラクトは素直に答えた。
「好きですけど」
「嘘を付いていないな?神に誓えるか?」
やけに念入りに確認するジュリアン。
「はい」
「そうか・・・」
ラクトの答えに、ジュリアンは安堵の溜め息を吐いた。
「済まなかったな、疑うような事をして」
「別に良いんですけど。それがどうしたんですか?」
「私の母が、猫を好きなのは知っているか?」
「ええ、有名ですから。うちの店も贔屓にしてもらってます」
「そうだったな。その母が可愛がっている猫たちの中に、エリーという猫がいる」
「はあ」
話が見えなかったが、とりあえずラクトは頷いた。
「そのエリーが産んだのがナンシーだ。そして、召喚されたばかりだったカズキも、出産に立ち会った」
「じゃあ、その時に?」
「ああ。産まれたばかりの仔猫に、文字が重なって見えたそうだ。その時からナンシーとカズキの関係が始まった」
ラクトは、ジュリアンの言いたい事を理解した。
「つまり、カズキと付き合う時は、ナンシーを念頭に置けということですね?」
「そうだ。まあ、ナンシーだけではなく、猫全般にも言える事だが。猫好きなら問題ないだろう」
「分かりました」
「内緒話は終わった?」
ラクトが頷くと同時に、エルザが声を掛けて来た。
話に夢中になって、近づいてくる気配に気付けなかったらしい。
ラクトは驚いて飛び上がったが、ジュリアンは動じていなかった。
「丁度、終わった所だ。そちらも準備ができようだな」
見ると、カズキが看板に寝転んでいた。
「ええ。そういう訳だから、早く運んでくれる?」
自分が運ぶという選択肢は、初めから無いらしい。
分かっていた事なので、二人は黙って従った。
「あれ?なんか凄く軽い気がするんだけど」
「看板じゃ運び辛いだろ?」
「そうだけど。・・・カズキって、本当に大賢者だったんだね」
「恥ずかしいから、その名前で呼ぶのを止めてくれ。俺が言い出したんじゃねーのに」
「分かった。・・・ねえ、カズキにお願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「弟子にしてくれない?」
「弟子?・・・剣の?」
「何でそうなるのさ。古代魔法に決まってるだろ」
カズキの惚けた反応に、ラクトは看板を落としそうになった。
「魔法かぁ。うん、無理!」
カズキの即答に、ラクトは肩を落とした。
「そんなぁ、そこをなんとか!」
「無理な物は無理」
泣きが入り始めたラクトを見かねて、ジュリアンが間に入る。
「カズキ、それでは説明になってないぞ」
「そうか?じゃあ、ジュリアンに任せた。弟子よ、励め」
「適当だな。まあ、間違ってもいないが」
「ん?カズキが師匠なの?逆じゃなくて?」
「ある意味そうだな。私は、カズキのお陰で使えるようになった。つい最近の事だ」
「学院長でもですか?」
ラクトは、ジュリアンが古代魔法を復活させたと思っていた。
天才と呼ばれた彼が、研究の末にそれを成し遂げたのだと。
「ああ。・・・これまでに、古代魔法の秘密を解き明かそうと、研究者たちは魔法書を探してきた。ここまではいいな?」
「はい」
「だが、それは勘違いだったんだ。魔法書は、既に発見されていたのだよ」
「本当ですか?それなら、騒ぎにならなかったのが不思議です。発見した人が、隠していたという事ですか?」
「違う。魔法使いなら、一度は必ず目にした事がある物だ。ただ、それは本では無かった」
「本じゃない?では、何が」
「その話は後にしよう」
そう言って、ジュリアンが足を止めたのは、冒険者ギルドの前だった。
「さっきは、学生証を受け取る前に、ランキング戦に入ってしまったからな。まずは、学生証を受け取ってくれ」
ジュリアンの言葉に、カズキは立ち上がった。そして、次元ポストからライセンスを取り出し、受付に手渡す。
「学院長、これは、何かの間違いですか?」
カズキのライセンスを見た受付の若い男が、驚いた顔をして、ジュリアンに言った。
「間違いではない。ギルド本部に問い合わせれば、確認できる」
「そうですか・・・」
その後は何事もなく、手続きが終了した。
「これが学生証だ。無くしても再発行はしないから、そのつもりで」
「分かった」
「「分かりました」」
「では、こっちに来てくれ。規模の大きいギルドには、魔法適正を調べる水晶がある。ここにあるのも、その一つだ。使う時は、職員に声を掛けるように」
ジュリアンはそう言って、ギルド内部にある扉を開けた。
中央に台座があり、その上に水晶が置いてある。
ジュリアンは台座に近づくと、そこにある水晶に触れた。
「あれ?」
「どうした?」
声を上げたカズキに、ジュリアンが答えた。
「なんで光らねーの?」
「ああ。これは城にある物と違って、光るタイプじゃないんだ。触れると、属性が浮かび上がる」
「へー」
「学院長は、全てに適正があるんですね。いいなぁ」
水晶を見たラクトが言った。
「ん?ラクトは違うのか?」
「うん。僕は三つかな。風と地と空間。空間は良くわかってないから、実質二つ。だから使える魔法が少ないんだよね」
ラクトは言いながら、ジュリアンに代わって水晶に触れた。
「どれどれ。お?光が生えてるみたいだぞ?」
「ホント!?やったー!」
ラクトが飛び上がって喜んだ。
「良かったな。光は使い勝手がいい。身体能力強化とか」
「え?そんな魔法があるの?」
「無いんだっけ?」
「今の魔法には無いな」
カズキの疑問に、ジュリアンが答える。
そして、ラクトを見た。
「さて、ラクト君。属性が追加された以外に、何か変わった事は無かったかな?」
「え?特になにも・・・」
「そうか。実は、これが魔法書なのだが」
突然明かされた事実に、ラクトは固まった。
「・・・嘘ですよね?」
「事実だ。これに触れると、古代魔法を覚える事が出来る」
「そんなぁ。何で駄目だったんですか?やっぱり、全部の適正がないといけないとか?」
「いや、もっと単純だ。魔力が足りていない。適正の問題ならば、私はもっと昔に覚えていた筈だ」
「学院長レベルの魔力って、想像もつかないんですけど」
「ん?ラクトの50倍って所じゃねえの?」
「分かるの!?」
驚くラクトに、カズキはあっさりと頷いた。
「ああ。ジュリアンも分かるよな?」
「まあな。古代魔法を覚えた影響だと思うが、以前より魔力に敏感になったらしい」
説明の足りないカズキの代わりに、ジュリアンがラクトに解説した。
「そんな事まで出来るんですね。じゃあ、カズキは入学式で会った時から、僕が魔法使いだって知ってたんだ?」
「そういう事になるな」
「おかしいと思ったんだよ。杖も持ってなかったのに」
(ニヤリ)
「うわー、その顔ムカつく」
「悪かったって。さて、次はフローネの番だな」
「私ですか?わかりました」
カズキに促されて、フローネが水晶に触れた。
「水と光。エルザと一緒だな。聖職者は、この組み合わせが多い。だが何故だ?神聖魔法使いは、属性魔法を使えない筈だが」
「回復魔法の属性が、その二つだからじゃねーの?」
「・・・何だと?」
「光=肉体、水=血だ。古代魔法での回復は、その二つの属性の組み合わせだろ?」
「・・・ちょっと待て」
「どうした?」
「カズキは、回復魔法も使えるのか?」
「使えるけど、ねーさんやフローネ程の効果はないぞ?ねーさんの魔法を見て、再現出来ないかと思ったんだけさ、結局、信仰心の問題だっていうのが分かった位だな」
ジュリアンは思った。「またか」と。
「なあカズキ」
「ん?」
「お前は、回復魔法を創った、そう言ったんだよな?」
「ああ、それが?」
「今まで、回復魔法は、聖職者しか使えなかったんだ」
「だろうなぁ。同じ効果でも、魔力の消費が100倍位違うからな。発動も出来なかったんだろ?」
「私が言いたかったのは、そんな魔法は存在しないという事なんだが。・・・研究する意味もないという事が良くわかった」
「そうなのか?まあ、手間が省けて良かったって事で」
ジュリアンの葛藤を気にもせず、至って気楽な言葉を発したカズキは、フローネに代わって水晶に手を置いた。
「新しい魔法は無しか。これで終わりなら、風呂に入りたいんだけど。寮に風呂は無かったよな?こっちにあるのか?」
「無い。ここは、広いだけの荒野だからな。風呂に入りたければ、例の場所か、街に出るかしてくれ」
「マジで?偶には違う場所もいいかと思ったんだけど」
そう言って水晶から手を放すと、フローネが声を上げた。
「カズキさん」
「どうした?」
「もう一度、水晶に触れてくれませんか?」
「いいけど」
そう言って、再び水晶に触れると、フローネが頷いて言った。
「やっぱりです」
「なんか面白い事でもあったか?」
「はい。見て下さい」
フローネが指さす所に、皆の注目が集まる。
「「「猫?」」」
そこには、その一文字が浮かんでいた。
最後の勝負は、一瞬で片が付いた。
開始と同時にエストに向かって突っ込んだカズキは、横なぎの一撃を、足がもつれた演技でかわして、脛を剣の平で思いきりぶっ叩いたのだ。それにより、エストは足の脛を骨折。戦闘不能になった。
「勝者!カズキ・スワ!」
その声と同時に、カズキもその場にへたり込んだ。
周囲で歓声が上がる。入学二日目で、ランキング10位に勝ったのだ。盛り上がりは尋常ではなかった。
そこに、ラクトが複雑そうな顔で近づいてきた。
「カズキ・・・」
「よお、ラクト。儲かったか?」
「・・・うん。聞いたよ、カズキの事」
「ああ。知ってるけど?」
「なんで・・・って魔法を使ってたの?」
「暇だったからさ。お陰で、笑い死にする所だったぜ。ねーさんとフローネの期待通りな台詞を、ペラペラと垂れ流しやがるから」
「それでか。どうして笑っているのかと思ったよ」
タイミング良く笑い出したのは、そういう理由があったのだ。
「カズキさん」
そこに、フローネがやって来た。ノートを抱えてご機嫌な顔をしている。
「どうだ?いい話が出来そうか?」
「はい!期待していてくださいね」
「おう。後で読ませてもらうから」
カズキはそう言って、立ち上がろうとした。だが、力が入らないのか、よろめいてしまう。
「カズキ!」
ラクトが咄嗟に支えて、カズキに肩を貸した。
本当は疲れていたのか、とラクトは思ったが、そこに近づいてくる人影があった。エストである。
彼は、エルザの魔法で骨折を治療されて、すぐにカズキの所に来たのだった。
「カズキ・スワ。私の負けだ。今回は私の油断と不運が重なったが、運も実力の内と言う。言い訳はしない」
カズキは、また俯いていた。エストの顔を見た瞬間に、笑いの発作が再び襲って来たからである。
エストは、カズキが笑いを堪えている事に気付かず、更に追撃を掛けて来た。
「次は、私が君に挑戦する。もう油断はしない。お互いに万全の状態で戦おう」
カズキは、声が出せなくなっていた。仕方がないので、震える手を差し出す。
疲れで声も出ないのだと解釈したエストは、カズキの手を握って言った。
「ありがとう。次に戦う時まで、決して負けないでくれ。私も誰にも負けないと誓おう。では、さらばだ」
言いたい放題言って、エストは去っていった。
たまらないのは、カズキである。また地面に座り込むと、遠慮なく笑い始めた。
「ぎゃはははははははは!やべえ!死ぬ!笑い殺される!」
そこに、エルザもやって来た。顔がにやけている。
そして、真面目な顔を作って言った。
「カズキ・スワ。私の負けだ」
「ぎゃはははははははは!」
「次は、私が君に挑戦する」
「ぎゃはははははははは!やめて!ねーさん!」
「次に戦う時まで、決して負けないでくれ。私も誰にも負けないと誓おう。では、さらばだ」
「ひぃ、ひぃ。やめてってば!マジで死んじまう!ぎゃはははははははは!」
「うわー。容赦ないなぁ。エルザ様」
「全くだ」
いつの間にか、ジュリアンもいて、気の毒そうにカズキを見ていた。
「エルザ、その辺にしておかないと、カズキが本当に死ぬぞ?」
見れば、カズキはうつ伏せに倒れて、ピクピクと痙攣していた。
「あら?丁度いいわ。このまま担架で運びましょう。激戦の果てに力尽きた感が出てるし」
エルザはそう言って、その場を立ち去った。
「流石に、悪いと思ったんでしょうか」
「甘いな、ラクト君。見てみなさい。換金に行っただけだ」
二人が見ていると、エルザが振り返ってラクトを手招きした。
「ラクト君!早くしないと締め切られるわよ!」
「・・・行ってきなさい」
「・・・はい」
ジュリアンは、ラクトを送り出すと、フローネを見た。彼女は、黙々とノートにペンを走らせている。
先程のエストの発言を書き留めているのだろう。
「なあ」
カズキが仰向けになりながら、声を掛けて来た。ようやく発作が収まったらしい。
「どうした?」
「帰っていいか?」
「もう少し待ってくれ。魔法の適正を調べなければならない」
「それ、必要か?俺って、全部適正があるんだろ?」
「ああ。だが、この学院にも水晶があるんだ。私が触れても新しい魔法は見つからなかったが、カズキならどうかと思ってな」
「そういうことか、分かったよ」
そこに、エルザとラクトが戻ってきた。ラクトは、屋台に立て掛けてあった看板を抱えている。
「ごめん、カズキ。担架は全部使われててさ」
ランキング戦に負けた連中を運ぶのに、全部使われているのだという。
「あれ?ねーさんが怪我を治したんじゃないのか?」
「治してないわよ?」
「なら、なんで最後の奴だけ」
「素晴らしい戦いを演じてくれた彼に、敬意を表して・・・」
「「嘘だな」」
カズキとジュリアンの声がハモった。
「本当は、面白い台詞が聞けると思ったからだろ」
「ええ。彼は期待通りの働きをしてくれたわ。そうでしょ?フローネ」
「そうですね。とても参考になりました」
ノートを閉じたフローネが、嬉しそうに頷く。
ラクトは、その態度を見て、さっきフローネに感じた疑惑を、カズキに小声で聞いてみた。
「カズキはどう思う?」
「なにが?」
「フローネさんの事」
「さっきの話か。考えすぎだと思うぞ」
「なんで?」
「猫好きに、悪い奴はいないからだ」
「・・・はい?何で猫?」
「可愛いからだ」
「・・・そう」
突然、意味不明な事を言い出したカズキに、ラクトは目を白黒させた。
そして、救いを求めるように視線を彷徨わせていると、苦笑しているジュリアンと目が合った。
「ラクト君、ちょっと」
手招きされたラクトは、カズキを気にしながらジュリアンに近寄った。
「カズキは放っておいていいんですか?」
「問題ない。見ろ」
促されてそちらを見ると、フローネやエルザと、楽しそうに話しているカズキの姿があった。
ノートを広げている所を見ると、物語の内容について話しているらしい。
ラクトの事は、欠片も気にしていない様だった。
「ナンシーって、誰ですか?」
三人の話の中に、頻繁にその名前が出て来る。
フローネの物語にも登場した名前で、カズキが気にかけている描写があった。
そして、昨日の事だ。カズキには運命の相手がいる。確かにそう言っていた筈だ。
ならば・・・。
「もしかして、カズキの恋人ですか?」
そうとしか考えられなかった。
だが、ジュリアンはその言葉に答えずに、全く違う事を聞いてきた。
「君は、猫が好きか?」
「え?」
「重要な事なんだ。答えてくれ。君の今後に関わる」
はぐらかすつもりか、そう思ってジュリアンを見たが、彼は真剣だった。
疑問に思いながらも、ラクトは素直に答えた。
「好きですけど」
「嘘を付いていないな?神に誓えるか?」
やけに念入りに確認するジュリアン。
「はい」
「そうか・・・」
ラクトの答えに、ジュリアンは安堵の溜め息を吐いた。
「済まなかったな、疑うような事をして」
「別に良いんですけど。それがどうしたんですか?」
「私の母が、猫を好きなのは知っているか?」
「ええ、有名ですから。うちの店も贔屓にしてもらってます」
「そうだったな。その母が可愛がっている猫たちの中に、エリーという猫がいる」
「はあ」
話が見えなかったが、とりあえずラクトは頷いた。
「そのエリーが産んだのがナンシーだ。そして、召喚されたばかりだったカズキも、出産に立ち会った」
「じゃあ、その時に?」
「ああ。産まれたばかりの仔猫に、文字が重なって見えたそうだ。その時からナンシーとカズキの関係が始まった」
ラクトは、ジュリアンの言いたい事を理解した。
「つまり、カズキと付き合う時は、ナンシーを念頭に置けということですね?」
「そうだ。まあ、ナンシーだけではなく、猫全般にも言える事だが。猫好きなら問題ないだろう」
「分かりました」
「内緒話は終わった?」
ラクトが頷くと同時に、エルザが声を掛けて来た。
話に夢中になって、近づいてくる気配に気付けなかったらしい。
ラクトは驚いて飛び上がったが、ジュリアンは動じていなかった。
「丁度、終わった所だ。そちらも準備ができようだな」
見ると、カズキが看板に寝転んでいた。
「ええ。そういう訳だから、早く運んでくれる?」
自分が運ぶという選択肢は、初めから無いらしい。
分かっていた事なので、二人は黙って従った。
「あれ?なんか凄く軽い気がするんだけど」
「看板じゃ運び辛いだろ?」
「そうだけど。・・・カズキって、本当に大賢者だったんだね」
「恥ずかしいから、その名前で呼ぶのを止めてくれ。俺が言い出したんじゃねーのに」
「分かった。・・・ねえ、カズキにお願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「弟子にしてくれない?」
「弟子?・・・剣の?」
「何でそうなるのさ。古代魔法に決まってるだろ」
カズキの惚けた反応に、ラクトは看板を落としそうになった。
「魔法かぁ。うん、無理!」
カズキの即答に、ラクトは肩を落とした。
「そんなぁ、そこをなんとか!」
「無理な物は無理」
泣きが入り始めたラクトを見かねて、ジュリアンが間に入る。
「カズキ、それでは説明になってないぞ」
「そうか?じゃあ、ジュリアンに任せた。弟子よ、励め」
「適当だな。まあ、間違ってもいないが」
「ん?カズキが師匠なの?逆じゃなくて?」
「ある意味そうだな。私は、カズキのお陰で使えるようになった。つい最近の事だ」
「学院長でもですか?」
ラクトは、ジュリアンが古代魔法を復活させたと思っていた。
天才と呼ばれた彼が、研究の末にそれを成し遂げたのだと。
「ああ。・・・これまでに、古代魔法の秘密を解き明かそうと、研究者たちは魔法書を探してきた。ここまではいいな?」
「はい」
「だが、それは勘違いだったんだ。魔法書は、既に発見されていたのだよ」
「本当ですか?それなら、騒ぎにならなかったのが不思議です。発見した人が、隠していたという事ですか?」
「違う。魔法使いなら、一度は必ず目にした事がある物だ。ただ、それは本では無かった」
「本じゃない?では、何が」
「その話は後にしよう」
そう言って、ジュリアンが足を止めたのは、冒険者ギルドの前だった。
「さっきは、学生証を受け取る前に、ランキング戦に入ってしまったからな。まずは、学生証を受け取ってくれ」
ジュリアンの言葉に、カズキは立ち上がった。そして、次元ポストからライセンスを取り出し、受付に手渡す。
「学院長、これは、何かの間違いですか?」
カズキのライセンスを見た受付の若い男が、驚いた顔をして、ジュリアンに言った。
「間違いではない。ギルド本部に問い合わせれば、確認できる」
「そうですか・・・」
その後は何事もなく、手続きが終了した。
「これが学生証だ。無くしても再発行はしないから、そのつもりで」
「分かった」
「「分かりました」」
「では、こっちに来てくれ。規模の大きいギルドには、魔法適正を調べる水晶がある。ここにあるのも、その一つだ。使う時は、職員に声を掛けるように」
ジュリアンはそう言って、ギルド内部にある扉を開けた。
中央に台座があり、その上に水晶が置いてある。
ジュリアンは台座に近づくと、そこにある水晶に触れた。
「あれ?」
「どうした?」
声を上げたカズキに、ジュリアンが答えた。
「なんで光らねーの?」
「ああ。これは城にある物と違って、光るタイプじゃないんだ。触れると、属性が浮かび上がる」
「へー」
「学院長は、全てに適正があるんですね。いいなぁ」
水晶を見たラクトが言った。
「ん?ラクトは違うのか?」
「うん。僕は三つかな。風と地と空間。空間は良くわかってないから、実質二つ。だから使える魔法が少ないんだよね」
ラクトは言いながら、ジュリアンに代わって水晶に触れた。
「どれどれ。お?光が生えてるみたいだぞ?」
「ホント!?やったー!」
ラクトが飛び上がって喜んだ。
「良かったな。光は使い勝手がいい。身体能力強化とか」
「え?そんな魔法があるの?」
「無いんだっけ?」
「今の魔法には無いな」
カズキの疑問に、ジュリアンが答える。
そして、ラクトを見た。
「さて、ラクト君。属性が追加された以外に、何か変わった事は無かったかな?」
「え?特になにも・・・」
「そうか。実は、これが魔法書なのだが」
突然明かされた事実に、ラクトは固まった。
「・・・嘘ですよね?」
「事実だ。これに触れると、古代魔法を覚える事が出来る」
「そんなぁ。何で駄目だったんですか?やっぱり、全部の適正がないといけないとか?」
「いや、もっと単純だ。魔力が足りていない。適正の問題ならば、私はもっと昔に覚えていた筈だ」
「学院長レベルの魔力って、想像もつかないんですけど」
「ん?ラクトの50倍って所じゃねえの?」
「分かるの!?」
驚くラクトに、カズキはあっさりと頷いた。
「ああ。ジュリアンも分かるよな?」
「まあな。古代魔法を覚えた影響だと思うが、以前より魔力に敏感になったらしい」
説明の足りないカズキの代わりに、ジュリアンがラクトに解説した。
「そんな事まで出来るんですね。じゃあ、カズキは入学式で会った時から、僕が魔法使いだって知ってたんだ?」
「そういう事になるな」
「おかしいと思ったんだよ。杖も持ってなかったのに」
(ニヤリ)
「うわー、その顔ムカつく」
「悪かったって。さて、次はフローネの番だな」
「私ですか?わかりました」
カズキに促されて、フローネが水晶に触れた。
「水と光。エルザと一緒だな。聖職者は、この組み合わせが多い。だが何故だ?神聖魔法使いは、属性魔法を使えない筈だが」
「回復魔法の属性が、その二つだからじゃねーの?」
「・・・何だと?」
「光=肉体、水=血だ。古代魔法での回復は、その二つの属性の組み合わせだろ?」
「・・・ちょっと待て」
「どうした?」
「カズキは、回復魔法も使えるのか?」
「使えるけど、ねーさんやフローネ程の効果はないぞ?ねーさんの魔法を見て、再現出来ないかと思ったんだけさ、結局、信仰心の問題だっていうのが分かった位だな」
ジュリアンは思った。「またか」と。
「なあカズキ」
「ん?」
「お前は、回復魔法を創った、そう言ったんだよな?」
「ああ、それが?」
「今まで、回復魔法は、聖職者しか使えなかったんだ」
「だろうなぁ。同じ効果でも、魔力の消費が100倍位違うからな。発動も出来なかったんだろ?」
「私が言いたかったのは、そんな魔法は存在しないという事なんだが。・・・研究する意味もないという事が良くわかった」
「そうなのか?まあ、手間が省けて良かったって事で」
ジュリアンの葛藤を気にもせず、至って気楽な言葉を発したカズキは、フローネに代わって水晶に手を置いた。
「新しい魔法は無しか。これで終わりなら、風呂に入りたいんだけど。寮に風呂は無かったよな?こっちにあるのか?」
「無い。ここは、広いだけの荒野だからな。風呂に入りたければ、例の場所か、街に出るかしてくれ」
「マジで?偶には違う場所もいいかと思ったんだけど」
そう言って水晶から手を放すと、フローネが声を上げた。
「カズキさん」
「どうした?」
「もう一度、水晶に触れてくれませんか?」
「いいけど」
そう言って、再び水晶に触れると、フローネが頷いて言った。
「やっぱりです」
「なんか面白い事でもあったか?」
「はい。見て下さい」
フローネが指さす所に、皆の注目が集まる。
「「「猫?」」」
そこには、その一文字が浮かんでいた。
10
お気に入りに追加
337
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
恋を諦めた聖女は、それでも想い人の幸せを願う
真弓りの
恋愛
【旧題】大好きです、さようなら
私が営むカフェには、ちょっとした幸運特典がついている。なぜなら私は「導きの聖女」だったから。
異世界を救って現世に戻ってきた私は、僅かに残る導きの力を使って、訪れるお客様に小さな幸せのきっかけをプレゼントする。
これは恋を諦めた私の、密かな楽しみ。それが、異世界に住むあの人の幸運に繋がる筈だと信じてるから。
なのに時折夢に見るあの人は、どうしてあんなに辛そうなの……?
◾️1000字程度の不定期更新。 ◆※「小説家になろう」さんでも投稿しております。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
夢の硝子玉
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
少年達がみつけた5色の硝子玉は願い事を叶える不思議な硝子玉だった…
ある時、エリオットとフレイザーが偶然にみつけた硝子玉。
その不思議な硝子玉のおかげで、二人は見知らぬ世界に飛ばされた。
そこは、魔法が存在し、獣人と人間の住むおかしな世界だった。
※表紙は湖汐涼様に描いていただきました。
前世は拾われた猫だったので。転生したら人間を拾っています。
PYON
ファンタジー
現世で寿命を全うしたチャトラ猫のドラ。きちんと生きたごほうびとして、異世界に転生することとなる。元の世界で人間に救われたドラは異世界で逆に人間を救おうとするのだった。
チートな魔法猫のドラが異世界でいろいろな人間たちを助けるお話です。
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる