子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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壮年期 45

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「…どうでした?」

「微妙だった。まあでも最低限の義理は果たしてちゃんと警告したし…これ以上居てもしょうがなさそうだからあと一週間ぐらいしたら帰ろうか」

「…良いのかい?この状況で帰るなんて…」


宿屋に戻ると分身のお姉さんが尋ね、分身の俺の報告と予定を聞くと分身の女性は可能かどうかを確認してきた。


「このまま居てもやる事無くて時間の無駄だし」

「確かに、そうだけど…」


分身の俺が帰る理由を告げると…聞きたい答えではなかったからか分身の女性は微妙な感じで返す。


「それに今の感じじゃ俺に兵を貸すとしたら最後の最後…本当にどうにもならない首都陥落直前だと思う。そんな状況からやれって言われてもでしょ」

「…そうですね」


分身の俺は呆れたように予想や想定を話すと分身のお姉さんが少し考えて賛同する。


「自国なら王都が陥落直前でも救援に行って敵を追い返すけど…こんな舐められた対応しかしない国にそこまでしてあげる義理なんて無いよ」

「それもそうだね」

「ただ…あのヴェルヘルムの国境付近を守ってる青年のところなら助けに行ってもいいかな。アレは話の分かる側だし」

「確かに…あの方なら必要であれば直ぐに坊ちゃんに兵を預ける判断を下せると思います」


分身の俺の突き放すような言い方に分身の女性が賛同し、ケースバイケースの話をすると分身のお姉さんも肯定的に返した。


「まあでも一週間、ココで何も無ければアッチに聞きに行って『要らない』ってんなら帰還で」

「分かった」

「分かりました」

「後で政府の方に報告書出さないとなぁ…とりあえず先に言い訳しとかないと後から何言われるか分かったもんじゃないし」


分身の俺が今後の予定を話すと分身の二人が了承するので分身の俺は面倒くせぇ…と思いながら変化魔法を使って分身し、分身解除による記憶共有を行う事に。


…それから一週間後。


やっぱりこんな短期間では何も起きず、青年に手伝いが必要かどうか聞きに行っても予想通り要らないと言われる。


なので青年には『やる事無くて国に帰るから手伝いが必要になった呼んでくれ』と告げて女性とお姉さんの分身を解き、分身の俺は普通に変化魔法でドラゴンに変身して帰還した。


「…援軍要請されたのにやる事が無いと言うのも変な話でしたね」

「まあしょうがない。でも収穫はあったから行った甲斐あったでしょ」

「そうですね。ジェネラルが召喚した魔物…スケルトンの種類によって魔石の質が変化している、というのが確定したのはとんでもない発見ですよ!」


…自室で本を読んでいたお姉さんの発言に俺が適当な感じで返すとお姉さんは頷いて興奮しながら説明して立ち上がる。


「確かに。魔物から召喚された魔物にのみ見られる現象ってのが凄い」

「普通なら対応するので精一杯なのでそこまで意識が向きませんし」

「あとやっぱり上級職は魔石の質が高かったみたいだね」

「そうですね、上級者用の最高難度のダンジョンだけあって召喚される魔物も最下層に現れるのとほぼ遜色無いぐらいですから」


俺の肯定にお姉さんは今まで知られてなかった理由を話し、俺が新たに分かった情報を言うとお姉さんが嬉しそうな顔で返す。


「ただ…普通のダンジョンなら多分ジェネラルに変化させても魔素の関係で下級職のスケルトンしか召喚しないと思う」

「…やっぱり上級職は上級者向けか上級者用の高難度のダンジョンに限って来ますか…」

「それも狙った魔物が召喚されるかは運次第だからね。近接系でも『ソードマスター』『バーサーカー』『パラディン』『デストロイヤー』とかの種類があるわけだし」

「近、中、遠距離の種類でそれぞれ出てくる数が決まってますので、その中で狙った魔物を…となるとどうしても運が絡んできますから」


俺が予想を話すとお姉さんは考えるように呟き、補足をするとお姉さんが微妙な感じで笑ってガチャガチャ要素に近い事を言い出し始めた。


「流石の俺もジェネラルに変身しても召喚術までは使えないからなぁ…精霊術の応用とも違うし…アレはまた『召喚術』っていう別の技術なんだろうね」

「坊ちゃんで無理なら他の人には絶対扱えないですね」

「『絶対』とは言い切れないんじゃない?もしかしたら感覚で理解して成功させる人も世の中には居るかもしれないじゃん?」

「…確かに。世界は広いのでその才能を持ってる人間が居ない、とは言い切れませんね…」


俺の経験談からの予想にお姉さんは少し困ったように笑い、俺がその意見に否定するとお姉さんが考えを改めるかのように呟く。


「ですがそういう人が居たとしても、変化魔法を習得し、かつジェネラルの素材を手に入れて変化出来るようになる…というかなりの高い壁を超えて蜘蛛の糸のように細い道筋を辿らない限りその才能が活きる事は無いと思いますが」

「…まあ無理だね。確率にしたら天文学的数字過ぎてそういう人間が出てくるのは今後何百年か下手したら千年単位で先になると思う」


お姉さんが反論するように返すので俺は普通に同意するように肯定してザックリとした予想を話す。
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