417 / 480
青年期 353
しおりを挟む
「…マジか!」
「どうかしたんですか?」
拠点の自室で報告書を読んでた俺が分身の死による記憶共有に驚愕しながら立ち上がると、紙に何かを書き込んでいるお姉さんが不思議そうに尋ねてくる。
「分身が、俺が死んだ。っていうか殺された」
「え?…え!!??」
俺の報告にお姉さんは一瞬理解してないように呟くと直ぐに驚愕しながら立ち上がった。
「ヤバいわー。流石は厄災の魔女とか呼ばれるだけはある…どんな技術を持ってるかを知るために様子見してたらそのまま死んだ」
「…今の坊ちゃんに攻撃が通ったんですか…?」
「流石に鉄が余裕で溶けるレベルの高温の炎をくらえば俺でも火傷するから、それ以上の温度の攻撃ともなればそりゃ死ぬよ」
俺が若干ヒきながら経緯を軽く話すとお姉さんは信じられないかのように呟くので、俺はツッコミを入れるように返す。
「まあでも変化魔法を一回しか使ってないおかげで魔力の消費がほぼ無いのが幸いか」
「…なんでそんな危険過ぎる攻撃をされてるのに変化魔法を使ってないんですか?」
「使う暇なく一気に決められた。やっぱ事前に治せるところを見せたのが痛かったかぁ…」
俺の不幸中の幸い的な言い方にお姉さんがドン引きした顔で聞き、俺は『使わなかった』ではなく『使えなかった』と女の半端ない実力を暗に知らせるように返して反省しながら呟く。
「あ、流石に今回は鍛錬とかでわざと使わなかったわけではないんですね」
「うん。『厄災の魔女』の呼称に相応しい…全く名前負けしてない強さだね。初見殺しがめちゃくちゃ多い上に最終的に俺を殺せるほどの高威力の技まで持ってる」
お姉さんが安心したように言うので俺は肯定しながら女の圧倒的なまでの強さを教える。
「…坊ちゃんがそこまで褒めるって事はマーリン様が封印という方法を選んだのも頷けますね…」
「まあとりあえず魔力の消耗はほぼ無いし、第二ラウンドといこうか」
お姉さんの頷きながらの呟きに俺は流すように返して変化魔法を使ってスライム化からの分身をした。
「…やっぱり坊ちゃんソレ反則ですって。もう相手の手札はほぼ割れて対策が取れる状態での再戦って…」
「「『再戦』というよりも『再開』。アッチは終わった気になってるかもしれないけどコッチは俺がやられるまで終わってないわけだし」」
お姉さんが微妙な顔をしながらも呆れた感じで言うが俺と分身の俺は否定して訂正するように返す。
「ええ…」
「じゃあ行って来るか」
「おう」
お姉さんは困惑したように呟くが分身の俺は無視して女の所へと向かおうとするので俺はそれを見送る。
「…にしても良く考えたら人間相手に分身の俺が死ぬってのも初めてだな」
「一応自分同士の鍛錬も人間相手では?」
「自分は流石にノーカンでしょ」
俺が椅子に座って意外に思いながら言うとお姉さんは意地悪そうに笑って揚げ足を取るような確認をしてくるが俺は軽く流す。
ーーー
「やあ、待った?」
「!?な…!な、んで…!」
分身の俺は急いで平原へと向かった後に座って休んでる女に待ち合わせのように声をかけると、女は直ぐに振り返った後に驚愕しながら信じられないものを見るような目で分身の俺を見た。
「ふっふっふ…実は『変わり身の術』という技があってね。攻撃が当たる瞬間に身代わりとして用意してる物と入れ替わるんだ」
「ありえない…!だって…跡形も残らず灰になって消えたはずなのに…!」
分身の俺が得意気に笑って忍術の事を話すも女は信じずに否定するかのように返す。
「灰になって消えたのは俺の代わりの人形か木人ってところかな?この技の良いところはねぇ、手応えがちゃんとあるから死体を確認されるまで気づかない…って部分だよ」
「…なるほど。どうやら本当に仕留め損ねた、と」
「死体を確認出来ないほどの大技を使ったのが仇となったね。本来なら後ろからの不意打ちで死んでたよ?」
分身の俺の嘘を重ねての説明に女は納得して理解したように目つきが変わり、分身の俺は嘘がバレたり怪しまれないよう女の非を挙げて警戒を促した。
「…どうせあなたならやらないでしょう?」
「その通り。俺がソレをやるとしたらそれは形振り構ってられない時だけなんだ」
「私じゃ力不足だと言いたいの?後悔しないでよ」
「さあ、第二ラウンドの始まりだ」
女が煽るように確認し、肯定すると何故か挑発と捉えられ…
女は怒ったようにドラゴンに変身するので分身の俺は戦いの再開を告げるように言う。
「…コレはなるべくなら使いたくはなかったんだけど…」
女が形態変化せず、竜人にならずにドラゴンの姿のまましょうがないといった様子で呟くと身に纏う炎の範囲がめちゃくちゃに広がり…
その中心である女の所へと炎が収束するような感じで纏っている炎の範囲が狭まっていく。
「…ん?あれ、コレってもしかしてヤバくね?」
女の力を溜めるかのような行動を見て分身の俺は背中にゾワっと悪寒が走るような感覚がしたので若干ビビりながら呟いた。
「はあっ!!」
キイイィンとなにやら甲高い音が聞こえたと思えば女が技を発動するように叫び…
女を中心に今までとは比にならないほどの規模の大爆発が起きる。
「どうかしたんですか?」
拠点の自室で報告書を読んでた俺が分身の死による記憶共有に驚愕しながら立ち上がると、紙に何かを書き込んでいるお姉さんが不思議そうに尋ねてくる。
「分身が、俺が死んだ。っていうか殺された」
「え?…え!!??」
俺の報告にお姉さんは一瞬理解してないように呟くと直ぐに驚愕しながら立ち上がった。
「ヤバいわー。流石は厄災の魔女とか呼ばれるだけはある…どんな技術を持ってるかを知るために様子見してたらそのまま死んだ」
「…今の坊ちゃんに攻撃が通ったんですか…?」
「流石に鉄が余裕で溶けるレベルの高温の炎をくらえば俺でも火傷するから、それ以上の温度の攻撃ともなればそりゃ死ぬよ」
俺が若干ヒきながら経緯を軽く話すとお姉さんは信じられないかのように呟くので、俺はツッコミを入れるように返す。
「まあでも変化魔法を一回しか使ってないおかげで魔力の消費がほぼ無いのが幸いか」
「…なんでそんな危険過ぎる攻撃をされてるのに変化魔法を使ってないんですか?」
「使う暇なく一気に決められた。やっぱ事前に治せるところを見せたのが痛かったかぁ…」
俺の不幸中の幸い的な言い方にお姉さんがドン引きした顔で聞き、俺は『使わなかった』ではなく『使えなかった』と女の半端ない実力を暗に知らせるように返して反省しながら呟く。
「あ、流石に今回は鍛錬とかでわざと使わなかったわけではないんですね」
「うん。『厄災の魔女』の呼称に相応しい…全く名前負けしてない強さだね。初見殺しがめちゃくちゃ多い上に最終的に俺を殺せるほどの高威力の技まで持ってる」
お姉さんが安心したように言うので俺は肯定しながら女の圧倒的なまでの強さを教える。
「…坊ちゃんがそこまで褒めるって事はマーリン様が封印という方法を選んだのも頷けますね…」
「まあとりあえず魔力の消耗はほぼ無いし、第二ラウンドといこうか」
お姉さんの頷きながらの呟きに俺は流すように返して変化魔法を使ってスライム化からの分身をした。
「…やっぱり坊ちゃんソレ反則ですって。もう相手の手札はほぼ割れて対策が取れる状態での再戦って…」
「「『再戦』というよりも『再開』。アッチは終わった気になってるかもしれないけどコッチは俺がやられるまで終わってないわけだし」」
お姉さんが微妙な顔をしながらも呆れた感じで言うが俺と分身の俺は否定して訂正するように返す。
「ええ…」
「じゃあ行って来るか」
「おう」
お姉さんは困惑したように呟くが分身の俺は無視して女の所へと向かおうとするので俺はそれを見送る。
「…にしても良く考えたら人間相手に分身の俺が死ぬってのも初めてだな」
「一応自分同士の鍛錬も人間相手では?」
「自分は流石にノーカンでしょ」
俺が椅子に座って意外に思いながら言うとお姉さんは意地悪そうに笑って揚げ足を取るような確認をしてくるが俺は軽く流す。
ーーー
「やあ、待った?」
「!?な…!な、んで…!」
分身の俺は急いで平原へと向かった後に座って休んでる女に待ち合わせのように声をかけると、女は直ぐに振り返った後に驚愕しながら信じられないものを見るような目で分身の俺を見た。
「ふっふっふ…実は『変わり身の術』という技があってね。攻撃が当たる瞬間に身代わりとして用意してる物と入れ替わるんだ」
「ありえない…!だって…跡形も残らず灰になって消えたはずなのに…!」
分身の俺が得意気に笑って忍術の事を話すも女は信じずに否定するかのように返す。
「灰になって消えたのは俺の代わりの人形か木人ってところかな?この技の良いところはねぇ、手応えがちゃんとあるから死体を確認されるまで気づかない…って部分だよ」
「…なるほど。どうやら本当に仕留め損ねた、と」
「死体を確認出来ないほどの大技を使ったのが仇となったね。本来なら後ろからの不意打ちで死んでたよ?」
分身の俺の嘘を重ねての説明に女は納得して理解したように目つきが変わり、分身の俺は嘘がバレたり怪しまれないよう女の非を挙げて警戒を促した。
「…どうせあなたならやらないでしょう?」
「その通り。俺がソレをやるとしたらそれは形振り構ってられない時だけなんだ」
「私じゃ力不足だと言いたいの?後悔しないでよ」
「さあ、第二ラウンドの始まりだ」
女が煽るように確認し、肯定すると何故か挑発と捉えられ…
女は怒ったようにドラゴンに変身するので分身の俺は戦いの再開を告げるように言う。
「…コレはなるべくなら使いたくはなかったんだけど…」
女が形態変化せず、竜人にならずにドラゴンの姿のまましょうがないといった様子で呟くと身に纏う炎の範囲がめちゃくちゃに広がり…
その中心である女の所へと炎が収束するような感じで纏っている炎の範囲が狭まっていく。
「…ん?あれ、コレってもしかしてヤバくね?」
女の力を溜めるかのような行動を見て分身の俺は背中にゾワっと悪寒が走るような感覚がしたので若干ビビりながら呟いた。
「はあっ!!」
キイイィンとなにやら甲高い音が聞こえたと思えば女が技を発動するように叫び…
女を中心に今までとは比にならないほどの規模の大爆発が起きる。
61
お気に入りに追加
882
あなたにおすすめの小説
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる