子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 331

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「…?お前は…!」

「もうみんな野営地に撤退したよ。俺も戻る、じゃ」

「待て!」


元の人間の姿に戻った男は不思議そうに辺りを見渡して分身の俺を見ると警戒した様子になるが、分身の俺が適当に報告して戻ると男も追いかけて来た。


「…あ、戻って来た。…本当に魔物化が治ってる…」

「いやー、結構ギリギリだったね。もう少し遅かったら無理だったかも。やってみないと分からないけど」


既に周りの柵が取り除かれている野営地に戻ると分身の女性が分身の俺に駆け寄り、後ろからついて来た男を見て驚くので分身の俺は楽観的に適当な事を言う。


「…この度は部下の暴走…『魔物化』を解除してもらい、感謝申し上げる」

「魔物化…?」

「お前ワーウルフと間違えてベオウルフに変化して魔物化したんだぞ。覚えてないのか?」

「えっ!?」


隊長っぽい男の頭を下げながらのお礼に男が不思議そうな顔をすると他の男が教えて確認し、男は驚愕する。


「どういたしまして。次からはちゃんと魔物化しないよう気をつけてね」

「…ああ。国に戻ったらリセットされる一週間後まで変化魔法の使用を禁止させ、別の訓練に励ませるつもりだ」


分身の俺の注意に隊長っぽい男は肯定して対策を告げた。


「へー、グリーズベアーとかの上級でも一週間で済むんだ」

「日頃の訓練の賜物だ。しかしミノタウロスはリセットされるまで一月ほどかかるが」

「…ああ、なるほど。訓練でリセットされるまでの期間を縮めてるのか…凄いな…そんな事も出来るのか…」


分身の俺が意外に思いながら聞くと隊長っぽい男は説明するように返し、分身の俺は理解して納得した後にまたしても初耳な情報に感心して驚きながら呟く。


「どうやら『国一番の変化魔法の使い手』ってのは本当みたいだ。そんな技術もあるなんてね」

「今回はそちらに通じる手段が用意出来ぬので負けを認めて大人しく退くが、次はこうはいかんぞ。今開発中の技術をモノにすればいくら耐久力が高かろうがソレを上回る力で粉砕してやる」

「おー、それは楽しみだねぇ。その新技術ってやつが完成したら是非とも見せてもらいたいものだ」


分身の俺の納得しながらの発言に隊長っぽい男は負け惜しみだか挑発だか分からん事を強気で言い初め、分身の俺は煽るように余裕の態度で笑って返す。


その後、夕方には野営地の撤去が完了して男達は帰還するようなので分身の俺らも帰還する事に。



…それから三日後。



なにやら王様から発表があるらしいので分身の俺とお姉さん、女性の三名で王都の城に向かうと…


城の周りには大量の人が集まっていて、分身の俺らは王都の警備兵に案内されて城の中へと入る。


「久しいな、ゼルハイト卿」

「お久しぶりです」

「やあ、ゼルハイト卿。そしてお久しぶりです、コンテスティ侯爵」


兵士に案内されて廊下を歩いていると侯爵であるおっさんに話しかけられ、挨拶を返すと今度は辺境伯である青年が話しかけて来た。


「うむ。国境での争いは優勢のようじゃないか」

「というか今まさに大変な時なのに辺境伯まで呼び出されたんですか?」

「ああ。内容は聞いてないが、なにやら重大な発表があるから是非来てくれ…と」


おっさんの褒めるかのような言葉の直ぐ後に分身の俺が疑問を尋ねると青年は肯定して手紙か伝言の内容に軽く触れる。


「ゼルハイト卿の情報提供のおかげで防衛戦は今のところかなり優勢に進んでいる。少しの間であれば俺が居なくとも問題無いほどに余裕があるから呼び出しに応じたわけだ」

「なるほど」

「情報提供とは。ゼルハイト卿は諜報活動までお手のものか」

「たまたまです。世間話をしてたら偶然辺境伯が使えそうな情報が手に入った、ってだけですので」


青年が俺の手柄を主張するように話し、分身の俺が納得するとおっさんが笑って冗談を言うように返すので分身の俺も冗談を言うような軽いノリで返す。


「…クライン辺境伯様達はこちらに」

「おっと。では戻るとするか…この後の帰りに寄ろうとは思うが、大丈夫か?」

「はい。お二人ともお待ちしてます」

「では後で」


城の廊下を歩いていると兵士にバルコニーのような場所に案内され…


おっさんが指定された場所に戻ろうとして確認するので分身の俺が肯定して歓迎すると青年も自分の指定された場所に戻って行く。


「リデック、久しぶりね」

「いや一週間前に会ったでしょ」

「…重大な発表ってなんでしょう?」

「さあ?でも国内の有力貴族達がみんな集まるって噂があるぐらいだからね…」


テーブルを囲むような椅子に座っていた母親が分身の俺を見ると立ち上がって嬉しそうに言い…


分身の俺がツッコむように返すと妹が不思議そうに尋ね、弟は首を傾げながら『重大さ』を主張するかのように呟く。


「…あれ?そういや父さんは?」

「なんか仕事で忙しいみたいだから僕らが代理で参加する事になった。一応都合がついて間に合うようなら来るらしいけど」

「ふーん…城務めの文官はこんな時まで仕事を休めずに忙しいのか…大変だな」


分身の俺は椅子に座った後に周りを見て疑問に思いながら聞くと弟がそう答えるので、青年やおっさんへの対応と比較しながら皮肉や嫌味を込めながら呟いた。
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