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青年期 330

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「食らえ!」

「おっ…とぉ?」

「掴んだ!今だ!」


グリーズベアー姿の男が腕を振り、分身の俺が一歩下がって紙一重で避けるとワーウルフ姿の男に両足を掴まれた。


するとアルケニー姿の男が糸を吐いて分身の俺を拘束し…


「死ねぇ!」

「げっ!」


隊長っぽい男がミノタウロスに変身したと思えば両手を組んで振り上げ、ワーウルフ姿の男が直ぐにその場を離れると鉄槌のように分身の俺目掛けて両手を思いっきり振り下ろす。


「…あいったぁ~…やるねー、素晴らしい連携だ」


…ミノタウロスの力でモロに頭を殴られて地面が結構沈んで凹み、分身の俺は流石に結構痛かったのでリアクションを取りながら男達を褒める。


「「「「なっ…!!??」」」」

「上手く決まれば確かにほとんどの人は間違いなく死ぬね。まあ今回は相手が悪かったけど」


分身の俺の無傷の様子を見て驚愕する男達に分身の俺はフォーメーション4とやらに込められた意味が真実であった事を納得しながらも、残念ながら部位鍛錬で鍛えてる今の俺には効かない事を教えた。


「な、何者だ、貴様…ミノタウロスの一撃を喰らってなお生きているとは…!」

「これでも鍛えてるから。えいよ」

「ぐっ…!?」


ミノタウロス姿の男が恐れ慄いた様子で一歩下がって呟き、分身の俺は適当に返して近くにいたグリーズベアー姿の男の胴にダッシュからの右肘打ちを当てる。


「待て!」

「っ…!!」


前のめりになった隙に左手で顎にアッパーを喰らわそうとしたがミノタウロス姿の男が制止するので…


分身の俺が当たる寸前で止めるとグリーズベアー姿の男は尻餅を着いた。


「我々は直ぐにこの国から出て行く!だから見逃してくれ!」

「…本当に?」

「ああ!本当だ!今日中には準備を済ませて祖国へと帰還する!戦闘解除だ!今すぐに変化魔法を解け!」


抵抗の意思が無い事を示すために元の人間の姿に戻った隊長っぽい男が命乞いのような事を言い出し、分身の俺が確認すると肯定した後に部下達にも抵抗の意思が無い事を示させるための命令をする。


「「「はっ!」」」

「今すぐに撤去作業へと移れ!俺は他の者に戦闘停止命令を出しに行く」

「「「はっ!」」」

「あ、俺も行く」


男達が直ぐに元の人間の姿に戻り、隊長っぽい男の指示に返事して直ぐに三人とも離れて行くので分身の俺も分身の女性を止めるために隊長っぽい男に同行する事に。


「しかしミノタウロスに変身しても精神汚染が無いって事は自在に変身出来る感じ?」

「…いや、我々は精神汚染を抑える訓練をしているので精神力で抑えているだけだ。魔物化しないわけでは無い」

「へー。『精神汚染を抑える訓練』ねぇ…アレって抑えられるものなんだ」


分身の俺の気安く褒めるような問いに隊長っぽい男は否定した後に一応説明してくれ…


俺には関係の無い事とはいえ、初耳だったのでちょっと驚いて意外に思いながら返す。


「そちらはどうやってミノタウロスの渾身の一撃を耐えたのだ?衝撃を受け流してるようには思えなかった上にもし衝撃を受け流せたとしても致命傷は避けられないはずだが…」

「日頃の鍛錬のおかげ。他の人と違って俺は魔物の攻撃を受けて耐える鍛錬をしてるからね」

「…とても正気の沙汰とは思えないな…よくそれで今まで生きてこられたものだ…いや、耐えられたからこそ生き延びる事が出来ているのか…?」


隊長っぽい男が疑問を尋ねるので分身の俺が強化魔法を使っている前提ありきの嘘で答えると、隊長っぽい男はドン引きしながら逆説的な感じで呟いた。


「ウオォォ!!」

「…遠吠え?」

「…!まさか!」


分身の女性の所に近づくと狼の遠吠えの的な鳴き声が聞こえ、分身の俺が不思議に思って呟くと隊長っぽい男が慌てた様子で走り出す。


「チッ!なんだってんだいコイツは…!」

「魔物化だ!間違えてベオウルフに変身したんだ…!」


分身の俺と隊長っぽい男が着くと魔物…ベオウルフが分身の女性とワーウルフ姿の男と戦っていて…


「状況報告!」

「!?一名倒れ、一名魔物化、一時休戦、共闘中!」


隊長っぽい男の命令にワーウルフ姿の男は驚きながらも簡潔に現状を伝える。


「ベオウルフ…!扱い切れぬ魔物には変身するなと常日頃からあれほど言い聞かせていたというのに…!馬鹿者が!」

「…まだ間に合う。俺がこの場は収めるからあの一人を連れてみんな野営地まで引き上げて」

「『まだ間に合う』って?どういう意味だい?」

「急ぎ撤退する!回収せよ!」

「はっ!」


隊長っぽい男は魔物化した男を見て複数の感情が混じったように呟き…


分身の俺が指示を出すと分身の女性が不思議そうに疑問を尋ねるが隊長っぽい男が直ぐに命令を出し、ワーウルフ姿の男は倒れてる男の回収に向かう。


「グルル…!」

「くっ!」

「おっと。相手は俺だよ」

「グッ…!」


するとベオウルフがワーウルフ姿の男に襲いかかろうとするので分身の俺は横からベオウルフを蹴飛ばして間に入る。


「撤退します!」

「…よく分からないけど…邪魔にならないようあたしも戻った方が良さそうだ」


ワーウルフ姿の男は倒れた男を肩に担ぐと報告して直ぐに野営地に向かって走り、分身の女性も護衛をするかのように隊長っぽい男と共に後ろをついて行くように走って行く。


「…さて」

「ウオォォ!」


…人の目は無くなったが、念のため分身の俺は指でツボを突くような反撃をした後に変化魔法の究極技である『解除』で魔物化したベオウルフを元の人間に戻す事に。
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