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青年期 143

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…そんなこんな騎士の男と口喧嘩するようにやいのやいの言い争っていると…


大聖堂周辺を警戒警備にあたっていた騎士達だけではなく王都の治安維持部隊まで集まってくる。


「あんた達からも言ってやってくれよ!理由も無く急に立ち入り禁止はおかしいって!」

「いやぁ…騎士団が決めた事なので、俺ら下っ端にはちょっと…」

「そら見たことか!俺達が立ち入り禁止だと言ったら立ち入り禁止だと何度も言ってるだろ!」


俺は治安維持部隊の兵を巻き込みながら男を指差すも困ったように難しい顔で呟かれ、男が傲慢な態度で言い放つ。


「はっ、どうせ中で悪どい事でもしてるから入れられないんだろ」

「貴様…いい加減にしろ!これ以上は武力を持って排除するぞ!痛い目を見たくなければ大人しく帰れ!」


俺が鼻で笑って言いがかりをつけるように言うと男は怒ったように武力をちらつかせ、周りの騎士達が剣の柄に手をかけた。


「坊ちゃん…そろそろ…」

「チッ…しょうがない…」

「早く帰れ。コッチはお前らと違って忙しいんだ。無駄に騒ぎを起こして時間を取らせやがって…」


お姉さんの小声での合図に俺が舌打ちして引き下がるようなポーズを取りながら呟くと男も鬱陶しい感じの顔をしながら愚痴るように呟く。


「…誰が暇だって?」


俺は若干怒ったように返しながら依頼書を見せる。


「なんだ?…調査の依頼書だと…!?」

「そういうわけだ。みんな!行くぞ!」

「はい」

「「「おお!!」」」


俺が差し出した紙を見ると男が二度見するように紙を奪い取るので俺は団員達に号令をかけて強引に大聖堂の中へと進む。


「ちょ…ちょっと待て!お前ら待て!これ以上…!」


男は必死になって止めようとするが流石に1000人を超える集団をたった数十人で止められるわけもなく…


俺とお姉さんが大聖堂の扉の前に着くと団員達は予定通り大聖堂の建物を包囲し、逆に他の邪魔者達を入れないよう建物に背を向けて防衛陣形を取った。


「直ぐ戻って来るからそれまで頼んだぞ!」

「別に急がなくてもいいぞ」

「そうそう。ゆっくり見学していってよ」

「その代わり中で何があったか教えてよ!」


俺の任せるような指示に隊長達は余裕を見せて気遣うように返す。


「行きましょうか」

「ん」


お姉さんが促しながら扉を開けるので俺は返事をして大聖堂の中へと入る。


「…中は普通だね…儀式も何も行われてるようには思えないけど…」

「…そうですね」


中は誰も居らずシーンとしていてその静寂を不思議に思って周りを見渡しながら呟くとお姉さんも同意した。


「…ん?アッチのドアが開いてる…」

「ではあそこで儀式を?」


…奥の方に行くと右のドアが少し開いていて、逆の左のドアは閉まっていたのでとりあえず行ってみる事に。


「ん?お。お前らも来たのか」


小部屋のような場所に入ると刺客の男達が床の一部が剥がされた所から下に降りて行ったようで、残った最後の一人が声をかけてくる。


「地下?」

「ああ。びっくりだろ?俺達もさ。探すのに苦労したぜ…っと急がないと…!」


俺の驚きながらの問いに男が笑いながら同意するように返し、焦ったように階段を降りて行く。


「へー…俺らも行こうか」

「はい」


俺は地下へと続く石造りの階段を見て呟きながら儀式とやらを確かめるために男を追う。


「…うへー…大聖堂の地下がこんなゲームみたいになってたなんて…」

「うわー…!凄いですね!まるで地下遺跡ですよ…!」


階段を降りた先の結構広い空間に俺がまたしても驚きながら呟くとお姉さんも驚愕した様子で周りを見渡しながら呟いた。


…そのまま男達を追って先に進むと広い空間に出た…と思いきや、奥の方に真っ黒のローブを着けたいかにもな怪しい人達が集まっている。


「あれは…」

「儀式、ねぇ…」


奥の壁にはなんかよく分からない壁画みたいのがデカデカと書かれており、その手前には祭壇。


そして更にその手前には地面にこれまたデカデカと魔法陣のようなものが描かれていて、真ん中には鍵と呼ばれていた少女が横たわっていた。


…周りに蝋燭とかが立てられているのでいかにも魔女の儀式…といった風情である。


「チッ!間に合わなかったか!」

「ふはは!刮目せよ!これより大いなる力を手に入れるための儀式を行う」


その様子を見て刺客だった男の一人が舌打ちしながら言うと、調子に乗ってるのか悦に浸っているのか…


過激派であろう怪しい集団の内の一人が何故か魔法陣の真ん中の少女に近づき、親切にも合図するように教えてくれた。


「させるか!…っ…!?」


…今ならまだ間に合うと思ったのか男の一人が飛び出すも魔法陣の周りに結界だかバリアが張られ、弾き飛ばされる。


「馬鹿め、儀式はもう始まっているのだ。邪魔者は大人しくそこで見ているがよい」


黒いフードを目深に被った男はニヤリと笑ってそう告げると儀礼用っぽい豪華な見た目の短剣を取り出した。


「わはは!この供物を捧げて儀式は完了する!」

「「「「な…!?」」」」


黒いフードを目深に被った男が高笑いして説明するように言うと、取り出した短剣を少女の胸へと思いっきり突き刺す。
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