208 / 480
青年期 144
しおりを挟む
「…生贄は捧げた!この娘の心臓ならば対価としては十分なハズだ!さあ、来い!姿を現せ!」
奥に居る6人ぐらいの黒いローブをつけてフードを被った奴らがブツブツと詠唱し始めると魔法陣の中にいる男が両手を広げて叫ぶ。
「まずい!アイツの言う事が正しければ…!」
「もし少しでもズレていれば助かるかもしれん。が、この結界を壊さない事には…」
「早く回復薬を飲まさなければ手遅れになるやもしれません…!」
刺客だった男やおじさん達が少女を取り戻して治そうと結界に属性魔法で攻撃するが傷一つ付かずにびくともしない。
「…先生、距離が結構あるけどいける?」
「はい。あのぐらいであれば」
魔法で中を攻撃すればいいのに…と思いながら俺が少女に変化魔法の極技その2を使ってスライム化からの応急処置をし、お姉さんに確認すると肯定した後に詠唱を始める。
「…いやー、俺らがこの場に居た事がラッキーだったね」
「全くです」
お姉さんが回復魔法を使うのを見て俺がそう言うとお姉さんも笑いながら賛同した。
「…?なぜだ。なぜ姿を現さない?儀式は完璧だったはず!供物も用意した!なのに、なぜ…!?」
…少女の傷は治っても見た目は変わらず、刺された時に出た血はそのままなので…
刺客だった男達が頑張って結界を壊そうとしている中、魔法陣の真ん中に立っている男が急に焦り出す。
「はっ!残念だったな。『精霊王』ってのは結局神話や伝説の世界でしか存在しないって事だ」
現実には存在しないんだよ!と、精霊術師である青年が得意げに鼻で笑った後に現実を突きつけるように言う。
「「精霊王…?」」
その言葉を聞いた俺とお姉さんの不思議そうな呟きが被るも、反応は全然違う。
「そんな…そんなはずは無い!そうか!生贄に失敗したのだ!ならばもう一度…!」
男が横たわる少女の胸に短剣を突き立てると奥の人達がまたしても詠唱を始める。
「…おいおい…」
「完全に殺す気ですね…」
どう見ても即死にしか見えないような短剣の刺さり方に俺が呆れながら呟いて変化魔法の極技その2で止血させるとお姉さんは微妙な顔で呟く。
「「「ぐっ…!」」」
すると奥の人達が一斉にふらついて地面に膝を着き始め、魔法陣が光り出した。
「おお…!」
「「「なっ…!?」」」
「…マジか…」
「まさか…!」
『…我に何用だ。愚かな人間共よ』
…俺以外の、お姉さんを含めた人達が驚愕する中で俺も少し驚きながら呟くと魔法陣から精霊王が現れる。
「アレが…!?」
「実在、したのか…!」
「なんだアイツは…!」
「は、ははは!ははははは!精霊王よ!私に力を!契約だ!世界を支配する力を手に入れられるのならば対価はなんでも用意しよう!」
俺も含めたみんなが困惑しながら精霊王を見ていると男が笑いながら取引を持ちかけた。
『ほお…なんでも、と?』
「ああ、そうだ!1000人分の魔力か?2000人分の魔力か?いくらでも用意しようではないか!」
精霊王の意外そうな呟きでの確認に男は肯定しながら確認し返す。
『ふぅむ…ではそうだな…一万だ』
「一万?」
『そうだ。貴様らのような塵ごとき質ではない、最低限そこの契約主のようなゴミの中でも多少マシな質を持つ人間を一万集めよ。明日までにだ』
精霊王は最初に数を言うと俺を指差して対価の内容を説明する。
『明日の昼までは待ってやろう、話はそれからだ』
「おいおい、なんか俺ん時と対応違うくねぇか?なんで今回はそんなに寛容なんだよ」
「…え…?」
「「「「…は?」」」」
『最低限の手順すらも踏まぬ愚か者が良く言えたものよ…貴様のその無知さ加減にはもはや怒りや殺意を通り越して哀れみすら覚えるわ…』
精霊王の対応の仕方に俺が文句を言うとお姉さんや刺客の男達が理解出来ないような顔で俺を見ながら呟き、精霊王は呆れながら諦めたような感じで呟いた。
「じゃあなにか?俺もこんな感じで儀式でもすれば出会い頭に上半身を消し飛ばされずに済んだと?」
『…最低限の知識すらもない貴様には我と話す資格すら無い。控えろ』
「ああ?調子に乗りやがって…」
「き、貴様ら何をごちゃごちゃ抜かしておる!」
俺が確認するも精霊王は侮蔑の目を向けながら偉そうに言うので、流石の俺も堪忍袋の緒が切れそうになって一歩近づくと男が間に入って来る。
「うるせえ。てめえには関係のねぇ事だから引っ込んでろ」
「貴様誰に向かってそんな口を…!」
『やめておけ。塵芥のごときゴミではアレは倒せん』
俺の暴言に男が怒りながら近づこうとすると意外にも精霊王が止めた。
「ご、ご…ゴミだと!?」
『アレもゴミみたいな質とカスみたいな量の魔力だが腐っても我の今の契約主だ。掃いて捨てるほどいるそこらの塵芥程度では相手になるまい』
「…今の坊ちゃんでも平均の5倍はあるのに…それでもカス扱いって…」
「…確か昔に契約してたのは今の俺の200倍以上あったんだって」
「に、200倍…!?」
男が精霊王に怒りを向けるも精霊王はそれに全く気付かずに止めた理由を話し、お姉さんの微妙な顔での呟きに俺がそう返すとやっぱり驚愕する。
奥に居る6人ぐらいの黒いローブをつけてフードを被った奴らがブツブツと詠唱し始めると魔法陣の中にいる男が両手を広げて叫ぶ。
「まずい!アイツの言う事が正しければ…!」
「もし少しでもズレていれば助かるかもしれん。が、この結界を壊さない事には…」
「早く回復薬を飲まさなければ手遅れになるやもしれません…!」
刺客だった男やおじさん達が少女を取り戻して治そうと結界に属性魔法で攻撃するが傷一つ付かずにびくともしない。
「…先生、距離が結構あるけどいける?」
「はい。あのぐらいであれば」
魔法で中を攻撃すればいいのに…と思いながら俺が少女に変化魔法の極技その2を使ってスライム化からの応急処置をし、お姉さんに確認すると肯定した後に詠唱を始める。
「…いやー、俺らがこの場に居た事がラッキーだったね」
「全くです」
お姉さんが回復魔法を使うのを見て俺がそう言うとお姉さんも笑いながら賛同した。
「…?なぜだ。なぜ姿を現さない?儀式は完璧だったはず!供物も用意した!なのに、なぜ…!?」
…少女の傷は治っても見た目は変わらず、刺された時に出た血はそのままなので…
刺客だった男達が頑張って結界を壊そうとしている中、魔法陣の真ん中に立っている男が急に焦り出す。
「はっ!残念だったな。『精霊王』ってのは結局神話や伝説の世界でしか存在しないって事だ」
現実には存在しないんだよ!と、精霊術師である青年が得意げに鼻で笑った後に現実を突きつけるように言う。
「「精霊王…?」」
その言葉を聞いた俺とお姉さんの不思議そうな呟きが被るも、反応は全然違う。
「そんな…そんなはずは無い!そうか!生贄に失敗したのだ!ならばもう一度…!」
男が横たわる少女の胸に短剣を突き立てると奥の人達がまたしても詠唱を始める。
「…おいおい…」
「完全に殺す気ですね…」
どう見ても即死にしか見えないような短剣の刺さり方に俺が呆れながら呟いて変化魔法の極技その2で止血させるとお姉さんは微妙な顔で呟く。
「「「ぐっ…!」」」
すると奥の人達が一斉にふらついて地面に膝を着き始め、魔法陣が光り出した。
「おお…!」
「「「なっ…!?」」」
「…マジか…」
「まさか…!」
『…我に何用だ。愚かな人間共よ』
…俺以外の、お姉さんを含めた人達が驚愕する中で俺も少し驚きながら呟くと魔法陣から精霊王が現れる。
「アレが…!?」
「実在、したのか…!」
「なんだアイツは…!」
「は、ははは!ははははは!精霊王よ!私に力を!契約だ!世界を支配する力を手に入れられるのならば対価はなんでも用意しよう!」
俺も含めたみんなが困惑しながら精霊王を見ていると男が笑いながら取引を持ちかけた。
『ほお…なんでも、と?』
「ああ、そうだ!1000人分の魔力か?2000人分の魔力か?いくらでも用意しようではないか!」
精霊王の意外そうな呟きでの確認に男は肯定しながら確認し返す。
『ふぅむ…ではそうだな…一万だ』
「一万?」
『そうだ。貴様らのような塵ごとき質ではない、最低限そこの契約主のようなゴミの中でも多少マシな質を持つ人間を一万集めよ。明日までにだ』
精霊王は最初に数を言うと俺を指差して対価の内容を説明する。
『明日の昼までは待ってやろう、話はそれからだ』
「おいおい、なんか俺ん時と対応違うくねぇか?なんで今回はそんなに寛容なんだよ」
「…え…?」
「「「「…は?」」」」
『最低限の手順すらも踏まぬ愚か者が良く言えたものよ…貴様のその無知さ加減にはもはや怒りや殺意を通り越して哀れみすら覚えるわ…』
精霊王の対応の仕方に俺が文句を言うとお姉さんや刺客の男達が理解出来ないような顔で俺を見ながら呟き、精霊王は呆れながら諦めたような感じで呟いた。
「じゃあなにか?俺もこんな感じで儀式でもすれば出会い頭に上半身を消し飛ばされずに済んだと?」
『…最低限の知識すらもない貴様には我と話す資格すら無い。控えろ』
「ああ?調子に乗りやがって…」
「き、貴様ら何をごちゃごちゃ抜かしておる!」
俺が確認するも精霊王は侮蔑の目を向けながら偉そうに言うので、流石の俺も堪忍袋の緒が切れそうになって一歩近づくと男が間に入って来る。
「うるせえ。てめえには関係のねぇ事だから引っ込んでろ」
「貴様誰に向かってそんな口を…!」
『やめておけ。塵芥のごときゴミではアレは倒せん』
俺の暴言に男が怒りながら近づこうとすると意外にも精霊王が止めた。
「ご、ご…ゴミだと!?」
『アレもゴミみたいな質とカスみたいな量の魔力だが腐っても我の今の契約主だ。掃いて捨てるほどいるそこらの塵芥程度では相手になるまい』
「…今の坊ちゃんでも平均の5倍はあるのに…それでもカス扱いって…」
「…確か昔に契約してたのは今の俺の200倍以上あったんだって」
「に、200倍…!?」
男が精霊王に怒りを向けるも精霊王はそれに全く気付かずに止めた理由を話し、お姉さんの微妙な顔での呟きに俺がそう返すとやっぱり驚愕する。
32
お気に入りに追加
1,029
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
外れスキル【転送】が最強だった件
名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。
意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。
失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。
そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる
名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。
冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。
味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。
死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる