子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
180 / 480

青年期 116

しおりを挟む
「では報酬を」

「はっ!こちらです」

「え?報酬は多分お嬢さんからもう貰ってるかと思うんですけど…」

「追加報酬だ。王都への移動中に襲撃された娘の救出と王都滞在中の護衛、そしてココまでの護衛と大変助けられた礼として受け取ってくれ」


おじさんは近くに居た兵士に指示を出すと兵士が返事をして袋を差し出してきて、俺が拒否るように言うと理由を説明してくる。


「はあ…ではありがたく」

「ラスタから来た傭兵団については聞いていたが…腕の立つ者達の集まりだそうじゃないか」

「ありがとうございます」


俺が微妙な顔で袋を受け取るとおじさんは猟兵隊を評価するように褒め、とりあえず俺はお礼を言う。


「その団長ともなれば相当できるのだろう…どうだ?私と手合わせをしてみないか?」

「手合わせ…ですか?」

「私に勝てば賞金をやろう」

「…いえ、やめておきます。流石に怪我をさせて今後に支障が出てしまうと困るので…」


おじさんの提案に俺は少し考えて断った。


「ふっ…そうか。だが無理強いはできんからな、残念だ」

「申し訳ございません」

「いや、謝る必要は無い。…が、申し訳ないと思うのならこちらの頼みを聞いて貰えないだろうか?」


おじさんは残念そうに受け入れ、俺が謝ると謝罪を拒否した後に付け入るように確認してくる。


「なんでしょう?」

「私の愚息である嫡男を叩きのめして欲しい。この領内では私を除いて自分に勝てる者は居ないから、と最近では訓練すらまともに受けなくなってしまっている」


頼む。と、おじさんは頭を下げてお願いしてきた。


「構わないですが…大丈夫ですか?」

「ああ、遠慮はいらない。世の中上には上がいる…と言う事を骨身に沁みさせてくれ」

「…分かりました」


俺の確認におじさんが肯定するので俺は本当に大丈夫か?と思いながら了承する事に。


「息子を訓練場へと呼んでくれ」

「はっ!」

「では、訓練場へと案内しよう」

「お願いします」


おじさんは兵士に指示を出した後にそう言って部屋から出て行くので俺も後からついて行くように部屋を出る。


「…ココが屋内訓練場だ」

「おおー…中々広い場所だ…」


宮殿の端っこにある学校の体育館のような広い空間のある建物に案内され、俺は中を見て意外に思いながら呟く。


「…なんだよ親父、こんなトコに呼び出して…また修行にかこつけて息子に暴力を振るう気か?」


5分ぐらいすると青年が兵士と一緒にやって来て気怠そうに嫌味や皮肉を言う。


「いや、お前には今からこの人と戦ってもらう」

「…はあ?なんだソイツ?親父正気か?」


おじさんの俺を紹介するような返答に青年は驚いて馬鹿にするように確認した。


「この人に勝てたら次はヘレネー殿とだ。その二人に勝てたらもう何も言わん。お前の好きにしろ」

「本当だな?親父。ソイツとあと一人のヤツに勝てればもううるさい小言とかは無しだぞ?」

「ああ。二言は無い」


おじさんが俺が負けた時の保険的な事を言って投げやりな感じになると青年の表情が変わって確認し、おじさんは肯定しながら頷く。


「じゃあやってやるよ。…その前にお前誰だ?どこから来た?」

「これでもラスタの傭兵団『猟兵隊』の団長でございます。以後お見知り置きを」

「ラスタだぁ?敵国のヤツじゃねえか!親父何考えてんだよ!」


青年はニヤリと笑って了承すると不思議そうに聞いてくるので俺が軽く自己紹介をすると、青年は怪訝そうな顔で俺を指差しながらおじさんに意図を尋ねる。


「世の中にはお前より強い人間がごまんと居る。そういった強者達に打ち勝ち、領民や国民を守らねばならぬというのに最近のお前にはその気概が感じられん」

「はっ、説教はよしてくれ。それにこんな奴が強者だって?この程度なら何人居ようが負ける気がしねぇけどな」


おじさんの説教を流すように青年は飽き飽きした様子で返し、俺を見た目で判断して舐めるように言う。


「…だがまあ、ラスタのレベルを図るのには丁度いいかもな…」

「お手柔らかにお願いします」


青年は頭を掻いて呟くと腰に差してた剣を抜いて構え、俺は煽るように余裕の態度で告げた。


「おい、お前は武器を構えねぇのか?」

「必要とあらば構えますが?」

「はっ!構えなくていい!そのまま速攻で終わらせる!」


青年の問いかけに俺が聞き返すように言うと青年は鼻で笑って素早く距離を詰めてくる。


「…がっ!?」


…俺は袈裟斬りに振り下ろされた剣の腹を手の甲でいなして軌道をズラし…


青年の懐に入って服を掴んで脚を払うと一本背負いの形で床に背中を叩きつけた。


そしてそのまま馬乗りになって青年の首を絞める。


「か…っ!!」

「おっと…落ちたか」


青年はなんとか抵抗しようと剣を振ろうとするが手を上げた瞬間に気絶したようで俺は首から手を離して立ち上がる。


「…素晴らしい…!なんと無駄の無い動きだ…!」

「ありがとうございます」

「…これで目を覚ましてくれるといいのだが…」

「…そうですね」


おじさんの驚きながらの感嘆したような呟きに俺がお礼を言うとおじさんはため息を吐きながら呟き、俺は青年の言動を思い出しながら微妙な顔で返した。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...