子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 56

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…そして一週間後。


「団長。珍しい依頼が来てるぞ」

「珍しい依頼?」

「ドードルからだ」

「…ホントだ」


事務を兼任してる団員が自室に来ると依頼書を渡してきたので俺は軽く驚きながら内容を確認する。


「雇用条件や報酬ははっきり言ってかなり破格だ。受けない手はないと思うが…」

「…確かに。…よく考えたら他国の内戦なら別に参加しても問題無いな」


団員の促すような…勧めるような発言に俺は肯定しながら前向きに捉えた。


「でもなんでドードルから?いくら内戦で厳しいからって今も敵対してる国の傭兵を雇おうとするか?普通」

「まあそれだけ切羽詰まってるって事だろう。じゃないとこんな良い条件を提示しないんじゃないか?」


俺が疑問に思いながら聞くと団員は安易な予想で楽観的に返す。


「…罠の可能性もあるが…それもまた経験、か…よし。受けよう」

「お!流石団長。そうこなくっちゃ!」


いざと言う時のために他の団員達にも経験を積ます事を考えながら了承すると目の前の団員が喜ぶ。


「今回は他所の国に行くから今までと違って危険度はかなり高いだろうね。だからソコをちゃんと説明して希望者だけで行動する」

「了解。みんなにはそう伝えておく」

「一応隊長達にも集合をかけて。いつもと違うから不測の事態に備えとかないと」

「了解」


俺が指示を出すと団員は敬礼して部屋から出て行った。


それから一時間もしない内にお姉さんを含めた各部隊の隊長である知り合いのハンター達が俺の部屋に集合する。


「…みんなお疲れ。先に来た人は知ってると思うけどドードルから依頼が来た」

「ドードルから?」

「珍しいな…」

「報酬とか条件がかなり良くてね。受ける事にした」


俺が労いの言葉をかけて本題を切り出すと今さっき入って来た隊長二人が不思議そうな反応をするので俺は依頼書を渡しながら話す。


「…ほう。確かに高い報酬だけではなく滞在時の全面支援という条件は破格の待遇だ」

「でもこうも手厚いと逆に裏を疑っちゃうよね、罠とか」

「うむ…」

「そうだな」

「その通りだ」


隊長の一人が依頼書を読んで驚きながら言うと別の隊長が警戒するように返し、他の隊長達も同意した。


「そう。俺も敵の罠を警戒してみんなを呼んだ。経験は大事だからね…もしコレが本当に罠だった場合、次からはみんなで対策と対処を取れるようになってもらいたい」


なんせこれからの傭兵団の存続に関わる事だし…と、俺は隊長達を招集した理由を告げる。


「…『みんなで』というのは坊ちゃんが不在時の事を見据えて…ですか?」

「そうだね。常に俺がいるとは限らないわけじゃん?敵の策で分断されるかもしれないし、もしかしたら分担で行動してる時にソレを見計らって敵が罠を仕掛ける可能性だってある」

「それもそうだ」

「そうだな」

「うん」


お姉さんの確認に俺が肯定しながらこれから起こりうる中で可能性の高い状況を説明したら隊長達も賛同した。


「正直言って軍師なんてのが出て来られたら俺なんかじゃ策や作戦では太刀打ちできない。でも武力をもってすれば破れるからボロ負けする可能性は限りなく低いと思ってる」

「ですね。せいぜい半壊ぐらいで抑えられるかもしれません」


俺が悲観的なのか楽観的なのかちょっと困る事実を言うとお姉さんが賛同して少し分かりやすく言い直してくれる。


「まあ最悪俺一人だと力業でどうとでも出来るんだけど…ソレじゃ『傭兵団』の意味無いし」

「うむ。一人で出来る事など限られているからな」

「だから、みんなで協力して『生き延びる負け方』という賢い方法を取れるようになって欲しい。戦争ってのは『一戦が全て』じゃないからね」

「つまり継戦を優先して引き際を見極めろ…という事か」

「『戦略的撤退』ってやつだろうね。一回負けてもその次、重要な場面で勝てば戦況を簡単にひっくり返せるわけだし」

「どうせ負けるのなら無駄に抵抗せず損害、消耗を最小限に抑えてさっさと逃げるのが一番って事だな」


隊長達は俺の発言の意図をしっかり理解してくれたらしく、納得したように話し合う。


「…と言ってもあくまで今回の件が罠だった場合、が前提の話ですよね?普通にただの依頼の可能性もあるのでは?」

「うん。万が一の最悪の事態に備えて保険を用意しておく…ってだけで、何も無ければソレが一番だよ」

「なるほど。確かに保険があるのと無いのとでは天と地ほどの差がありますからね」


お姉さんの確認に俺がそう話すと納得したように返した。
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