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青年期 55
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…それから三日後。
傭兵団のみんなが騎兵の訓練をしている様子を見ていた分身の俺に衝撃の報せが届いた。
なんと!敵軍がいきなり全軍撤退した、との事。
その理由は定かではないが『馬が奪われて騎兵の数が減ったから撤退した』という噂も…
…まあなんにせよ防衛戦が終わって依頼が完了した、という事で…
分身の俺はとりあえず傭兵団に宿営地を撤収させて拠点に戻るよう指示を出した。
「…やけに早く終わりましたね」
「…そうだね」
分身が解除された事で国境での出来事を知ったのかお姉さんが意外そうに言い、俺も少し考えながら同意する。
「撤退した振りをしての不意打ちとかじゃなければいいんだけど…いや、流石に無理か」
俺は敵の考えを予想して警戒しつつも効率や成功率がかなり低い事から警戒を解く。
「とりあえずみんな帰って来たら当面は騎兵の訓練をさせようか」
「そうですね。でも1000頭近くの馬を収容させるなら新しく土地を増やした方が良いかと思いますが…」
「あー…新しく施設を建てる時とかに邪魔になるかな…?じゃあ牧場を隣に作ろう」
「分かりました」
俺が予定を立てるとお姉さんが賛同しつつ提案し、俺は少し考えて賛同して王都へとまた土地を買いに行く事に。
…そして大工達に仕事をお願いして柵を設置させる事、更に三日後。
ようやく傭兵団のみんなが帰還してきた。
「お帰りー」
「…相変わらず早いな」
「まあね。拠点の隣に新しく土地を買って牧場を作らせてるから馬はそこで世話しようか」
俺の出迎えに隊長の一人が驚きながらも慣れたように言うので俺は相槌を打って案内しながら指示を出す。
「…隣?拠点内でも十分なスペースがあるのでは?」
「約15ヘクタールもの敷地があれば余裕だと思うが…」
「将来色んな建物を増やすかもしれないじゃん?その時のためにとっておこうかと思って」
「なるほど…」
「確かに…」
二人の隊長が不思議そうに尋ねるので俺が理由を話すと納得する。
「しばらくの間は牧場作りの手伝いと騎兵の訓練をお願い」
「分かった」
「了解だ」
「…馬から降りて戦う状況も想定して訓練せねば…」
「うむ。常に乗馬したまま戦える状況を維持出来るワケもあるまい」
「時には歩兵戦術の方が有効になる事もあるだろう」
移動中に俺が今後の事について指示を出すと隊長達は了承した後に訓練の内容について話し始めた。
その二日後。
「…団長、若とお嬢が来てますよ」
「ホント?」
本部の自室で二つの領地に関する報告書を読んでいるとドアがノックされ、団員の一人が報告してくる。
「兄さん、近くに新しく牧場みたいなのが出来た?」
「お兄様。また国境付近に攻めて来た敵を追い返したそうですね」
すると直ぐに弟と妹が部屋の中に入って来た。
「では俺はコレで」
「ご苦労様」「ご苦労さん」
「感謝しますわ」
団員は案内が終わったのか挨拶してドアを閉めようとするので俺らは労いの言葉を返す。
「久しぶりだな。二週間振りか?」
「ええ。帰りはお兄様が送ってくれるので週末は気軽に来れるようになりました」
書類をテーブルに置いての俺の挨拶に二人はツッコまず、妹が笑顔でいつものように送迎を強要してくる。
「気軽に、って言っても来るのに時間かかるんじゃないか?」
「まあ…そこはしょうがないよ。兄さんに迎えに来てもらうわけにもいかないし」
「馬車の中でも勉強は出来ますもの」
俺が移動時間の大変さを尋ねると弟は微妙な感じで笑いながら諦めるように言い、妹は時間の活用法を話す。
「そんな事より…今回の噂はなんか凄い事になってたけど…アレってどこまでが本当なの?」
「だから、俺は噂の内容については何も知らねーんだって…普通に聞けよ」
「『敵軍であるソバルツの馬を根こそぎ奪って撤退させた』と聞きましたけど、実際の所はどうでしたの?」
弟の遠回りの確認に俺はため息を吐きながら返すと妹が率直に聞いてきた。
「ああ、ソレは半分嘘。馬を奪ったのは本当だけど、せいぜい半分か1/3ぐらいだし」
「…半分も奪ったんだ…」
「じゃあやっぱり『一万頭の馬』というのは尾ひれだったんですね」
「一万って…まあやろうと思えば出来る数なだけに尾ひれとは言いがたい微妙な数だな…まあ今回は4000頭ぐらいしか奪ってないけど」
俺が事実を話すと妹が確認するように言うので俺は微妙な顔をしながら答える。
「…よ、よくそんな数の馬を奪えたね」
「初見はしょうがないにしても二回目の時の相手がアホでな。味方が一回突っ込んで失敗してんのにもう一度同じ事を繰り返すわけよ」
「いや、普通信じないでしょ。多分兄さん以外に出来る人がいるか分からないんだからそんな報告受けても嘘だと思って笑うよ、普通は」
俺の呆れたような説明に弟は何故か敵兵達の判断を庇うように返した。
傭兵団のみんなが騎兵の訓練をしている様子を見ていた分身の俺に衝撃の報せが届いた。
なんと!敵軍がいきなり全軍撤退した、との事。
その理由は定かではないが『馬が奪われて騎兵の数が減ったから撤退した』という噂も…
…まあなんにせよ防衛戦が終わって依頼が完了した、という事で…
分身の俺はとりあえず傭兵団に宿営地を撤収させて拠点に戻るよう指示を出した。
「…やけに早く終わりましたね」
「…そうだね」
分身が解除された事で国境での出来事を知ったのかお姉さんが意外そうに言い、俺も少し考えながら同意する。
「撤退した振りをしての不意打ちとかじゃなければいいんだけど…いや、流石に無理か」
俺は敵の考えを予想して警戒しつつも効率や成功率がかなり低い事から警戒を解く。
「とりあえずみんな帰って来たら当面は騎兵の訓練をさせようか」
「そうですね。でも1000頭近くの馬を収容させるなら新しく土地を増やした方が良いかと思いますが…」
「あー…新しく施設を建てる時とかに邪魔になるかな…?じゃあ牧場を隣に作ろう」
「分かりました」
俺が予定を立てるとお姉さんが賛同しつつ提案し、俺は少し考えて賛同して王都へとまた土地を買いに行く事に。
…そして大工達に仕事をお願いして柵を設置させる事、更に三日後。
ようやく傭兵団のみんなが帰還してきた。
「お帰りー」
「…相変わらず早いな」
「まあね。拠点の隣に新しく土地を買って牧場を作らせてるから馬はそこで世話しようか」
俺の出迎えに隊長の一人が驚きながらも慣れたように言うので俺は相槌を打って案内しながら指示を出す。
「…隣?拠点内でも十分なスペースがあるのでは?」
「約15ヘクタールもの敷地があれば余裕だと思うが…」
「将来色んな建物を増やすかもしれないじゃん?その時のためにとっておこうかと思って」
「なるほど…」
「確かに…」
二人の隊長が不思議そうに尋ねるので俺が理由を話すと納得する。
「しばらくの間は牧場作りの手伝いと騎兵の訓練をお願い」
「分かった」
「了解だ」
「…馬から降りて戦う状況も想定して訓練せねば…」
「うむ。常に乗馬したまま戦える状況を維持出来るワケもあるまい」
「時には歩兵戦術の方が有効になる事もあるだろう」
移動中に俺が今後の事について指示を出すと隊長達は了承した後に訓練の内容について話し始めた。
その二日後。
「…団長、若とお嬢が来てますよ」
「ホント?」
本部の自室で二つの領地に関する報告書を読んでいるとドアがノックされ、団員の一人が報告してくる。
「兄さん、近くに新しく牧場みたいなのが出来た?」
「お兄様。また国境付近に攻めて来た敵を追い返したそうですね」
すると直ぐに弟と妹が部屋の中に入って来た。
「では俺はコレで」
「ご苦労様」「ご苦労さん」
「感謝しますわ」
団員は案内が終わったのか挨拶してドアを閉めようとするので俺らは労いの言葉を返す。
「久しぶりだな。二週間振りか?」
「ええ。帰りはお兄様が送ってくれるので週末は気軽に来れるようになりました」
書類をテーブルに置いての俺の挨拶に二人はツッコまず、妹が笑顔でいつものように送迎を強要してくる。
「気軽に、って言っても来るのに時間かかるんじゃないか?」
「まあ…そこはしょうがないよ。兄さんに迎えに来てもらうわけにもいかないし」
「馬車の中でも勉強は出来ますもの」
俺が移動時間の大変さを尋ねると弟は微妙な感じで笑いながら諦めるように言い、妹は時間の活用法を話す。
「そんな事より…今回の噂はなんか凄い事になってたけど…アレってどこまでが本当なの?」
「だから、俺は噂の内容については何も知らねーんだって…普通に聞けよ」
「『敵軍であるソバルツの馬を根こそぎ奪って撤退させた』と聞きましたけど、実際の所はどうでしたの?」
弟の遠回りの確認に俺はため息を吐きながら返すと妹が率直に聞いてきた。
「ああ、ソレは半分嘘。馬を奪ったのは本当だけど、せいぜい半分か1/3ぐらいだし」
「…半分も奪ったんだ…」
「じゃあやっぱり『一万頭の馬』というのは尾ひれだったんですね」
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俺が事実を話すと妹が確認するように言うので俺は微妙な顔をしながら答える。
「…よ、よくそんな数の馬を奪えたね」
「初見はしょうがないにしても二回目の時の相手がアホでな。味方が一回突っ込んで失敗してんのにもう一度同じ事を繰り返すわけよ」
「いや、普通信じないでしょ。多分兄さん以外に出来る人がいるか分からないんだからそんな報告受けても嘘だと思って笑うよ、普通は」
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