子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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少年期 8

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「…素手では無理だな」


俺は冷静に状況判断をしながら右手を部分変化でゴブリンの手に変化させる。


「ガア!」

「そこだ!」


そしてグリーズベアーの攻撃を避けて懐に入り…もう一度貫手で心臓を狙う。


「くっ…!パワーが足りない…!」

「グア!」


毛皮を貫く事には成功したが今度は筋肉や脂肪に阻まれてしまったので、直ぐに離脱しようとするもグリーズベアーの攻撃が思ったよりも早く…


「チッ…!」


俺は左腕でガードして吹き飛ばされるように距離を取った。


「坊ちゃん!もういいです!もう十分です!逃げましょう!!」


…そのせいで左腕に結構な深手を負ったが部位鍛錬のおかげで骨が見えるまではイってないので、さっきと同じくスライム化して見た目を戻すとお姉さんが逃走を促しながら叫ぶ。


「次で最後だ」


これが通じなければ逃げるしかない…と、俺は右手を部分変化させたまま足をダチョウの足に変化させる。


「おお!こりゃいい!」

「ガ…ガア…!」


あまりのフットワークの軽さに俺は反復横飛びのようにグリーズベアーの周りをステップを刻みながら回って撹乱した。


「そこだ!」

「ガッ…!!」


そして隙を見て三度懐に飛び込み…震脚のように地面に足を打ち付けて身体を捻りながらグリーズベアーの心臓めがけて貫手を突っ込む。


「ふふん…流石にコレは耐えきれまい」


今度はちゃんと貫手が心臓まで達したので俺は得意げに笑いながらそのまま心臓を掴んで抜き取る。


「カッ…!」

「す、すごい…!!やりましたね坊ちゃん!すごい!凄いですよ!ホントに凄い!」

「いっ…」


グリーズベアーが倒れるとお姉さんが興奮して喜びながら俺に飛びつくように抱きついてきて、俺は女性に抱きつかれる喜びよりも痛みが勝ったので堪えるように呟く。


「流石ですね坊ちゃま。部分変化の併行使用とは…感心いたしました」

「まさかその歳であのグリーズベアーを倒すとは…日頃の修行の賜物ですな。天晴れです」

「坊ちゃんよく頑張りましたね!そして…!」


おじさんと男も近づいてきて褒めるとお姉さんも褒めながら回復魔法を使ってくれ…俺が持ってる魔石を凝視した。


「ふおぉ…!コレがグリーズベアーの魔石…!」

「はい」

「ありがとうございます!大きい!さっきのダチョーの魔石より大きいです!」


お姉さんは俺が持ってる五角形の魔石から目を離さないので渡すと両手で受け取って掲げるように見る。


「毛皮や爪、牙に生肉も落ちていますな」

「どうやら核となる魔石を抜くと全ての素材が残るようだ…あまり意味の無い情報だがな」


おじさんが生肉を拾って水で洗い、容器に入れて回収すると男は予想しながらニヒルな笑いを浮かべて他の素材を拾っていく。


「他にもグリーズベアーは居ないですかね?今の坊ちゃんなら魔石取り放題…うふふ…!」


…戦う前や戦ってる最中はあんなに心配してくれていたのに、俺がいざ勝つとお姉さんは取らぬ狸の皮算用をしながら笑う。


「流石にもうこの階層にはいないでしょう。そもそも何故この階層に居たのか…」

「もしかしてダチョーを追いかけて来た…とかですかね?」


おじさんが否定的に返しながら考えるように呟くとお姉さんは予想を聞いた。


「ふむ…その可能性はありますね。なんにせよ他にハンターやシーカーが居なかったのは幸いです。犠牲者が出ずに済んだのですから」

「他のハンター達は避けて行ったのかもしれないな。わざわざ挑む馬鹿は…いや、失礼」


おじさんの発言に男が予想で返しながら俺を見て前言撤回するように謝る。


「坊ちゃま、コレを」

「ありがとうございます。…あ、うまい…」


おじさんが熊の生肉をナイフで切り取るとピンセットで一口分渡してくるので、お礼を言いながら受け取って食べると…


肉の甘く濃厚な味わいに、まるでグミのような…ソフトキャンディーのような柔らかさで直ぐに口の中から無くなった。


「グリーズベアーの肉は最高級の肉質なので高級店でしか扱っていません。それも入手自体が非常に困難なので、提供も大体半年に一回ほど…その度に貴族達で争奪戦が繰り広げられるほどです」


まず一般人では口に出来ませんよ。と、おじさんは肉の希少性を説明してくる。


「うむ…俺にも一口くれないか?」

「…どうぞ」

「私にも!」


男がお願いするとおじさんは生肉を一口サイズに切り取って渡し、それを見たお姉さんも欲しがった。
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