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第12章体育会は羨望の的だけど
No,135 妄想結婚式②
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【これは大学4年のお話】
ひと寝して午後いち、ナッキーから電話があった。
以下、全て電話での会話である。
夏=ナッキー
理=理久
夏「とにかく兄ちゃんが、波奈さんを紹介しろってうるさいんだ。何とかならない?」
理「あのさ、いきなり波奈を紹介しろって、それ順番おかしくない?波奈の前に俺を紹介だろ?」
夏「え?そんな事こだわる?」
理「ナッキーの友達は俺で、その俺の姉が波奈だ。まず俺と兄ちゃんが親しくなって、それから俺が兄ちゃんに波奈を紹介するってえのが本当だろうが」
夏「ああっ!やっぱりうちの兄ちゃんを狙ってるな!兄ちゃんのあのボケ~ッとしたゆるい感じ、いかにも理久が好きそうだもんね!」
理「げっ!バレバレか?」
夏「残念ながらうちの兄ちゃん根っからのノンケだから、いくら理久がバッサバッサやっても、どうした?目にゴミが入ったのか?って言われちゃうだけだよ!」
理「だよな、兄ちゃん、波奈を見て顔を真っ赤にしていたもんな」
夏「そうだよ、だから紹介しろって……」
理「おい待て!今気付いた!もしも……もしもの話だよ?波奈と兄ちゃんが付き合って結婚したら、どうなる?」
夏「え?結婚?あ、そうなったら、波奈さんはオレの義姉?」
理「そして兄ちゃんは俺の義兄!」
夏「………そ、そうなるとオレと理久は、え?義兄弟?」
理「おいナッキー、また顔赤くしてるだろう。電話でも分かるぞ」
夏「そんなこと無いけど……え、そしたら理久はオレの兄貴?」
理「まあ、そう言う事になるんだろうか?」
夏「なるよきっと!何だか分かんないけど、他人ではないよ」
理「そうか!俺達二人、晴れて互いの家族も認める正式な兄弟になれるのか!」
夏「それってもしかして、兄ちゃんと波奈さんが結婚式を挙げたら、オレ達なんかでも家族や親戚や知人や友達や、みんなに(ついでに)祝福されて、正式な兄弟になれるって事なの?」
(注、付き合ってはいない。二人はあくまでも親友)
理「そうだよ!それって事実上、俺達の結婚式みたいなもんだよ!」
(注、だから付き合ってはいない)
夏「え、理久とオレの結婚式?!」
理「わ!どうしょう?俺、宝塚みたいな黒燕尾服が着てみたい!胸にはでっかいカトレアのコサージュ飾って!あんなの結婚式じゃなきゃ着れないもん!ナッキーは?」
夏「あ、あのね、オレは白いやつ!ほら、あの胸元にヒラヒラって白いフリフのはみ出た、ネクタイじゃなくてブローチの付いたリボンのやつ~ぅ」
理「白タキシードか!ナッキーが着たら王子様じゃないか!」
夏「そしたら二人で写真を撮ろう!チャペルの前で!」
(注、決してこいつらの結婚式ではないから)
理「なあなあ!旅行はどうする?一生に一度の事だからパ~ッと派手にしようぜ!俺、本来旅行は苦手だけど、ナッキーとだったらどこへ行っても楽しいかも」
(注、既に二人であちこち行ってるが、忘れたか?)
夏「ちょっと待って理久?今オレ、もっとすごい事に気付いちゃった……。もしあの二人に子供が出来たら、それはオレの甥か姪であると同時に、理久の甥か姪でもあるわけだよね」
理「おい!それって、ナッキーと俺と、両方の血をひく子供が生まれるって事じゃないか!」
夏「ねえ理久!そ、それって、もはやオレ達二人の子供も同然だよね?!」
理「そうか、まさか俺が子供を持てるなんて、考えた事もなかった」
夏「理久だけの子じゃないよ!オレと理久の二人の子だよぉ!」
理「そうだな!俺達の子だな!」
(注、どちらも子供を産めないし)
夏「オレ、頑張って一生懸命育てる……!」
理「泣くなナッキー!まだ産まれてない!」
(って以前に付き合ってないし)
夏「とにかくまずは飲み会だ!」
理「おーっ!!」
──と言う訳で急遽「飲み会」が行われたが、それは単なる「飲み会」で終わってしまった。
波奈と兄ちゃんには「ご縁」がなく、俺達の遠大な野望は跡形もなく打ち砕かれてしまった。
これはとてつもなく悲しい話。
……………なんだよな?
(はて?)
ひと寝して午後いち、ナッキーから電話があった。
以下、全て電話での会話である。
夏=ナッキー
理=理久
夏「とにかく兄ちゃんが、波奈さんを紹介しろってうるさいんだ。何とかならない?」
理「あのさ、いきなり波奈を紹介しろって、それ順番おかしくない?波奈の前に俺を紹介だろ?」
夏「え?そんな事こだわる?」
理「ナッキーの友達は俺で、その俺の姉が波奈だ。まず俺と兄ちゃんが親しくなって、それから俺が兄ちゃんに波奈を紹介するってえのが本当だろうが」
夏「ああっ!やっぱりうちの兄ちゃんを狙ってるな!兄ちゃんのあのボケ~ッとしたゆるい感じ、いかにも理久が好きそうだもんね!」
理「げっ!バレバレか?」
夏「残念ながらうちの兄ちゃん根っからのノンケだから、いくら理久がバッサバッサやっても、どうした?目にゴミが入ったのか?って言われちゃうだけだよ!」
理「だよな、兄ちゃん、波奈を見て顔を真っ赤にしていたもんな」
夏「そうだよ、だから紹介しろって……」
理「おい待て!今気付いた!もしも……もしもの話だよ?波奈と兄ちゃんが付き合って結婚したら、どうなる?」
夏「え?結婚?あ、そうなったら、波奈さんはオレの義姉?」
理「そして兄ちゃんは俺の義兄!」
夏「………そ、そうなるとオレと理久は、え?義兄弟?」
理「おいナッキー、また顔赤くしてるだろう。電話でも分かるぞ」
夏「そんなこと無いけど……え、そしたら理久はオレの兄貴?」
理「まあ、そう言う事になるんだろうか?」
夏「なるよきっと!何だか分かんないけど、他人ではないよ」
理「そうか!俺達二人、晴れて互いの家族も認める正式な兄弟になれるのか!」
夏「それってもしかして、兄ちゃんと波奈さんが結婚式を挙げたら、オレ達なんかでも家族や親戚や知人や友達や、みんなに(ついでに)祝福されて、正式な兄弟になれるって事なの?」
(注、付き合ってはいない。二人はあくまでも親友)
理「そうだよ!それって事実上、俺達の結婚式みたいなもんだよ!」
(注、だから付き合ってはいない)
夏「え、理久とオレの結婚式?!」
理「わ!どうしょう?俺、宝塚みたいな黒燕尾服が着てみたい!胸にはでっかいカトレアのコサージュ飾って!あんなの結婚式じゃなきゃ着れないもん!ナッキーは?」
夏「あ、あのね、オレは白いやつ!ほら、あの胸元にヒラヒラって白いフリフのはみ出た、ネクタイじゃなくてブローチの付いたリボンのやつ~ぅ」
理「白タキシードか!ナッキーが着たら王子様じゃないか!」
夏「そしたら二人で写真を撮ろう!チャペルの前で!」
(注、決してこいつらの結婚式ではないから)
理「なあなあ!旅行はどうする?一生に一度の事だからパ~ッと派手にしようぜ!俺、本来旅行は苦手だけど、ナッキーとだったらどこへ行っても楽しいかも」
(注、既に二人であちこち行ってるが、忘れたか?)
夏「ちょっと待って理久?今オレ、もっとすごい事に気付いちゃった……。もしあの二人に子供が出来たら、それはオレの甥か姪であると同時に、理久の甥か姪でもあるわけだよね」
理「おい!それって、ナッキーと俺と、両方の血をひく子供が生まれるって事じゃないか!」
夏「ねえ理久!そ、それって、もはやオレ達二人の子供も同然だよね?!」
理「そうか、まさか俺が子供を持てるなんて、考えた事もなかった」
夏「理久だけの子じゃないよ!オレと理久の二人の子だよぉ!」
理「そうだな!俺達の子だな!」
(注、どちらも子供を産めないし)
夏「オレ、頑張って一生懸命育てる……!」
理「泣くなナッキー!まだ産まれてない!」
(って以前に付き合ってないし)
夏「とにかくまずは飲み会だ!」
理「おーっ!!」
──と言う訳で急遽「飲み会」が行われたが、それは単なる「飲み会」で終わってしまった。
波奈と兄ちゃんには「ご縁」がなく、俺達の遠大な野望は跡形もなく打ち砕かれてしまった。
これはとてつもなく悲しい話。
……………なんだよな?
(はて?)
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