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第1章 少年理久・幼少の記憶
No,9 理久と二人の女の子
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【小学校1~4年のお話】
今にして思えば、周りの標準的な男の子達は戦隊ヒーローにばかり夢中で、少女漫画なんて全く関わりの無い世界に生きていた。
好きな女の子がいてもどう接して良いのか分からず、ただモジモジするしかないのが普通の低学年男子なのだと今は思う。
少女漫画のナイトを気取って、百合子ちゃんを執拗にエスコートしようとする僕の方が明らかに変わり者だ。
後に大学生の頃、僕は宝塚歌劇にハマってしまって言動が男役くさくなってしまった時期がある。
そう言う奴なんです僕は。
ついつい、ハマったものの影響を受けやすい。
(このドキドキする恋ってやつをやってみたい)
少年理久は、そんなことを考える男の子だった。
とにかく僕は、小学校に入って直ぐに百合子ちゃんと大の仲好しになった。
当然、僕と百合子ちゃんの仲好し振りはちょっと浮いていて、クラスの男子からは度々からかわれたりもしたけれど、僕は全く気にしなかった。
それどころか他の男子が百合子ちゃんに親しげに近寄ったりすれば、逆毛を立ててマウンティングを吹っ掛けてやったりするくらい、独占欲も強かった。
そのうち誰もが僕達の事を構わなくなり、二人は公然の仲好しカップルとして、2年生が終わるまでそれが続いた。
さて、それだけ仲好しで毎日家まで送って帰ったのに、何故かそのあと一緒に遊んだ記憶がほとんど無い。
あるのは幼い頃からの近所の仲間と、暗くなるまで遊び回った記憶だけ──。
そう、物心ついた頃から波奈がリーダーのご近所グループがあった。波奈はガキ大将的キャラクターで年下の子達をまとめていた。
どうも僕は、学校の人間関係と放課後の人間関係を別々に考えていた節がある。
※──────────※
僕の小学校では2年毎にクラス替えが行われた。3年生になり百合子ちゃんとは別のクラスになったけれど、あまり悲しんだ記憶はない。
それどころか僕は、新しいクラスをぐるりと見回して、次の仲好しは英美ちゃんだと決めた。
僕は直ぐに英美ちゃんに
「一緒に帰ろう?」って気持ちを伝えた。
あれはどう言うつもりだったのか、自分の事なのによく覚えていない。
初めは嫌がっていた英美ちゃんだったのに、最終的には一緒に手を繋いで帰れる仲におさまった。
英美ちゃんの家は逆方向だったので、わざわざ英美ちゃんの家まで送ってから、学校方面に逆戻りする日々が始まった。
そのうち英美ちゃんのお母さんに気に入られて、おやつを出して貰えるようになった。百合子ちゃんの時には無かった待遇だ。
なるほど、お母さんに愛嬌を振りまくと良い結果が得られると学んだ。
でも英美ちゃんとの時間は一緒におやつを食べるまで。僕はさよならを言うと、一目散に家まで帰った。
やはり放課後は、いつものご近所グループと遊ぶのだ。それにははっきりと理由があった。年上の男子と遊べるのが楽しかった。
物心ついた時から、常にリーダーは波奈のグループだったけれど、その下に何人か男子がいた。
その中でも僕より2歳上で、波奈よりは1歳下だった亮ちゃんとは、実はいまだによじれた縁で繋がっている。
波奈が中学に上がった時、さすがに自然な形でグループを去った。そして次代のリーダーは6年生の亮ちゃんだった。
僕は4年生だったけれど、同級の男子がどうにも幼く思えて、むしろ6年生の亮ちゃんや、他に5年生の男子もいたご近所グループで遊ぶ方が楽しかった。
もちろん年下の子も交ざってくるけど、それはそれで兄貴気取りが面白い。
亮ちゃんとは色々あった。
その恥ずかしい「色々」を、次回に話そうと思っている──。
今にして思えば、周りの標準的な男の子達は戦隊ヒーローにばかり夢中で、少女漫画なんて全く関わりの無い世界に生きていた。
好きな女の子がいてもどう接して良いのか分からず、ただモジモジするしかないのが普通の低学年男子なのだと今は思う。
少女漫画のナイトを気取って、百合子ちゃんを執拗にエスコートしようとする僕の方が明らかに変わり者だ。
後に大学生の頃、僕は宝塚歌劇にハマってしまって言動が男役くさくなってしまった時期がある。
そう言う奴なんです僕は。
ついつい、ハマったものの影響を受けやすい。
(このドキドキする恋ってやつをやってみたい)
少年理久は、そんなことを考える男の子だった。
とにかく僕は、小学校に入って直ぐに百合子ちゃんと大の仲好しになった。
当然、僕と百合子ちゃんの仲好し振りはちょっと浮いていて、クラスの男子からは度々からかわれたりもしたけれど、僕は全く気にしなかった。
それどころか他の男子が百合子ちゃんに親しげに近寄ったりすれば、逆毛を立ててマウンティングを吹っ掛けてやったりするくらい、独占欲も強かった。
そのうち誰もが僕達の事を構わなくなり、二人は公然の仲好しカップルとして、2年生が終わるまでそれが続いた。
さて、それだけ仲好しで毎日家まで送って帰ったのに、何故かそのあと一緒に遊んだ記憶がほとんど無い。
あるのは幼い頃からの近所の仲間と、暗くなるまで遊び回った記憶だけ──。
そう、物心ついた頃から波奈がリーダーのご近所グループがあった。波奈はガキ大将的キャラクターで年下の子達をまとめていた。
どうも僕は、学校の人間関係と放課後の人間関係を別々に考えていた節がある。
※──────────※
僕の小学校では2年毎にクラス替えが行われた。3年生になり百合子ちゃんとは別のクラスになったけれど、あまり悲しんだ記憶はない。
それどころか僕は、新しいクラスをぐるりと見回して、次の仲好しは英美ちゃんだと決めた。
僕は直ぐに英美ちゃんに
「一緒に帰ろう?」って気持ちを伝えた。
あれはどう言うつもりだったのか、自分の事なのによく覚えていない。
初めは嫌がっていた英美ちゃんだったのに、最終的には一緒に手を繋いで帰れる仲におさまった。
英美ちゃんの家は逆方向だったので、わざわざ英美ちゃんの家まで送ってから、学校方面に逆戻りする日々が始まった。
そのうち英美ちゃんのお母さんに気に入られて、おやつを出して貰えるようになった。百合子ちゃんの時には無かった待遇だ。
なるほど、お母さんに愛嬌を振りまくと良い結果が得られると学んだ。
でも英美ちゃんとの時間は一緒におやつを食べるまで。僕はさよならを言うと、一目散に家まで帰った。
やはり放課後は、いつものご近所グループと遊ぶのだ。それにははっきりと理由があった。年上の男子と遊べるのが楽しかった。
物心ついた時から、常にリーダーは波奈のグループだったけれど、その下に何人か男子がいた。
その中でも僕より2歳上で、波奈よりは1歳下だった亮ちゃんとは、実はいまだによじれた縁で繋がっている。
波奈が中学に上がった時、さすがに自然な形でグループを去った。そして次代のリーダーは6年生の亮ちゃんだった。
僕は4年生だったけれど、同級の男子がどうにも幼く思えて、むしろ6年生の亮ちゃんや、他に5年生の男子もいたご近所グループで遊ぶ方が楽しかった。
もちろん年下の子も交ざってくるけど、それはそれで兄貴気取りが面白い。
亮ちゃんとは色々あった。
その恥ずかしい「色々」を、次回に話そうと思っている──。
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