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60、
小さな来客
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コンコン
夜も更けてしばらく経った頃だろうか。かなり軽い音で窓ガラスをノックする音がした。眠っていたら気付かなかっただろう、そんな小さな音だった。
「?幽霊さんです??」
目が覚めていたナナの耳には届いていた。宿の三階の窓に、誰にも気付かれずにノックする。受付嬢がいる。冒険者が出入りしている。ギルドマスターがいる。それがどれ程までに難しいことか。
「ざんねーん、妖精ちゃんです」
どちらも変わらない、とナナは思った。当然秘密にした。
「誰に用事なのです?」
「うーん・・・・・・」
そこで首を捻られても、ナナは返答に困っている。
「名前忘れちゃった。有名な人じゃないのは確かよ」
名前を呼んではいけないあの人ではないようだ。有名と言えば、英雄か犯罪者。まぁ、両極端な人が名前を覚えられる。
「一般人だと探しようがないのです」
「ふーん、こっちの人だと探せるんじゃないかなって思ったんだけどなー」
「貴方は友達の父親の従姉の知り合いの妹の親友の母の話仲間の名前を知っているのです?」
「わっかんなーい」
その声は凄く軽く、ナナは少々殺意を覚えた。
続く
夜も更けてしばらく経った頃だろうか。かなり軽い音で窓ガラスをノックする音がした。眠っていたら気付かなかっただろう、そんな小さな音だった。
「?幽霊さんです??」
目が覚めていたナナの耳には届いていた。宿の三階の窓に、誰にも気付かれずにノックする。受付嬢がいる。冒険者が出入りしている。ギルドマスターがいる。それがどれ程までに難しいことか。
「ざんねーん、妖精ちゃんです」
どちらも変わらない、とナナは思った。当然秘密にした。
「誰に用事なのです?」
「うーん・・・・・・」
そこで首を捻られても、ナナは返答に困っている。
「名前忘れちゃった。有名な人じゃないのは確かよ」
名前を呼んではいけないあの人ではないようだ。有名と言えば、英雄か犯罪者。まぁ、両極端な人が名前を覚えられる。
「一般人だと探しようがないのです」
「ふーん、こっちの人だと探せるんじゃないかなって思ったんだけどなー」
「貴方は友達の父親の従姉の知り合いの妹の親友の母の話仲間の名前を知っているのです?」
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