エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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5-17、烏、鴎、喧嘩する

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 いつもは静かな学校裏。不良のたまり場になったり、カツアゲの現場となったりして物騒だが静かな塀裏に爆音が響き渡る。改造バイクのマフラーの鳴き声に消え隠れする殺気の籠った声。黒と白二つの制服が互いに睨みをきかせる。
「一触即発」
「ゴメンなぁ、無茶言って」
あの後、ホテルに送り届けられたレイカは何とかして部屋から出ようとした。だが、リトアに注意されたホテルマンから外出は控えるようにとやんわりと外出を断られてしまった。どうしようかと檻の中の熊の様にウロウロしながら考えていると、窓から泥棒のようにサードが入ってきた。そのまま窓から脱出すると誰も来ない時間の内にある場所で待機していた。
「圧巻どすなぁ」
「・・・そう」
頭に浮かんだクエスチョンマークはいったい何なのだろうか?などと悠長なことを言っていると喧嘩が始まった。三人が手を組み、残った一人がその上に乗る。乗った人の頭の上には長い鉢巻を装備している。ほら貝の音と共に座っていた三人が立ち上がる。
「ひょっとせんでもこれって・・・・・・」
「騎馬戦」
サードの言葉と共に一際大きなほら貝が鳴ると喧嘩が始まった。いや、これはもう喧嘩ではない。競技である。ただ、練習ではなく本番さながらの熱気に包まれている。
体格差も力差もあり黒の方が俄然優勢かと思いきや、白が煙玉を使いだして形勢が変わり出す。道具もありなんだとレイカが思ったその時だった。
  ガァ――ン!!
かなり大げさな銃声のようなが辺りに響いた。その威力は凄まじく、喧嘩していた全員の動きが止まる。両手で耳を塞いで地に伏せた者もいたほどだ。レイカも落ちそうになったが、サードのおかげで留まることができた。
全員が音のした方に注目する。するとそこには・・・ガスマスクをバッチリ装備したグレーの二人が立っていた。先程放たれた弾丸から白い煙が辺りに立ち込める。それを吸い込んだだろう馬役の生徒達がバタバタと倒れ、落ちてきた上の生徒もガスを吸って動かなくなった。比重の重いガスだったようでレイカ達のいる塀の上までは上ってこない。
「く、余計なことを」
「てめーら、何しやがる?!」
脚力強化の魔法を使って塀の上まで跳んだ会計とカズが抗議の声を上げる。
「だぁいじょうぶ、単なる睡眠ガスだから」
「一時間もすれば目を覚ます」
そういう問題ではない。会計もカズも喧嘩に水差されてイラついている。
「すみません、お兄ちゃんどこどすか?」
「ああ、彼なら・・・・・・」
ゴックの言葉が終わらない内に裏山から爆発音が届く。続いて何かが折れる音が聞こえてくる。ここ数日雨も雪も降っていないのに、山肌が抉れる地滑りが起きた。
「あそこでガチ戦してるはずだ」
「どなたと?」
「「リーダーと」」
それでどこを探してもお互いの頭が見当たらなかったはずである。
「って、2対1じゃあらへんの?」
「いや、1対1対1でやりやってる。まぁ、代表戦だな」
リトア先輩喧嘩できないって言っていたような気がする。
「なぁ、お兄ちゃん強いん?」
「「「「何故お前が尋ねる?」」」」
「だって喧嘩したことあらへんもん」
会って数日、腕試しする暇もなかった。もっとも、レイカ相手では組手の練習にもならない。主に背丈的な意味で。なので、リトアについてレイカも噂程度しか知らなかった。
ゴック曰く、「腕相撲で勝った」
カズ曰く、「短距離走で負けた」
会計曰く、「勉学で勝っている」
カトレア曰く、「美しさで僕に勝る者はいない」
爆音が飛び交う中に入ろうとしたレイカはサードから羽交い絞めにされた。必死に行こうともがくレイカの首元を誰かが叩いた。鋭い痛みと共にレイカの意思は闇の中へと落ちていった。
サードは皆に向かって一礼すると無数の木の葉を撒き散らしてレイカを抱えたまま姿をくらました。そして、木の葉の嵐が通り過ぎた後には、寝子が塀の上にも下にもゴロゴロ転がっていた。


                           続く
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