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5-16、カメ、頭を抱える

エターナニル魔法学園特殊クラス

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「脅かす練習、だと」
身を震わせながらレイカは必死に頷いた。リトアを探してうろついていたところ、誰かから迷子として届け出が出されたらしく見回りをしていた生徒会長に保護名のつく拘束された。
「本人は只歩いとっただけやから怒らんでほしいんどす」
「あの敵はどう説明つける」
「生霊から放たれたエナジーの集合体どす。虫やったのは彼がインセクター(昆虫族)やったから」
「ふむ、筋は通っているな」
通るも何もレイカはその通りに説明している。
「練習も今日までにしはると言ってました」
「ならば、校内の不審者は問題ない。あとの問題も目処が立った」
頭をグリグリと撫でられてレイカは自分が縮んでいくことを感じた。
「問題全部解決するんどすか?」
「ああ、ご苦労だったな」
ポイッと校舎から追い出されてしまった。続々と生徒達が下校していく様子を呆然としているところにリトアが丁度やってきた。
「お」
「あ、さっきの子だね」
何故かグレー勢揃いして。
「この子も連れて行っていいかな?」
「一人にしない方がいい」
「客観的意見も聞きたいし、僕は構わないよ」
見目六歳にて意見を求められたのはレイカにとってあまりないことだった。
「じゃあ、ファミレスでも行くか」
「いや、胃は空にしておいた方がいいと思うよ」
「おやおや、ずいぶんと物騒だが、こればかりは仕方がないか」
「なら、ここで話すか」
「校門前は止めようよ」
「なら、あそこならどうであろう?」
壁際の草むらに四人は身を隠すようにしゃがみこんだ。
「つい先程、これを貰ってな」
ゴックが鞄から取り出したのは一通の手紙だった。雄々しい文字で・・・・・・レイカにはそれが読めなかった。果たし状と書かれているのだが。
「僕も似たようなのを貰ってしまってね。対応に困っていたところだったんだ」
カトレアも鞄から一通の封書を取り出した。
「僕も同じものが・・・・・・」
そう言ってリトアは鞄から二通の手紙を取り出した。
「ふむ」
「さすが、どちらともから貰っていたのか」
「うん、僕にどうしようというの?」
「どっちにつくのか決めろってことだろう」
「僕らには選択肢はないからね」
「でも、何で急にそんなんが届いたんどすか?」
「「「これはいつものこと」」」
三人とも毎回律儀に断っていたらしい。
「問題は内容だ」
「今日喧嘩があるって書いてあるね」
「わざわざ書かれたってことは何かがあるってことでしょう!」
先輩の手紙を見せてもらった。果たし状の方は言葉遣いが独特で読めなかったが、もう一枚の手紙の方は丁寧な字で標準語で書かれていたからすんなり読めた。確かに今日の21:00校舎壁裏にて黒との一騎打ちがあると書かれていた。それに参加しろと続いている。
「これ参加しはりますの?」
「する」
「しようとも」
「するしかないかな」
「普段はどうしてはりますの?」
「無視してた」
「持ってきた人を言いくるめたとも」
「丁重に断ってたよ」
「直接関わるのは初めてじゃないか」
「そう言われればそうですね」
「喧嘩できないから」
リトアの言葉に全員が頷く。リトアとカトレアは見た目で分かるが、ゴックは腕力はあるので喧嘩慣れしていないだけだろう。
「今日はどうしていくんどすか?」
「「「今日しかないから」」」
ダメ、意味が分からない。レイカが頭を抱えている頭上で三人の作戦会議が始まった。


                                 続く
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